「ボーア戦争(Anglo-Boer War → 2022年8月5日 / 8月8日付ブログで紹介済)」とは、19世紀後半から20世紀初めにかけて、大英帝国が、ボーア人(オランダ系移民の子孫)が建国したトランスヴァール共和国(Republic of Transvaal) / オレンジ自由国(Orange Free State)との間で、南アフリカの植民地化を争った戦争である。なお、ボーア戦争は、第一次ボーア戦争(First Anglo-Boer War:1880年12月16日ー1881年3月23日)と第二次ボーア戦争(Second Anglo-Boer War:1899年10月12日ー1902年5月31日)の二度にわたっている。
このボーア戦争を通じて、大英帝国は、積極的に帝国主義を押し進め、自国の強化 / 拡大に成功したが、一方で、英国軍が大損害を蒙ったこと、また、特に、第二次ボーア戦争時に非人道的な焦土作戦や収容所戦略等を実施したことにより、内外から批判を浴びる等、大英帝国が払った代償は非常に大きかった。
サー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年-1930年)によるシャーロック・ホームズシリーズの中で、「ボーア戦争」を題材にしている作品が一つだけあり、それが「白面の兵士(The Blanched Soldier)」である。
「白面の兵士」は、ホームズシリーズの56ある短編小説のうち、52番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1926年11月号に、米国では、「リバティー(Liberty)」の1926年10月16日号に掲載された。そして、ホームズシリーズの第5短編集である「シャーロック・ホームズの事件簿(The Case-Book of Sherlock Holmes)」(1927年)に収録された。
「白面の兵士」は、他の作品と異なり、ジョン・H・ワトスンではなく、シャーロック・ホームズによる一人称で書かれている。
ホームズによると、数回にわたり、ワトスンによる事件の記述を批判したために、腹を立てたワトスンから「ホームズ、自分で書いてみたまえ。(Try it yourself, Holmes!)」と言われて、本作品の記述をしてみたと、物語の冒頭で述べている。
なお、本来の記述者であるワトスンは、当時、妻帯していたので、ホームズとは別居しており、この事件には全く関与していない。
ホームズシリーズ全60作(長編4作+短編56作)のうち、ホームズ自身が解決した事件を回想する体裁を採っているのは、本作品「白面の兵士」と「ライオンのたてがみ(The Lion’s Mane)」の2作品だけである。
ちなみに、「ライオンのたてがみ」は、ホームズシリーズの56ある短編小説のうち、53番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン」の1926年12月号に、米国では、「リバティー」の1926年11月27日号に掲載された。そして、「白面の兵士」と同様に、ホームズシリーズの第5短編集である「シャーロック・ホームズの事件簿」に収録されている。
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