2026年2月25日水曜日

エルキュール・ポワロの世界 <ジグソーパズル>(The World of Hercule Poirot )- その22B

英国の HarperCollinsPublishers 社から現在出版されている
アガサ・クリスティー作「ABC 殺人事件」の
ペーパーバック版の表紙 -

'ABC' と名乗る犯人の策略により、ストッキングのセールスマンとして、

英国内を巡っているアレグサンダー・ボナパート・カストが従軍した

第一次世界大戦の戦場跡(?)と思われる草原の表紙が、

'ABC' と名乗る犯人がエルキュール・ポワロ宛に送り付けた犯行予告を

タイプするのに使用したタイプライターの形に切り取られている。

もしかすると、表紙の草原は、

サー・カーマイケル・クラークが引退したチャーストンにある屋敷の敷地なのかもしれない。


「A」で始まる「アンドーヴァー(Andover)」と「B」で始まる「べクスヒル(Bexhill)」に続き、’ABC’ と名乗る謎の人物からエルキュール・ポワロ(Hercule Poirot → 2025年10月11日付ブログで紹介済)の元に、第3の犯行を予告する手紙が届いた。今回、警戒する場所は、「C」で始まる「チャーストン(Churston)」だった。


エルキュール・ポワロは、
ジグソーパズル「エルキュール・ポワロの世界」の中央に立っている。
<筆者撮影>


ただし、今回は、一つおかしな点があった。第1の犯行と第2の犯行を予告する手紙の場合、犯行当日まで若干の日数があったものの、第3の犯行を予告する手紙の場合、犯行当日にポワロは手紙を受け取ったのである。

ポワロが手紙の宛先をよく見てみると、彼が住んでいるフラットの名前が一部誤ってタイプされていた。そのため、手紙の配達に、通常よりも日数を要したのだった。

第1の犯行と第2の犯行を予告する手紙の場合、ポワロが住むフラットの名前は正しくタイプされていたのに、第3の犯行を予告する手紙の場合、彼が住むフラットの名前は誤ってタイプされたのか?後に判明するが、これには、深い意図があったのである。


手紙の予告通り、第3の殺人事件として、チャーストンにおいて、かつて医師として成功した大富豪で、イニシャルが「C. C.」のサー・カーマイケル・クラーク(Sir Carmichael Clarke)が殺害されているのが発見された。

そして、アリス・アッシャー(Alice Asher)/ エリザベス(ベティー)・バーナード(Elizabeth (Betty) Barnard)と同様に、サー・カーマイケル・クラークの死体の傍にも、「ABC 鉄道案内」が置かれていたのである。


ポワロは、’ABC’ と名乗る犯人が、住んでいる場所の頭文字とイニシャルが合致する人物を、アルファベット順に選び出した上で、殺害しているものと推測した。

ところが、それぞれの被害者に対して、殺害動機を有する者は存在しているが、全ての被害者に対して、殺害動機を有する人物は居なかった。また、被害者達には、’ABC’ 以外の関連性はなく、’ABC’ と名乗る犯人の正体とその動機については、判らなかった。


アーサー・ヘイスティングス大尉は、
ジグソーパズル「エルキュール・ポワロの世界」の中央に立つ
エルキュール・ポワロの左斜め後ろに居る。

<筆者撮影>


ポワロとアーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Arthur Hastings → 2025年10月12日付ブログで紹介済)は、以下の事件関係者達を集まると、’ABC’ と名乗る犯人の正体を捕まえるチームを結成するのであった。


(1)メアリー・ドローワー(Mary Drower):アリス・アッシャーの姪で、アンドーヴァー近郊の屋敷でメイドとして働いている。

(2)ドナルド・フレーザー(Donald Fraser):ベティー・バーナードの婚約者

(3)メーガン・バーナード(Megan Barnard):ベティー・バーナードの姉で、ロンドンでタイピストとして働いている。

(4)フランクリン・クラーク(Franklin Clarke):サー・カーマイケル・クラークの弟で、兄の右腕として、兄が趣味としている骨董品を、世界中から買い集めている。

(5)ソーラ・グレイ(Thora Grey):サー・カーマイケル・クラークの秘書


その最中、第4の犯行を予告する手紙が届いた。今回、警戒する場所は、「D」で始まる「ドンカスター(Doncaster)」だった。そして、犯行当日は、ドンカスターにおいて、「セントレジャーステークス(St. Leger Stakes)」と呼ばれる競馬が開催される日で、大混雑が予想された。


(45)ABC 鉄道案内(railway guide)



「アンドーヴァー」の「アリス・アッシャー」、「べクスヒル」の「ベティー・バーナード」、そして、「チャーストン」の「サー・カーマイケル・クラーク」と、’ABC’ と名乗る犯人は、住んでいる場所の頭文字とイニシャルが合致する人物を、アルファベット順に選び出した上で、殺害した後、自分の犯行であることを示すように、死体の傍らにABC 鉄道案内を残したのである。


(46)絹のストッキング(silk stocking)



「アリス・アッシャー」が殺害された「アンドーヴァー」、「ベティー・バーナード」が殺された「べクスヒル」、そして、「サー・カーマイケル・クラーク」が殺害された「チャーストン」に姿を見せたのは、ストッキングのセールスマンであるアレグザンダー・ボナパート・カスト(Alexander Bonaparte Cust)だった。

彼は、第一次世界大戦(1914年-1918年)に従軍したが、復員後、その後遺症に悩まされていた。また、自分の名前が2人の偉大な英雄(アレクサンダー大王とナポレオン・ボナパルト)に由来していることに、強いコンプレックスを抱いている。

真犯人による策略にはまり、アレグザンダー・ボナパート・カストは、一連の事件の犯人と言う濡れ衣を着せられることになる。


(47)セントレジャーステークス (St. Leger Stakes horse race)



英国のクラシック三冠 / 牝馬クラシック三冠の最終戦として、ドンカスター競馬場の芝コースで開催される競馬で、このドンカスターが、’ABC’ と名乗る犯人による第4の犯行場所となった。


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