2026年2月3日火曜日

アガサ・クリスティー 2026年オフィシャルカレンダー(Agatha Christie Official Calendar 2026)- その8

2025年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された
「アガサ・クリスティー 2026年オフィシャルカレンダー」のうち、
2026年6月のカレンダーに描かれている
エルキュール・ポワロシリーズの長編第25作目「葬儀を終えて」(1953年)-
大富豪で、アバネシー家の当主であるリチャード・アバネシーの葬儀が行われた
教会が描かれているものと思われる。
兄リチャード・アバネシーの墓の前に佇んでいるのは、
末妹のコーラ・ランスケネだろうか?


アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)の作品を出版している英国の HarperCollinsPublishers 社から、2026年オフィシャルカレンダーが出ているので、前回に引き続き、順番に紹介したい。


2026年カレンダーの場合、カレンダー用に新たに描き起こされたエルキュール・ポワロシリーズのイラストが使用されており、デザインについては、Diahann Sturge-Cambell が、また、イラストに関しては、Mr. Stephen Millership / Central Illustration Agency が担当している。


7番目は、2026年6月のカレンダーに該る「葬儀を終えて(After the Funeral)」(1953年)である。


アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第44作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第25作目に該っている。


「葬儀を終えて」の場合、米国版のタイトルは、「Funerals Are Fatal」が使用されている。

1963年に本作品が英国映画として映像化された際、英国版のタイトルは、映画に合わせて、「Murder at the Gallop(寄宿舎の殺人)」へと改題された。なお、探偵役は、本来のエルキュール・ポワロではなく、ミス・ジェーン・マープルが務めている。


大富豪で、アバネシー家の当主であるリチャード・アバネシー(Richard Abernethie)の葬儀に出席するために、彼の邸宅「エンダビーホール(Enderby Hall)」において、親族が一堂に会した。

リチャード・アバネシーの弟の1人であるレオ(Leo)は、第二次世界大戦(1939年-1945年)中に戦死していた。また、リチャード・アバネシーの妻は早くに亡くなっており、息子とのモーティマー(Mortimer)も6ヶ月前に既に死去していた。


リチャード・アバネシーの葬儀に参列したのは、


(1)ティモシー・アバネシー(Timothy Abernethie):リチャードの弟

(2)モード・アバネシー(Maude Abernethie):ティモシーの妻 / リチャードの義妹


(3)ヘレン・アバネシー(Helen Abernethie):第二次世界大戦中に戦死したリチャードの弟レオの妻 / リチャードの義妹


(4)スーザン・バンクス(Susan Banks):リチャードの弟ゴードン(Gordon)の娘 / リチャードの姪

(5)グレゴリー・バンクス(Gregory Banks):スーザンの夫 / 薬剤師


(6)ローラ・クロスフィールド(Laura Crossfield):リチャードの妹

(7)ジョージ・クロスフィールド(George Crossfield):ローラの息子 / リチャードの甥 / 事務弁護士


(8)ロザムンド・シェーン(Rosamund Shane):リチャードの妹ジェラルディン(Geraldine)の娘 / リチャードの姪 / 女優

(9)マイケル・シェーン(Michael Shane):ロザムンドの夫 / 俳優


(10)コーラ・ランスケネ(Cora Lansquenet):リチャードの末妹


の面々だった。


アバネシー家の弁護士であるエントウィッスル氏(Mr. Entwhistle)が、リチャード・アバネシーの遺言執行者として、その内容を読み上げた。

リチャード・アバネシーの遺産の大部分は、彼の弟ティモシー・アバネシー、彼の亡き弟の妻ヘレン・アバネシー、彼の末妹コーラ・ランスケネ、彼の甥ジョージ・クロスフィールド、そして、彼の2人の姪スーザン・バンクスとロザムンド・シェーンの6人に当分されると言う極めて妥当な内容だった。


エントウィッスル氏が読み上げたリチャード・アバネシーの遺言書の内容を聞き、自分の相続分を素直に喜んこんだ末妹コーラ・ランスケネは、小首を傾げると、無邪気な一言を言い放った。

「だって、リチャードは殺されたんでしょう?」と。


末妹コーラ・ランスケネは、子供の頃から、少し頭が弱く、思い付いたことを何でも直ぐに口にする性格で、アバネシー家の皆は、彼女は無邪気過ぎて困ると感じていた。それ故に、リチャード・アバネシーの葬儀に参列した面々は、彼女の発言をまともには取り合わず、受け流してしまった。

その一方で、末妹コーラ・ランスケネの発言は昔から真実を突いていたため、リチャード・アバネシーの葬儀から帰途に就く人達の心に、拭いきれない疑惑が痼りのように残った。リチャード・アバネシーの遺言執行者であるエントウィッスル氏も、その例外ではなかった。


彼らの疑惑が的中したかのように、その翌日、末妹のコーラ・ランスケネが、自宅において、斧で惨殺されているのが発見される。


コーラ・ランスケネの家政婦だったギルクリスト(Miss Gilchrist)によると、「リチャード・アバネシーは、亡くなる3週間ほど前に、コーラ・ランスケネを訪ねて来ると、彼女と話をしていた。」とのことだった。

つまり、コーラ・ランスケネは、兄リチャード・アバネシーの死の原因について、何か知っており、彼の葬儀の場において、そのことを口にしたために、殺害されたのか?


末妹のコーラ・ランスケネが殺されたことを受けて、彼女の相続分はリチャード・アバネシーの遺産に戻り、最終的には、スーザン・バンクスの取り分となった。

また、家政婦のギルクリストには、コーラ・ランスケネが趣味で描いていた絵画が送られることになた。


エルキュール・ポワロは、
英国の Orion Publishing Group Ltd. から2023年に発行されている
「エルキュール・ポワロの世界」と言うジグソーパズルの中央に立っている。
<筆者撮影>


リチャード・アバネシーの遺言執行者であるエントウィッスル氏は、真相を知るべく、エルキュール・ポワロ(Hercule Poirot → 2025年10月11日付ブログで紹介済)に対して、事件の調査を依頼するのであった。


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