英国の Orion Publishing Group Ltd. から出ている「アガサ・クリスティーの世界(The World of Agatha Christie)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)の生涯や彼女が執筆した作品等に関連した90個の手掛かりについて、前回に続き、紹介していきたい。
今回も、アガサ・クリスティーが執筆した作品に関連する手掛かりの紹介となる。
(64)ビーチパラソル(beach parasol)
アガサ・クリスティーが座る椅子の右側にある窓と本棚の間のカーテンに、 ビーチパラソルが立て掛けられている。 |
本ジグソーパズル内において、アガサ・クリスティーが腰掛けている椅子の右側にある窓と本棚の間のカーテンに、ビーチパラソルが立て掛けられている。
これから連想されるのは、アガサ・クリスティーが1941年に発表したエルキュール・ポワロシリーズ作品「白昼の悪魔(Evil Under the Sun)」である。本作品は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第29作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第20作目に該っている。
英国の Harper Collins Publishers 社から出版されている アガサ・クリスティー作エルキュール・ポワロシリーズ 「白昼の悪魔」のペーパーバック版の表紙 |
同ホテルには、美貌の元女優で、実業家ケネス・マーシャル(Kenneth Marshall)の後妻となったアリーナ・マーシャル(Arlena Marshall)も宿泊しており、周囲の異性に対して、魅力を振り撒きながら、避暑地を満喫していた。
Jolly Roger Hotel には、ポワロとアリーナ・マーシャルの他に、以下の人物が宿泊していた。
(1)ケネス・マーシャル(実業家 - 以前、ロザモンド・ダーンリーと交際していたが、アリーナ・マーシャルと結婚)
(2)リンダ・マーシャル(Linda Marshall - ケネス・マーシャルの娘 / 継母のアリーナを疎ましく感じている)
(3)ホーレス・ブラット(Horace Blatt - ヨットが趣味)
(4)バリー少佐(Major Barry - 退役将校)
(5)ロザモンド・ダーンリー(Rosamund Darnley - ドレスメーカー / 以前、ケネス・マーシャルと交際していた)
(6)パトリック・レッドファン(Patrick Redfern - アリーナ・マーシャルと不倫関係にある)
(7)クリスティーン・レッドファン(Christine Redfern - パトリックの妻で、元教師。夫の不倫のため、アリーナ・マーシャルを恨んでいる)
(8)オーデル・C・ガードナー(Odell C. Gardener - 米国人)
(9)キャリー・ガードナー(Carrie Gardener - オーデルの妻)
(10)スティーヴン・レーン(Stephen Lane - 元牧師)
(11)エミリー・ブルースター(Emily Brewster - スポーツが趣味。以前、投資話でアリーナ・マーシャルに損害を負わされたため、彼女を恨んでいる)
ホテルの宿泊客の数名が、アリーナ・マーシャルの存在を疎ましく感じており、そんな不穏な空気の中、ポワロは、「白昼にも、悪魔は居る。(There is evil everywhere under the sun.)」と呟くのであった。
ある朝、アリーナ・マーシャルは、内密の待ち合わせのため、Pixy Cove へと向かう。
午前中、アリーナを除くホテルの宿泊客達は、各々、自由な時間を過ごしていた。
昼前、エミリー・ブルースターを伴って、アリーナを探しに、手漕ぎボートで出かけたパトリック・レッドファンは、Pixy Cove の浜辺に、水着の女性が倒れているのを発見する。パトリックを現場に残して、エミリー・ブルースターは、ボートを漕いで、ホテルへ助けを求めに戻った。
ホテルからの連絡を受けて、Pixy Cove へと駆け付けた地元警察によると、Pixy Cove の浜辺に倒れていた女性は、アリーナ・マーシャルで、男の手で絞殺されていたとの検死結果だった。
アリーナに対して殺害動機を有する容疑者が浮かび上がるものの、完璧なアリバイがあるため、地元警察の捜査は難航する。
アリーナ・マーシャルを殺害した犯人を見つけ出すには、ポワロの登場が必要だった。
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