2025年4月29日火曜日

コナン・ドイル作「緑柱石の宝冠」<小説版>(The Beryl Coronet by Conan Doyle )- その1

英国で出版された「ストランドマガジン」
1892年5月号に掲載された挿絵(その1) -
物語が始まるのは、明るく爽やかな2月の朝だったが、前日に降った雪がまだ地面に厚く積もっていた。
シャーロック・ホームズが出窓から通りを見下ろしていたところ、
スレッドニードルストリートにあるホールダー&スティーヴンスン銀行
(シティー内では2番目に大きな民間銀行)の頭取を務めている
アレクサンダー・ホールダーが、ホームズの元を訪れる。
ホームズの部屋に入って来た
アレクサンダー・ホールダーの目には、苦悩と絶望の色が見えた。
じっとしていられない
アレクサンダー・ホールダーを、
ホームズは落ち着かせようとして、手を叩くと、宥めるような口調で話しかけるのであった。
画面左側から、ジョン・H・ワトスン、シャーロック・ホームズ、
そして、
アレクサンダー・ホールダー


英国の作家であるミシェル・バークビー(Michelle Birkby)作の長編「ベイカー街の女たち(The House at Baker Street → 2025年3月30日 / 4月2日 / 4月10日 / 4月26日付ブログで紹介済)」(2016年)の場合、他のパスティーシュとは異なり、シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンではなく、2人が下宿するベーカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)の家主であるハドスン夫人(Mrs/ Hudson)と呼ばれているマーサ・ハドスン(Martha Hudson)と、「四つの署名(The Sign of the Four → 2017年8月12日付ブログで紹介済)を経てワトスン夫人(Mrs. Watson)となったメアリー・ワトスン(Mary Watson)の2人が主人公となり、ホームズとワトスンは脇役へとまわる。

なお、ハドスン夫人のファーストネームが「マーサ」となっているのは、コナン・ドイル作「最後の挨拶(His Last Bow → 2021年6月3日付ブログで紹介済)」に登場する老婦人のマーサは、ハドスン夫人であると言う作者ミシェル・バークビーによる想定に基づいている。


マーサ・ハドスンとメアリー・ワトスンは、ホームズの元を訪れるものの、相談内容の詳細を明らかにできなかったため、依頼を断られてしまったローラ・シャーリー(Mrs. Laura Shirley)に対して、手を差し伸べるところから、物語が動き出す。

マーサ・ハドスンとメアリー・ワトスンの2人は、ホームズとは異なり、事件捜査の専門家ではないものの、ホームズの捜査手法をある程度理解しているので、


*ベーカーストリート不正規隊(Baker Street Irregulars)のリーダーであるウィギンズ(Wiggins)

*ベーカーストリート221B の給仕であるビリー(Billy)

*ホームズが「あの女性(ひと)」と呼ぶアイリーン・ノートン(Irene Norton - 旧姓:アドラー(Adler))


のサポートを受けつつ、調べを進めていく。

そして、最後に、彼女達は、事件の背後に潜む強請屋(ゆすりや)の正体を明らかにする。犯人の強請屋は、自分の立場を使って得た情報を利用して、金銭目的ではなく、自分の支配力を誇示したいがために、大勢の女性を食い物にしていた上に、自分の正体を知る人物達を殺害までしていたのである。


マーサ・ハドスンとメアリー・ワトスンの2人が、事件の背後に潜む強請屋の正体を調べていく過程で、容疑者の一人として、サー・ジョージ・バーンウェル(Sir George Burnwell)が登場する。


サー・ジョージ・バーンウェルは、サー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)作「緑柱石の宝冠(The Beryl Coronet)」に登場する人物で、スレッドニードルストリート(Threadneedle Street → 2014年10月30日付ブログで紹介済)にあるホールダー&スティーヴンスン銀行(banking firm of Holder & Stevenson - シティー(City → 2018年8月4日 / 8月11日付ブログで紹介済)内では2番目に大きな民間銀行)の頭取を務めているアレクサンダー・ホールダー(Alexander Holder)の息子アーサー・ホールダー(Arthur Holder)の友人である。


緑柱石の宝冠」は、シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、11番目に発表された作品で、英国の「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1892年5月号に掲載された。

同作品は、同年の1892年に発行されたホームズシリーズの第1短編集「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」に収録されている。


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