2026年2月14日土曜日

アガサ・クリスティー 2026年オフィシャルカレンダー(Agatha Christie Official Calendar 2026)- その14

2025年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された
「アガサ・クリスティー 2026年オフィシャルカレンダー」のうち、
2026年12月のカレンダーに描かれている
エルキュール・ポワロシリーズの長編第12作目「メソポタミアの殺人」(1936年)-
英国人看護婦のエイミー・レザランが、
イラクの遺跡発掘調査隊を率いる米国人考古学者のエリック・ライドナー博士に雇われ、
彼の妻であるルイーズ・ライドナーの付き添いをするためにやって来た
古代メソポタミアの地、チグリス河岸にあるテル・ヤリミヤ遺跡の発掘調査隊宿舎が描かれている。

アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)の作品を出版している英国の HarperCollinsPublishers 社から、2026年オフィシャルカレンダーが出ているので、前回に引き続き、順番に紹介したい。


2026年カレンダーの場合、カレンダー用に新たに描き起こされたエルキュール・ポワロシリーズのイラストが使用されており、デザインについては、Diahann Sturge-Cambell が、また、イラストに関しては、Mr. Stephen Millership / Central Illustration Agency が担当している。


13番目は、2026年12月のカレンダーに該る「メソポタミアの殺人(Murder in Mesopotamia)」(1936年)である。


アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第19作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第12作目に該っている。


なお、本作品は、「ナイルに死す(Death on the Nile)」(1937年)と「死との約束(Appointment with Death → 2021年3月13日付ブログで紹介済)」(1938年)へと続く中近東を舞台にした長編第1作目でもある。


バグダッドでの仕事を終えた英国人看護婦のエイミー・レザラン(Amy Leatheran)は、イラクの遺跡発掘調査隊を率いる米国人考古学者のエリック・ライドナー博士(Dr. Eric Leidner)に雇われ、彼の妻であるルイーズ・ライドナー(Louise Leidner)の付き添いをすることになった。そのため、エイミーは、古代メソポタミアの地、チグリス河岸にあるテル・ヤリミヤ(Tell Yarimjah)遺跡の発掘調査隊宿舎へとやって来た。


発掘調査隊宿舎に到着したエイミーは、ルイーズ・ライドナーから、ピッツタウン大学イラク調査隊のメンバーを紹介される。ルイーズは、40歳近くの魅力的で美しい女性であったが、神経衰弱により、ノイローゼになる位に怯えていたのである。


発掘調査隊宿舎に着いて1週間が経過し、エイミーのことを信頼したルイーズは、彼女に対して、「自分は、もうすぐ殺されてしまうかもしれない。」と打ち明ける。

ルイーズによると、第一次世界大戦(1914年ー1918年)中の20歳の時に、フレデリック・ボスナー(Frederick Bosner)と最初の結婚をした。フレデリックは米国政府で働いていたが、ルイーズは、夫のフレデリックが実際にはドイツのスパイであることに気付き、陸軍省に勤めていた父親に通報した。その結果、フレデリックは、米国政府によって逮捕されてしまう。そして、ルイーズは、夫のフレデリックがドイツのスパイとして、米国政府により処刑されたものと思っていた。


ところが、後にルイーズが他の男性と親しくなると、夫のフレデリックの名前で、「その相手と直ぐに別れろ。」と迫る脅迫状が届くようになる。驚くルイーズに対して、父親は真相を話す。ルイーズの夫フレデリックは、米国政府により逮捕されたものの、処刑前に脱走を図った後、列車の転覆事故に巻き込まれて、死亡したことになっていた。ただ、遺体の損傷が激しかったため、間違いなく、遺体がフレデリック本人であるとは断言できなかったのである。


その後も、ルイーズが新しい男性と親しくなる度に、夫のフレデリックの名前で、脅迫状が舞い込んだ。ところが、ルイーズがエリック・ライドナー博士と出会って結婚するまでの間、脅迫状は届かなかった。しかしながら、二人の結婚後、夫のフレデリックの名前で、「命令に背いたお前を殺す。」と書かれた脅迫状が再び届き、その直後、ルイーズとエリックの二人は、自宅において、危うくガス中毒で殺されかけたのである。そのため、二人は、イラクで発掘調査をする時以外も、海外で暮らし始めると、それから2年間、脅迫状はぱたりと止んだ。


しかし、今年の発掘調査が始まると、3週間前に、「お前の命は、風前の灯だ。」と、そして、1週間前には、「俺は、遂にやって来たぞ。」と書かれた脅迫状がまた届いたため、ルイーズは、恐怖に怯えていたのである。

ただ、脅迫状に書かれた筆跡が、ルイーズのものによく似ていたため、夫のエリックとエイミーの二人は、ルイーズが自分で自分宛に脅迫状を書いているのではないかと疑う。


翌日の午後、昼寝の床に就いたルイーズが自室の床の上で死んでいるのを、夫のエリックが発見した。何か重いものによる右のこめかみへの一撃が、彼女の死因だった。ところが、ルイーズの部屋の窓は、内側から鍵がかかっている上に、室内から凶器らしきものは、全く見つからなかった。


事件発生当時、ルイーズの部屋の前の中庭では、現地の少年が発掘された土器を洗っており、彼女の部屋には、誰も出入りしなかったと証言する。更に、中庭へと通じる宿舎の入口には、現地雇いの使用人達が集まって、雑談に興じており、見知らぬ外部の人間が宿舎内へと侵入することは、不可能だった。

つまり、ルイーズを殺害した犯人は、発掘調査隊のメンバーの中に居ると思われた。


エルキュール・ポワロは、
英国の Orion Publishing Group Ltd. から2023年に発行されている
「エルキュール・ポワロの世界」と言うジグソーパズルの中央に立っている。
<筆者撮影>


折しも、シリアからバグダッドへと向かう途中、この辺りを通りかかったエルキュール・ポワロ(Hercule Poirot → 2025年10月11日付ブログで紹介済)は、自分達の手には負えないと判断した地元の警察署長から要請され、事件の捜査を引き受けるのであった。


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