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| 2024年に英国の Guild of Master Craftsman Publishing Ltd. から Button Books シリーズの1冊として、英訳版が刊行されている Noh Yi-jeong 作「シャーロック・ホームズの冒険」に収録されている 「赤毛組合」から抜粋(その1) |
韓国(South Korea)のイラストレーターである Noh Yi-jeong により制作の上、2022年に韓国の Blue Rabbit Publishing Co, Ltd. から Manga Classic Literature シリーズの1冊として出版された後、2024年に英国の Guild of Master Craftsman Publishing Ltd. から Button Books シリーズの1冊として、英訳版が刊行されているサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)作「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」のグラフィックノベル版に収録されている短編5作のうち、2番目の作品は、「赤毛組合(The Red-Headed League → 2022年9月25日 / 10月9日 / 10月11日 / 10月16付ブログで紹介済)」である。
「赤毛組合」は、シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、2番目に発表された作品で、英国の「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1891年8月号に掲載された後、ホームズシリーズの第1短編集「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」(1892年)に収録されている。
本ブログの場合、邦題として、「赤毛組合」(ちくま文庫 / 光文社文庫)を使用しているが、日本語版において、他には、「赤毛連盟」(早川文庫)、「赤髪組合」(新潮文庫)や「赤髪連盟」(創元推理文庫)等の邦題が使用されている。
「ストランドマガジン」の1927年3月号において、コナン・ドイルは、ホームズシリーズの自選12編の中で、本作品「赤毛組合」を、第1位の「まだらの紐(The Speckled Band)」に続いて、第2位に推している。
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| 英国で出版された「ストランドマガジン」 1891年8月号に掲載された挿絵(その1) - 1890年の秋、ジョン・H・ワトスンが ベイカーストリート221B のシャーロック・ホームズの元を訪れると、 彼は燃えるような赤毛の初老の男性ジェイベス・ウィルスンから相談を受けている最中であった。 挿絵:シドニー・エドワード・パジェット (Sidney Edward Paget 1860年 - 1908年) |
1890年の秋、ジョン・H・ワトスンがベイカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)のシャーロック・ホームズの元を訪れると、彼は燃えるような赤毛の初老の男性ジェイベス・ウィルスン(Jabez Wilson)から相談を受けている最中であった。
ジェイベス・ウィルスンは、ロンドンの経済活動の中心地であるシティー(City → 2018年8月4日 / 8月11日付ブログで紹介済)近くにあるザクセンーコーブルクスクエア(Saxe-Coburg Square → 2016年1月1日付ブログで紹介済)において質屋(pawnbroker)を営んでおり、非常に奇妙な体験をしたと言うので、ホームズとワトスンの二人は彼から詳しい事情を聞くことになった。
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| 英国で出版された「ストランドマガジン」 1891年8月号に掲載された挿絵(その2) - 燃えるような赤毛の初老の男性ジェイベス・ウィルスンは、 ロンドンの経済活動の中心地であるシティー近くにあるザクセンーコーブルクスクエアにおいて 質屋を営んでおり、非常に奇妙な体験をしたと、ホームズ達に訴えた。 画面左側から、ホームズ、ワトスン、そして、ジェイベス・ウィルスンの3人が描かれている。 |
ジェイベズ・ウィルスンは、赤毛の男性を募集する広告が掲載された「モーニング・クロニクル(Morning Chronicle)」紙の切り抜き(1890年4月27日付)を持参していた。
ジェイベズ・ウィルスンは、現在、ヴィンセント・スポールディング(Vincent Spaulding)と言う若い男性を質屋の店員として雇っている。実際のところ、数名の候補者が居たものの、ヴィンセント・スポールディングが「通常の給料の半額で構わない。」と言ったため、それが彼を採用する根拠となった。通常の給料の半額にもかかわらず、彼は、気が効く上に、よく働くのだが、一つだけ欠点があった。それは、彼は、写真が趣味で、撮影した写真を現像するために、暗室代わりに使っている質屋の地下室へ頻繁に潜り込むことだった。しかし、ヴィンセント・スポールディングは、店員として非常に優秀なことに加えて、通常の半額の給料で済んでいるので、ジェイベズ・ウィルスンとしては、それ程問題視していなかった。
8週間前、そのヴィンセント・スポールディングが、ジェイベズ・ウィルスンに対して、問題の新聞広告を見せたのである。その新聞広告は、「赤毛組合(The Red-Headed League)」に欠員が生じたため、組合員を1名新規募集するという内容だった。「赤毛組合」とは、米国ペンシルヴェニア州に住む赤毛の男性(百万長者)が、自分の遺産を、自分と同じ赤毛の人達に分配する目的で創立した団体、とのこと。ロンドンに住む健康な赤毛の成人男性であれば、誰でも「赤毛組合」の組合員に応募することが可能で、採用された場合、簡単な仕事をするだけで、高額の給料(週4ポンド)が得られるらしい。
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| 英国で出版された「ストランドマガジン」 1891年8月号に掲載された挿絵(その4) - ヴィンセント・スポールディングに付き添われて、 フリートストリートにある「赤毛組合」の事務所を訪れた ジェイベス・ウィルスンは、 同じく赤毛のダンカン・ロスとの面接を受け、 「赤毛組合」の新たな組合員として採用された。 挿絵:シドニー・エドワード・パジェット(1860年 - 1908年) |
ヴィンセント・スポールディングから、「赤毛組合」への応募を勧められたジェイベス・ウィルスンは、彼に伴われて、指定された日時に、フリートストリート(Fleet Street → 2014年9月21日付ブログで紹介済)の「Pope’s Court 7号室」にある「赤毛組合」の事務所を訪れた。
すると、そこには、組合員に応募する赤毛の男性が大勢集まっていたが、不思議なことに、彼らは皆、審査で不合格になり、次々と帰らされていた。更に、驚くことに、ジェイベス・ウィルスンの順番が来ると、応募者の審査を行っていた赤毛の小男ダンカン・ロス(Duncan Ross)は、、ジェイベス・ウィルスンのことをひと目で気に入り、彼を「赤毛組合」の新たな組合員として採用されたのである。
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| 2024年に英国の Guild of Master Craftsman Publishing Ltd. から Button Books シリーズの1冊として、英訳版が刊行されている Noh Yi-jeong 作「シャーロック・ホームズの冒険」に収録されている 「赤毛組合」から抜粋(その2) |
ダンカン・ロスから説明を受けた「赤毛組合」の組合員の仕事とは、毎日午前10時から午後2時までの4時間の間、事務所内で「大英百科事典(Encyclopedia Britannica)」を書写するというものだった。何故なのか判らないが、この4時間の間、どんな事情があっても、ジェイベス・ウィルスンは、絶対に事務所の外へ出ることを禁じられており、「仮にこれに違反した場合、彼は組合員の地位を失うことになる。」と、ダンカン・ロスから厳しく言い渡された。
幸いなことに、彼の質屋の場合、夕方は忙しいものの、昼間は来客があまりないので、ジェイベス・ウィルスンとしては、大きな問題ではなかった。そこで、ジェイベス・ウィルスンは、「赤毛組合」の組合員として採用された翌日から、ヴィンセント・スポールディングに昼間の店番を任せると、昼食持参で「赤毛組合」の事務所へと出かけ、ダンカン・ロスから指示された通り、毎日午前10時から午後2時までの4時間の間、事務所内において一人きりで一人きりの事務所で「大英百科事典」を書写する仕事を続けた。
最初のうち、ダンカン・ロスは、午前10時(ジェイベス・ウィルスンが仕事を始めるのを確認)と午後2時(ジェイベス・ウィルスンが仕事を終えたのを確認)の2回、そして、上記の4時間の間、時々、ジェイベス・ウィルスンの進捗具合を確認するために、事務所にやって来ていたが、やがて、彼が事務所に来るのは、午前10時のみとなり、そのうち、全く姿を見せないようになってしまった。それでも、土曜日には、給料の4ポンドが、ダンカン・ロスからジェイベス・ウィルスンに対してキチンと支払われたので、ジェイベス・ウィルスンとしては、何の不満もなかった。
こうして、8週間が順調に過ぎて行ったが、1890年10月9日の朝、ジェイベス・ウィルスンが、いつも通り、「赤毛組合」の事務所にやって来ると、入口のドアには鍵が掛かっている上に、ドアには貼り紙があり、そこには、「1890年10月9日 赤毛組合は解散した。(The Red-Headed League is Dissolved 9 October 1890)」と書かれていたのである。
突然の赤毛組合解散に驚いたジェイベス・ウィルスンは、赤毛組合が入居していた建物の家主(ー同じ建物の1階に住む会計士)のところへ行き、赤毛組合に何が起きたのかを尋ねた。ところが、家主は、ジェイベス・ウィルスンに対して、「赤毛組合については何も知らないし、赤毛組合を管理していたダンカン・ロス(Duncan Ross)という名前も初めて聞く名前だ。」と告げる。その上、家主は「(赤毛組合が入居していた)問題の部屋(「4号室」と書かれているが、当初の「Pope’s Court 7号室」と一致していない)を借りていたのは、事務弁護士(solicitor)のウィリアム・モリス(William Morris)で、新しいオフィスが出来るまでの一時的な賃借だ。」と付け加えた。
家主からウィリアム・モリスの移転先(17 King Edward Street near St. Paul's → 2014年9月28日付ブログで紹介済)を聞いたジェイベス・ウィルスンが早速そこを訪ねてみると、そこは膝当ての製造工場(manufactory of artificial kneecaps)で、ウィリアム・モリスのオフィスはどこにもなかったのである。
どうすればよいのか、途方に暮れたジェイベス・ウィルスンは、ホームズのところへ、赤毛組合がなぜ突然解散してしまったのか、その理由の調査依頼にやって来たのである。
Noh Yi-jeong によるグラフィックノベル版「赤毛組合」は、全部で34ページで、以下の2部構成になっている。
(1)「赤毛の依頼人(A red-headed client)」(14ページ)
ワトスンがベイカーストリート221B のホームズの元を訪れる冒頭から、シティー近くにあるザクセンーコーブルクスクエアにおいて質屋を営むジェイベス・ウィルスンが体験した奇妙な話を、ホームズとワトスンの2人が一通り聞くところまでが描かれている。
(2)「地下金庫の冒険(Underground adventure)」(20ページ)
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| 2024年に英国の Guild of Master Craftsman Publishing Ltd. から Button Books シリーズの1冊として、英訳版が刊行されている Noh Yi-jeong 作「シャーロック・ホームズの冒険」に収録されている 「赤毛組合」から抜粋(その3) |
ジェイベス・ウィルスンがベイカーストリート221B を辞去した後、ホームズとワトスンの2人が彼の質屋まで出向くところから、物語の最後までが描かれている。
原作の場合、ホームズはワトスンをその日の午後セントジェイムズホール(St. James's Hall → 2014年10月4日付ブログで紹介済)で行われるサラサーテ(パブロ・マルティン・メリトン・デ・サラサーテ・イ・ナバスクエス Pablo Martin Meliton de Sarasate y Navascuez:1844年ー1908年 スペイン出身の作曲家兼ヴァイオリン奏者 → 2022年10月19日付ブログで紹介済)の演奏会に誘う。彼らは、シティー経由、セントジェイムズホールへ向かうことになった。彼らは、まず最初に、地下鉄でアルダースゲートストリート駅(Aldersgate Street Tube Station / 現在の地下鉄バービカン駅(Barbican Tube Station → 2017年1月1日付ブログで紹介済))まで行き、そこから少し歩いて、ジェイベス・ウィルスンが営む質屋があるザクセンーコーブルクスクエアに立ち寄っている。
一方、本グラフィックノベル版の場合、ホームズとワトスンの2人は、馬車を使って、ベイカーストリート221B からザクセンーコーブルクスクエアまで直接赴いている。
イケメンのホームズ / ワトスンや彼らの年齢設定等については、読者によって好みが分かれると思われるが、「ボヘミアの醜聞(A Scandal in Bohemia → 2026年1月19日付ブログで紹介済)」と同様に、34ページの中に、物語がうまくまとめられている。










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