ビル・ブラッグ氏(Mr. Bill Bragg)が描く ミス・マープルシリーズの長編第3作目「動く指」の一場面 |
ビル・ブラッグ氏によるイラストには、 何者かが、誹謗中傷の怪文書を、 リムストックの住民の家に投函する場面が描かれている。 Harper Collins Publishers 社から出版されている 「動く指」のペーパーバック版の表紙には、 ビル・ブラッグ氏によるイラストが、 家の玄関の鍵穴の形に切り取られているものが使用されている。 |
戦時中の飛行機事故によって重傷を負ったジェリー・バートン(Jerry Burton)は、医者の勧めを受けて、妹のジョアナ(Joanna Burton)の介護の下、ロンドンからリムストック(Lymstock)へ静養にやって来て、丘の上の家を借りた。
それは、丘の上の家の静かな佇まいが二人の気に入ったこともあるが、二人とも、リムストックに来たのが初めてで、近所に知り合いが居ないことも、プラス要因だった。
ジェリーとジョアナの二人が丘の上の家に落ち着いて、まもなく、
(1)大家である老齢のエミリー・バートン(Miss Emily Barton)
(2)弁護士であるリチャード・シミントン(Mr. Richard Symmington)の妻のモナ・シミントン(Mrs. Mona Symmington)
(3)医師であるオーウェン・グリフィス(Dr. Owen Griffith)の妹のエメ・グリフィス(Aimee Griffith)
(4)牧師であるケイレブ・デイン・カルスロップ(Reverend Caleb Dane Calthrop)の妻のモード・デイン・カルスロップ(Mrs. Maud Dane Calthrop)
(5)修道院長の末裔であるパイ氏(Mr. Pye)
といった面々が、ジェリーとジョアナの二人の元を次々と訪れる。
彼らの訪問から1週間程が経った頃、ジェリーとジョアナの2人は、差出人不明の手紙を受け取った。
その手紙には、「ジェリーとジョアナは、本当の兄妹ではない。」と言う内容が、下品な表現で書かれていた。所謂、誹謗中傷の手紙だった。
手紙の内容を読んだジョアナは、一旦は憤慨するものの、結局は面白がった。一方、ジェリーは、馬鹿馬鹿しいと思い、手紙を暖炉に焼べた。ジェリーは、表面上は平然とした風を装っていたが、内心は穏やかではなかった。
そこで、ジェリーは、オーウェン・グリフィス医師が往診に来た際、彼に匿名の手紙のことを打ち明ける。ジェリーから話を聞いたグリフィス医師によると、リムストック内では、以前から住民を誹謗中傷する怪文書が出回っている、とのことだった。
グリフィス医師も、その怪文書の被害者だったし、シミントン弁護士も、その中に含まれていた。
そして、匿名の怪文書は、新たなる悲劇を引き起こす。
リムストックの住民達が恐れていたことが、遂に、手紙の受取人の自殺と言う形で、現実のものとなったのである。
シミントン弁護士の妻であるモナが、服毒死を遂げたのだ。
(24)匿名の誹謗中傷の手紙(anonymous letters)
本作品において、何者かが、リムストック中に匿名で誹謗中傷の手紙を送り付け、悲劇を引き起こすのである。
(25)タイプライター(typewriter)
何者かが、リムストック中に匿名で誹謗中傷の手紙を送り付ける際に、このタイプライターが使用されている。
(26)「もう無理」と言う破れたメモ(a note saying ‘I can’t go on’)
弁護士であるリチャード・シミントンの妻のモナ・シミントンが、匿名の誹謗中傷の手紙を受け取り、「もう無理」と言う破れたメモを残して、自殺を遂げるのである。
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