ミス・ジェイン・マープルは、 ジズソーパズル中央のやや右側の位置に居て、 テラス用の椅子に座り、得意の編み物をしている。 |
英国の Orion Publishing Group Ltd. から2024年に発行されている「ミス・マープルの世界(The World of Miss Marple)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているミス・ジェイン・マープル(Miss Jane Marple)シリーズの登場人物や各作品に関連した68個の手掛かりについて、今回から順番に紹介していきたい。
当然のことながら、一番最初は、ミス・ジェイン・マープルである。
(1)ミス・ジェイン・マープル(Miss Jane Marple)
ミス・ジェイン・マープルは、ロンドン郊外のセントメアリーミード村(St. Mary Mead)に住む詮索好きな独身の老婦人で、長編12作と短編20作の計32作品に登場し、長年にわたって積み重ねた人間観察と持ち前の鋭い洞察力を使い、探偵役を務める。
ロンドン郊外のセントメアリーミード(St. Mary Mead)という小さな村にある英国国教会の司祭(vicar)で、ミス・マープルシリーズ長編第1作目に該る「牧師館の殺人(The Murder at the Vicarage → 2022年10月30日 / 10月31日付ブログで紹介済)」(1930年)において、物語の語り手を務めるレナード・クレメント牧師(Reverend Leonard Clement)は、ミス・マープルを「信徒である全ての女性の中で、彼女は飛び抜けて抜け目がない。」と評している。
初登場作品は、長編「牧師館の殺人」(1930年)で、最終作は、長編「スリーピングマーダー(Sleeping Murder)」(1976年)である。
ただし、厳密に言うと、「火曜(ナイト)クラブ(The Tuesday Night Club)」を皮切りに、1927年12月から雑誌「スケッチ誌」に掲載された短編の方が、ミス・マープルの初登場作品であるが、「牧師館の殺人」に遅れること、2年後の1932年に短編集「The Thirteen Problems(ミス・マープルと13の謎)<米題: The Tuesday Club Murders(火曜クラブ)>」として出版されている。
ミス・マープルシリーズの作品としては、「スリーピングマーダー」がミス・マープル最後の作品ではあるが、「スリーピングマーダー」は1943年に執筆されているので、執筆順で言うと、長編「復讐の女神(Nemesis)」(1971年)が、実質的には、ミス・マープル最後の作品となる。
ミス・マープルシリーズは、エルキュール・ポワロシリーズと並んで、生涯にわたり、アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)が書き継ぐ代表シリーズとなった。
ミス・マープルの登場作品は、以下の通り。
<長編:全12作>
*「牧師館の殺人」(1930年)
*「書斎の死体(The Body in the Library)」(1942年)
*「動く指(The Moving Finger)」(1942年)
*「予告殺人(A Murder is Announced)」(1950年)
*「魔術の殺人(They Do It with Mirrors)」(1952年)
*「ポケットにライ麦を(A Pocket Full of Rye)」(1953年)
*「パディントン発4時50分(4:50 from Paddington)」(1957年)
*「鏡は横にひび割れて(Mirror Crack’d from Side to Side)」(1962年)
*「カリブ海の秘密(A Caribbean Mystery)」(1964年)
*「バートラムホテルにて(At Bertram’s Hotel)」(1965年)
*「復讐の女神」(1971年)
*「スリーピングマーダー」(1976年)
<短編:全20作>
*「火曜クラブ / 火曜ナイトクラブ(The Tuesday Night Club)」(1927年)→ 実質的には、本編が、ミス・マープルの初登場作品である。
*「アスタルテの祠 / アスターテの祠(The Idol House of Astarte)」(1928年)
*「金塊事件 / 金塊(Ingots of Gold)」(1928年)
*「舗道の血痕 / 血に染まった敷石(The Bloodstained Pavement)」(1928年)
*「動機対機会(Motive v Opportunity)」(1928年)
*「聖ペテロの指のあと / 聖ペテロの指の跡(The Thumb Mark of St Peter)」(1928年)
*「青いゼラニウム / 青いジェラニウム(The Blue Geranium)」(1929年)
*「二人の老嬢 / お相手役(The Companion)」(1930年)
*「四人の容疑者(The Four Suspects)」(1930年)
*「クリスマスの悲劇(A Christmas Tragedy)」(1930年)
*「毒草 / 死の草(The Herb of Death)」(1930年)
*「バンガロー事件(The Affair at the Bungalow)」(1930年)
*「溺死(Death by Drowning)」 (1931年)
上記の13作品については、短編集「ミス・マープルと13の謎<米題:火曜クラブ>」に収録されている。
*「ミス・マープルの思い出話 / ミス・マープルは語る(Miss Marple Tells a Story)」(1935年)→ 英国の雑誌に掲載された際の原題は、「Behind Closed Doors」
*「管理人事件 / 管理人の老婆(The Case of the Caretaker)」(1941年)
*「昔ながらの殺人事件 / 巻尺殺人事件(Tape-Measure Murder)」(1942年)→ 英国の雑誌に掲載された際の原題は、「The Case of the Retired Jeweller」
*「申し分のないメイド / 申し分のない女中(The Case of the Perfect Maid)」(1942年)→ 英国の雑誌に掲載された際の原題は、「The Perfect Maid」
*「奇妙な冗談 / 風変わりないたずら(Strange Jest)」(1944年)→ 英国の雑誌に掲載された際の原題は、「The Case of the Buried Treasure」
*「教会で死んだ男(Sanctuary)」(1954年)
*「グリーンショウ氏の阿房宮(Greenshaw's Folly)」(1960年)
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