2026年1月19日月曜日

コナン・ドイル作「シャーロック・ホームズの冒険」<グラフィックノベル版>(The Adventures of Sherlock Holmes by Conan Doyle )- その3


韓国(South Korea)のイラストレーターである Noh Yi-jeong により制作の上、2022年に韓国の Blue Rabbit Publishing Co, Ltd. から Manga Classic Literature シリーズの1冊として出版された後、2024年に英国の Guild of Master Craftsman Publishing Ltd. から Button Books シリーズの1冊として、英訳版が刊行されているサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)作「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」のグラフィックノベル版に収録されている短編5作のうち、最初の作品は、「ボヘミアの醜聞(A Scandal in Bohemia → 2022年12月18日 / 2023年8月6日 / 8月9日 / 8月19付ブログで紹介済)」である。


「ボヘミアの醜聞」は、シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、最初(1番目)に発表された作品で、英国の「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1891年7月号に掲載された後、ホームズシリーズの第1短編集「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」(1892年)に収録されている。


「ボヘミアの醜聞」は、次の一文から始まる。


「シャーロック・ホームズには、いつでも「あの女性(ひと)」と呼ぶ女性が居る。(To Sherlock Holmes she is always the woman.)」


1888年3月20日の夜、ジョン・H・ワトスンは、ベイカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済) のシャーロック・ホームズの元を訪れた。

結婚したワトスンは、ホームズと共同生活を送っていたベイカーストリート221B の部屋を出て、開業医へと戻っていたが、往診の帰り道に、ベイカーストリート221B の前を通りかかり、懐かしさからホームズの部屋を訪ねたのであった。


英国で出版された「ストランドマガジン」
1891年7月号に掲載された挿絵(その1) -

結婚して、開業医に戻ったジョン・H・ワトスンは、
1888年3月20日の夜、往診の帰り道、久し振りに
ベイカーストリート221B のホームズの元を訪ねた。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット
(Sidney Edward Paget:1860年 - 1908年)


久し振りに再会したホームズは、ワトスンに対して、先程郵便で届いた分厚く、ピンクがかった便箋を投げて寄越した。その手紙には、日付がない上に、名前も住所も書かれていなかったが、ホームズは、ワトスンに、手紙を書いた人物を推論するよう、促した。

そして、ホームズは、ワトスンに、「間も無く、依頼人がやって来る。」と話した。



英国で出版された「ストランドマガジン」
1891年7月号に掲載された挿絵(その3) -

1888年3月20日の夜、
ボヘミア国王の代理人である
フォン・クラム伯爵と名乗る人物が、
ベイカーストリート221B の
シャーロック・ホームズの元を訪れる。
彼は、仮装用のマスクで顔を隠しており、
その正体は窺い知れなかった。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット
(1860年 - 1908年)


ホームズの言葉通り、暫くすると、立派な馬車がベイカーストリート221Bの前に乗り付け、やがて、仮装用のマスクで顔を隠した身長 2m 近くの大男が、部屋へと通されて来た。

顔に仮装用のマスクを付けた男性は、フォン・クラム伯爵(Count von Kramm)と名乗り、「ボヘミア国王の代理人として、ボヘミア王家の問題について、相談に訪れた。」と話したが、ホームズは、フォン・クラム伯爵の正体が、ボヘミア国王(King of Bohemia)のカッセル・フェルシュタイン大公ウィルヘルム・ゴッツライヒ・ジギスモント・フォン・オルムシュタイン(Wilhelm Gottsreich Sigismond von Ormstein, Grand Duke of Cassel-Felstein)本人であることを、即座に見抜く。

ホームズに正体を見破られたフォン・クラム伯爵は、自分がボヘミア国王であることを認め、顔から仮装用のマスクを外すと、ホームズに対して、依頼の内容を語り出した。


ボヘミア国王によると、5年前、王太子だった彼は、アイリーン・アドラー(Irene Adler)と秘密裡に交際していた。


アイリーン・アドラーはオペラ歌手で、その経歴は、以下の通り。


・1858年、米国のニュージャージー州生まれ。

・コントラルト(Contralto - 女性の最低音域 / アルト(Alto)とも言う)歌手

・ワルシャワ帝国オペラ座(Imperial Opera of Warsaw)のプリマドンナ(Prima donna)

・イタリアのミラノにあるスカラ座(La Scala)に出演したことあり。

・現在は、オペラの舞台から引退して、ロンドンに在住。


コナン・ドイル作「ボヘミアの醜聞」には、

ボヘミア国王と秘密裡に交際していたアイリーン・アドラーは、オペラ歌手で、

イタリアのミラノにある歌劇場「スカラ座」に出演したことがあると記述されている。

(2015年に Dorling Kindersley Limited から出版された

「The Sherlock Holmes Book」<筆者が所有>から抜粋)


今回、ボヘミア国王は、スカンディナヴィアの王女と結婚することになったが、それを知ったアイリーン・アドラーが、「二人で撮影した写真を、スカンディナヴィアの王女宛に送り付ける。」と脅迫してきたのである。アイリーン・アドラーと一緒に撮った写真を、スカンディナヴィアの王女宛に送り付けられた場合、ボヘミア国王とスカンディナヴィアの王女の結婚が破談になることを必至であった。


ボヘミア国王は、二人で撮影した写真を取り戻すべく、人を雇って、アイリーン・アドラーの家捜しさせたり、また、彼女への強盗まがいの真似をさせたりしたが、残念ながら、問題の写真を見つけ出すことは、できなかった。

アイリーン・アドラーがスカンディナヴィアの王女宛に写真を送り付けると通告したボヘミア国王とスカンディナヴィアの王女の婚約発表の日付が迫って来たものの、期待する結果を得られず、非常に困ったボヘミア国王は、自らホームズの元へ依頼にやって来たのである。


Noh Yi-jeong によるグラフィックノベル版「ボヘミアの醜聞」は、全部で36ページで、以下の2部構成になっている。


(1)「仮装用マスクの男(The Masked Man)」(20ページ)


結婚後、ホームズとは別生活を送るワトスンが、往診の帰り道、久し振りにホームズの元を訪れるところから、ボヘミア国王の依頼を受けたホームズが、馬丁に変装して、アイリーン・アドラーが住むブライオニーロッジ(Briony Lodge)へと出かけ、ブライオニーロッジから出て来たゴドフリー・ノートン(Godfrey Norton - インナーテンプル(Inner Temple → 2014年8月25日付ブログで紹介済)の弁護士)とアイリーン・アドラーの後を追った結果、到着したエッジウェアロード(Edgware Road → 2016年1月30日付ブログで紹介済)にあるセントモニカ教会(Church of St. Monica → 2014年8月24日付ブログで紹介済)で、ホームズには想定外なことに、2人が結婚する立会人をさせられるところまでが描かれている。


(2)「秘匿された写真(The Hidden Photograph)」(16ページ)



英国で出版された「ストランドマガジン」
1891年7月号に掲載された挿絵(その7) -

「王太子だったボヘミア国王が
アイリーン・アドラーと一緒に撮影された
問題の写真は、
ブライオニーロッジ内に保管されている筈だ。」と
考えたシャーロック・ホームズは、
写真を取り戻す計画を直ぐに実行に移すことに決めて、
ジョン・H・ワトスンに対して、助力を頼んだ。
馬丁の変装を解き、牧師に変装し直したホームズは、
ワトスンを伴い、ベイカーストリート221B を出ると、
ブライオニーロッジへと向かった。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット
(1860年 - 1908年)


「王太子だったボヘミア国王がアイリーン・アドラーと一緒に撮影された問題の写真は、ブライオニーロッジ内に保管されている筈だ。」と考えたホームズが、写真を取り戻す計画を直ぐに実行に移すことに決め、ワトスンに助力を頼み、馬丁の変装を解き、牧師に変装し直して、すブライオニーロッジへと向かうところから、物語の最後までが描かれている。



英国で出版された「ストランドマガジン」
1891年7月号に掲載された挿絵(その9) -

ボヘミア国王と一緒に撮影した写真の隠し場所を突き止めて、
セントジョンズウッド地区サーペンタインアベニューにある
ブライオニーロッジからベイカーストリート221B へと戻って来た
シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンであったが、
「おやすみなさい、ホームズさん。」と声をかけて、
その2人の横を通り過ぎた人物が居た。
それは、男装して、2人の後を追って来た
アイリーン・アドラーその人だったのである。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット
(1860年 - 1908年)

イケメンのホームズ / ワトスンや彼らの年齢設定等については、読者によって好みが分かれると思われるが、欧米のイラストレーター達とは異なり、コマ割りは日本のイラストレーター達に近く、絵柄にも動きがある。また、36ページの中に、物語がうまくまとめられている。

          

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