英国のロイヤルメール(Royal Mail)が発行した サウスダウンズ国定公園(South Downs National Park)の切手 - 画面奥に見えるのは、白亜系チョークから成る海食崖である セブンシスターズ(Seven Sisters → 2017年4月9日付ブログで紹介済) |
(7)シャーロック・ホームズの遺稿(The Remains of Sherlock Holmes)
1929年の春、シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの二人が引退したサウスダウンズ(South Downs)において、事件は発生した。
そして、「ホームズが亡くなった。(It was in the spring of the year 1929 that my friend Sherlock Holmes died.)」という衝撃的な一文から、物語が始まる。ただし、ホームズの死体は見つかっておらず、彼の死は、未だに公式記録となっていない。(That, at least, is my belief, though his death has never been certified and his mortal remains have not been found.)
1925年6月に夫人が亡くなった後から、ワトスンは、サウスダウンズにあるホームズのコテージに同居していた。
ある日、サムスン・カーデュー(Samson Cardew)という男性が、事件の相談のために、ホームズのコテージを訪れる。
父親の死後、彼はヘイスティングス(Hastings - イーストサセックス州(East Sussex)にある街)へと移り、母親のアグネス(Agnes)と一緒に、そこでホテルを経営して成功を納めていた。
そんな時、ホテルに滞在していたベートマン(Bateman)と名乗る男が、サムスンのオフィスに突然入って来て、彼に対して、「チャーリー・ヴィンセント(Charlie Vincent)について、教えろ!」と迫った。
訳が分からず、断るサムスンに向かって、ベートマンは、ナイフをちらつかせて、暴行を加えたのである。
「チャーリー・ヴィンセント」とは、40年前、サムスンの父親が死に際に彼に残した謎の歌であった。
果たして、謎の歌に隠されたものは、何か?ベートマンと名乗る男は、一体、何を狙っているのか?
なお、英語の「Remains」には、「遺稿」の他に、「遺体」や「遺骨」という意味もあるので、本短編のタイトルには、二重の意味がかけられていると言える。
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