2023年2月15日水曜日

アガサ・クリスティーの世界<ジグソーパズル>(The World of Agatha Christie )- その14

英国の Orion Publishing Group Ltd. から出ている「アガサ・クリスティーの世界(The World of Agatha Christie)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)の生涯や彼女が執筆した作品等に関連した90個の手掛かりについて、前回に続き、紹介していきたい。


今回も、アガサ・クリスティーが執筆した作品に関連する手掛かりの紹介となる。


(48)黒鶫<クロツグミ>(blackbird)


右側の窓の外の縁には、
ミス・マープルが節をつけて歌い出したマザーグースの童謡の中に出てくる
黒鶫(クロツグミ)がとまっている。

(49)洗濯バサミ(clothes peg)


左側の窓の手前の床には、
3番目の被害者となるメイドのグラディス・マーティンの鼻を挟んでいた
洗濯バサミが落ちている。


本ジグソーパズル内において、アガサ・クリスティーが腰掛けている椅子の右側の窓の外の縁に、鶫がとまっている。また、アガサ・クリスティーが座る椅子の左側の窓の手前の床に、洗濯バサミが落ちている。
これらから連想されるのは、アガサ・クリスティーが1953年に発表したミス・ジェイン・マープル(Miss Jane Marple)シリーズの長編第6作目の「ポケットにライ麦を(A Pocket Full of Rye)」である。本作品は、マザーグース(Mother Goose)の童謡の歌詞通りに、殺人事件が発生する「見立て殺人」をテーマにしており、ある関係で事件に関与することになったミス・マープルが、警察から話を暫く聞いた後、突然、節をつけて歌い出した「ポケットにライ麦を詰めて歌うは、町の唄。」で始まり、「そこへ小鳥が飛んで来て、可愛いお鼻を突っ突いた。」で終わるマザーグースの童謡の中に、「黒鶫」が登場する。また、3番目の被害者となるメイドのグラディス・マーティン(Gladys Martin)は、絞殺死体となって発見されるのであるが、彼女の鼻は、「洗濯バサミ」で挟まれていた。


Harper Collins Publishers 社から出版されている
「ポケットにライ麦を」のペーパーバック版の表紙
<イラスト:ビル・ブラッグ氏(Mr. Bill Bragg)>


ロンドンにある投資信託会社の社長であるレックス・フォーテスキュー(Rex Fortescue)が、オフィスにおいて、朝の紅茶を飲んだ後、急逝したため、スコットランドヤードのニール警部(Inspector Neele)が、捜査に入った。


検死解剖の結果、レックス・フォーテスキューの体内から、イチイの木(yew tree)から抽出される毒性のアルカロイド(toxic alkaloid)であるタキシン(taxine)が見つかり、死因は、タキシンによる中毒であることが判明した。レックス・フォーテスキューは、朝食でとったマーマレードと一緒に、タキシンを摂取したものと思われた。

更に、レックス・フォーテスキューの着衣を調べたところ、不思議なことに、上着のポケットから、大量のライ麦(rye)が出てきたのである。


ビル・ブラッグ氏が描く
ミス・マープルシリーズの長編第6作目である
「ポケットにライ麦を」の一場面


当然のことながら、スコットランドヤードによって、レックス・フォーテスキューの後妻であるアディール・フォーテスキュー(Adele  Fortescue)が、第一容疑者と見做された。

ケニア(Kenya)において結婚したばかりの次男のランスロット・ フォーテスキュー(Lancelot Fortescue - 愛称:ランス(Lance))と妻のパトリシア・フィーテスキュー(Patricia Fortescue - 愛称:パット(Pat))の二人は、レックス・フォーテスキューの招待に応じて、丁度、ケニアからロンドンへと向かっている最中で、「翌日、英国に帰国する。」という電報がパリから入ったので、警察が空港まで彼らを出迎えに行った。


ランスロットが、妻のパトリシアをロンドンに残して、サリー州(Surrey)ベイドンヒース(Baydon Heath)にあるフォーテスキュー家の邸宅イチイ荘(Yewtree Lodge)に到着した正にその日、義理の母親アディールが、青酸カリ(cyanide)が混入された紅茶を飲んで、死亡した。

更に、その数時間後、メイドのグラディス・マーティン(Gladys Martin)が、イチイ荘の庭において、絞殺死体で発見された。しかも、彼女の鼻には、洗濯バサミが付けられていたのである。


ニール警部は、ヘイ巡査部長(Sergeant Hay)と一緒に、捜査を進めるものの、残念ながら、何の進展も得られなかった。

そこへ、3件の殺人事件の記事を新聞で読んだミス・マープルが、イチイ荘を訪れる。不思議な縁で、亡くなったメイドのグラディスは、以前、マープルの家でメイドとして働いていたからである。


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