ジズソーパズルの左上の石壁の向こう側に、 右側から、マーサ・プライス=リドリー、 アマンダ・ハートネル、そして、キャロライン・ウェザビーの順に、並んで立っている。 |
セントメアリーミード村の地図には、 マーサ・プライス=リドリー、キャロライン・ウェザビー、 そして、アマンダ・ハートネルの3人が どこに住んでいるのかが示されている。- 日本の出版社である株式会社 早川書房から出ている クリスティー文庫<35> 「牧師館の殺人」から抜粋。 |
英国の Orion Publishing Group Ltd. から2024年に発行されている「ミス・マープルの世界(The World of Miss Marple)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているミス・ジェイン・マープル(Miss Jane Marple)シリーズの登場人物や各作品に関連した68個の手掛かりについて、前回に引き続き、順番に紹介していきたい。
(10)マーサ・プライス=リドリー(Mrs. Martha Price-Ridley)
ジズソーパズルの左上の石壁の向こう側に立つ3人の女性のうち、 一番右側に居るのが、マーサ・プライス=リドリー。 |
マーサ・プライス=リドリーは、セントメアリーミード村(St. Mary Mead)に住む老婦人で、未亡人である。
彼女は、ミス・マープルシリーズ長編第1作目に該る「牧師館の殺人(The Murder at the Vicarage → 2022年10月30日 / 10月31日付ブログで紹介済)」(1930年)に登場する。
セントメアリーミード村にある英国国教会の司祭(vicar)で、「牧師館の殺人」において、物語の語り手を務めるレナード・クレメント牧師(Reverend Leonard Clement)によると、教会の敬虔な信徒であると言及されている。
同じく、「牧師館の殺人」において、レナード・クレメント牧師の甥であるデニス(Denis - 16歳)は、マーサ・プライス=リドリーことを「地獄耳」と呼んでいる。
マーサ・プライス=リドリーは、息子の命日の早朝礼拝に出た際、教会の献金袋に1ポンド紙幣を献金したが、後で献金袋を確認したところ、彼女が献金した1ポンド紙幣が紛失していることが判明。何者か1ポンド紙幣を盗んだものと考えられ、レナード・クレメント牧師と、治安判事かつセントメアリーミード村の教区委員を務めるルシアス・プロセロウ大佐(Colonel Lucius Protheroe)が、ある木曜日の午後、その件で話し合いを行うことになったのである。
(11)キャロライン・ウェザビー(Miss Caroline Wetherby)
ジズソーパズルの左上の石壁の向こう側に立つ3人の女性のうち、 一番左側に居るのが、キャロライン・ウェザビー。 |
キャロライン・ウェザビーは、セントメアリーミード村に住む独身の老婦人である。
彼女も、ミス・マープルシリーズ長編第1作目に該る「牧師館の殺人」(1930年)に登場する。
レナード・クレメント牧師によると、キャロライン・ウェザビーは、不機嫌で感情の起伏が激しい女性、とのこと。
ミス・マープルシリーズの長編第8作目「鏡は横にひび割れて(The Mirror Crack'd from Side to Side)」(1962年)において、キャロライン・ウェザビーは、既に世を去っていることが述べられている。
なお、彼女が住んでいた家は、現在、銀行の支店長一家が住んでいて、「まるで顔に整形手術でもほどこしたように、玄関や窓々が紺青色に塗り変えられていた。」(橋本福夫訳)と言う記述もある。
(12)アマンダ・ハートネル(Miss Amanda Hartnell)
ジズソーパズルの左上の石壁の向こう側に立つ3人の女性のうち、 真ん中に居るのが、アマンダ・ハートネル。 |
アマンダ・ハートネルも、セントメアリーミード村に住む独身の老婦人である。
彼女も、ミス・マープルシリーズ長編第1作目に該る「牧師館の殺人」(1930年)に登場する。
レナード・クレメント牧師によると、アマンダ・ハートネルは、日に焼けた陽気な女性で、いつも歯に衣着せない発言をして、教区の人々に畏怖されている、とのこと。
更に、彼は、彼女を、高圧的で、かつ不快なやり方で、相手の不意を衝くことを得意としているとも言及している。
また、画家のローレンス・レディング(Lawrence Redding)は、レナード・クレメント牧師に、牧師館での夕食に招待された際、アマンダ・ハートネルの入れ歯を冗談のタネにしていた。
ミス・マープルシリーズの長編第8作目「鏡は横にひび割れて」(1962年)において、アマンダ・ハートネルは、未だに存命中で、ミス・マープルと同じように、都会化の波が押し寄せてきたセントメアリーミード村の現状に困惑している。
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