2023年9月20日水曜日

映画「名探偵ポワロ:ヴェネチアの亡霊」(A Haunting in Venice)- その2

画面手前の人物は、名探偵エルキュール・ポワロで、
画面奥の人物は、左側から、(1)ニコラス・ホーランド(降霊会のアシスタント(弟))、
(2)オルガ・セミノフ(ドレイク家の家政婦)、
(3)マキシム・ジェラード(ロウィーナ・ドレイクの娘アリシアの元婚約者である若きシェフ)、
(4)ジョイス・レイノルズ(降霊会を行う謎めいた霊能者)、
(5)アリアドニ・オリヴァー(ポワロの旧友である推理作家)、
(6)ロウィーナ・ドレイク(元オペラ歌手)、(7)レスリー・フェリアー(ドレイク家の主治医)、
(8)レオポルド・フェリアー(レスリー・フェリアー医師の息子)、
(9)ヴィターレ・ポルトフォリオ(ポワロのボディーガード)、
そして、(10)デズモデーナ・ホーランド(降霊会のアシスタント(姉))の10人が、
運河に架かる橋の上に並んで、立っている。
<筆者撮影>


英国の俳優 / 映画監督 / 脚本家 / プロデューサーであるサー・ケネス・ブラナー(Sir Kenneth Branagh:1960年ー)が監督と主演を務め、2023年9月15日に公開された映画「名探偵ポワロ:ヴェネチアの亡霊(A Haunting in Venice)」のストーリーは、アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)が1969年に発表したエルキュール・ポワロシリーズの長編「ハロウィーンパーティー(Hallowe’en Party)」をベースにしているが、原作の内容とは、大きく異なっている。


(1)

第二次世界大戦(1939年ー1945年)が終結した後の1947年、名探偵エルキュール・ポワロは、一線から退いて、イタリアのヴェネツィア(Venice)において、隠遁生活を送っていた。ポワロの自宅の前には、相変わらず、依頼人が列を成していたものの、ポワロが新たな依頼を受けることはなかった。


<注1>

アガサ・クリスティーの原作の場合、事件の舞台は、ロンドンから30ー40マイル程離れた町ウッドリーコモン(Woodleigh Common)になっているが、今回の映画版の場合、水上の都市ヴェネチアへ変更されている。


<注2>

アガサ・クリスティーの原作の場合、ポワロは特に引退していないが、今回の映画版の場合、ポワロは一線を退いた設定になっている。


(2)

そんな最中、ポワロの旧友であるミステリー作家のアリアドニ・オリヴァーが、ポワロの元を訪れる。そして、彼女に誘われて、ポワロは、彼女とボディーガードのヴィターレ・ポルトフォリオ(Vitale Portfoglio)と一緒に、元オペラ歌手のロウィーナ・ドレイク(Rowena Drake)の屋敷において催されるハロウィーンパーティーに出席することになった。


<注3>

アガサ・クリスティーの原作の場合、ポワロが事件に関与するのは、ジョイス・レイノルズ(Joyce Reynolds)がロウィーナ・ドレイクの自宅の図書室において溺死させられてからであるが、今回の映画版の場合、事件が発生する前から、ポワロは関与している。


<注4>

アガサ・クリスティーの原作の場合、ロウィーナ・ドレイクは、ウッドリーコモンの中心的な存在と言う設定ではあるが、彼女の職業については、特に言及されていない。今回の映画版の場合、ロウィーナ・ドレイクは、元オペラ歌手と言う設定になっている。


<注5>

アガサ・クリスティーの原作の場合、ロウィーナ・ドレイクの自宅は、「リンゴの木荘(Apple Trees House)」と言う名前の屋敷であるが、今回の映画版の場合、ロウィーナ・ドレイクの自宅は、宮殿(palazzo)のような屋敷となっている。また、その屋敷には、子供の亡霊が出ると言う噂がある謎めいた場所と言う設定にもなっている。


(3)

ロウィーナ・ドレイクの屋敷において、大勢の子供達を招いたハロウィーンパーティーが終わった後、謎めいた霊能者のジョイス・レイノルズによる降霊会(seance)が開催される。

降霊会は、ロウィーナ・ドレイクの最愛の娘で、1年前に亡くなったアリシア・ドレイク(Alicia Drake)の霊を呼び出すのが、その目的だった。

アリシア・ドレイクは、若きシェフのマキシム・ジェラード(Maxime Gerard)と婚約していたが、2人の関係が悪化した結果、自宅のバルコニーから身を投げて、自殺したものと、地元警察は結論を下していたのである。


<注6>

アガサ・クリスティーの原作の場合、ロウィーナ・ドレイクの屋敷において、ハロウィーンパーティーが終わった後、降霊会が開催される流れにはなっていないが、今回の映画版の場合、独自の展開になっている。


<注7>

アガサ・クリスティーの原作の場合、ジョイス・レイノルズの年齢は13歳で、ハロウィーンパーティーの準備の手伝いをしていた際、突然、「ずっと前に殺人を目撃したことがある。ただ、当時は、それが殺人だと判らなかった。(I witnessed a murder once, when I was little. I didn’t understand what was going on at the time.)」と言い出している。今回の映画版の場合、ジョイス・レイノルズは、年配の女性で、謎めいた霊能者と言う人物設定に変更されている。


<注8>

アガサ・クリスティーの原作の場合、ロウィーナ・ドレイクに娘が居ると言う設定になっていないが、今回の映画版の場合、ロウィーナ・ドレイクには、アリシア・ドレイクと言う最愛の娘が居たが、1年前に、自宅のバルコニーから落ちて死亡したという設定になっている。


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