2023年7月16日日曜日

アガサ・クリスティー作「あなたの庭はどんな庭?」<英国 TV ドラマ版>(How Does Your Garden Grow? by Agatha Christie )- その3

第21話「あなたの庭はどんな庭?」が収録された
エルキュール・ポワロシリーズの DVD コレクション No. 2 の裏表紙

英国の TV 会社 ITV 社が制作したアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「あなたの庭はどんな庭?(How Does Your Garden Grow?)」(1935年)の TV ドラマ版が、英国の TV 会社 ITV 社による制作の下、「Agatha Christie’s Poirot」の第21話(第3シリーズ)の場合、アガサ・クリスティーの原作に比べると、物語の展開上、引き続き、以下の違いが見受けられる。


(1)

<原作>

原作の場合、ローズバンク荘(Rosebank)に住むアメリア・バロウビー(Amelia Barrowbyがストリキニーネで毒殺された事件について、現地警察のシムス警部(Inspector Sims)捜査を担当する


<英国 TV ドラマ版>

英国 TV ドラマ版の場合、アメリア・バロウビーがストリキニーネで毒殺された事件について、スコットランドヤードのジャップ主任警部(Chief Inspector Japp)が捜査を担当するため、シムス警部は登場しない。その代わりに、アメリア・バロウビーの掛かり付け医として、シムス医師(Dr. Sims)が登場する。


(2)

<原作>

原作の場合、地元警察による捜索の結果、アメリア・バロウビー話相手(コンパニオン)であるロシア人女性カトリーナ・リーガー(Katrina Rieger)の部屋から、ストリキニーネが入った瓶が発見されて、彼女は、アメリア・バロウビーの殺害犯人として疑われる。

実際のところ、彼女は普通の民間人で、出番は多くなく、スポットライトがあたることは、それ程ない。


<英国 TV ドラマ版>

英国 TV ドラマ版の場合も、スコットランドヤードによる捜索の結果、アメリア・バロウビー話相手(コンパニオン)であるロシア人女性カトリーナ・レイガー(Katrina Reiger → 原作に比べると、名前が若干変更されている)の部屋から、ストリキニーネが入った瓶が発見されて、彼女は、アメリア・バロウビーの殺害犯人として疑われる。


アメリア・バロウビーをストリキニーネで毒殺したと疑われ、姿を消してしまったカトリーナ・レイガーの居所を突き止めたエルキュール・ポワロは、彼女に対して、警察への出頭を勧める。この場面は、ロンドンの中心部シティー・オブ・ウェストミンスター区(City of Westminster)のベイズウォーター地区(Bayswater)内に所在する聖ソフィア大聖堂(St. Sophia Cathedral → 2016年9月11日付ブログで紹介済)の内部で撮影されている。


聖ソフィア大聖堂の外観全景

入口ホールから撮った天井から吊り下げられている十字架


その後、教会の外でポワロが彼女をスコットランドヤードのジャップ主任警部に引き渡す場面では、聖ソフィア大聖堂ではなく、ロンドンの中心部シティー・オブ・ウェストミンスター区のブロンプトン地区(Brompton)内に所在するロシア正教会(Russian Orthodox Cathedral → 2016年9月18日付ブログで紹介済)の外観が使用されている。


ロシア正教会の外観全景


英国 TV ドラマ版の場合、カトリーナ・レイガーは、ソビエト連邦から逃れて、英国へとやって来たロシア貴族の娘であることが、物語の終盤、明らかにされる。


(3)

<原作>

物語の終盤、ローズバンク荘の庭において、ポワロは事件の真相を明らかにするが、その際、同席するのは、アメリア・バロウビーの姪であるメアリー・デラフォンテーン(Mary Delafontaine)のみである。


<英国 TV ドラマ版>

ローズバンク荘の庭において、ポワロが事件の真相を明らかにするのは、原作と同様であるが、その際、メアリー・デラフォンテーンの他に、メアリー・デラフォンテーンの夫であるヘンリー・デラフォンテーン(Henry Delafontaine)とアメリア・バロウビーの掛かり付け医であるシムス医師も同席する。彼らに加えて、アメリア・バロウビーのメイドであるルーシー(Lucy)が、テーブルの上の後片付けをしている。


(4)

<原作>

ポワロからアメリア・バロウビーの殺害犯人として指摘されたメアリー・デラフォンテーンは、否定することも、また、逃亡することもなく、ポワロの指摘をおとなしく受け入れる。


<英国 TV ドラマ版>

ポワロからアメリア・バロウビーの殺害犯人として指摘されたメアリー・デラフォンテーンは、逃亡しようとして、庭内を走り回って、暴れる。


(5)

<英国 TV ドラマ版>

アメリア・バロウビーの殺害犯人として、彼女の姪であるアメリア・バロウビーの姪であるメアリー・デラフォンテーンと夫のヘンリー・デラフォンテーンが逮捕された結果、カトリーナ・レイガーは釈放され、ソビエト連邦の大使館員であるニコライ(Nicholai)が出迎える。カトリーナとニコライは、恋人同士で、2人は、運転手に対して、「リッツホテルへお願い。(To the Ritz)」と伝えて、去って行く。


また、アーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Arthur Hastings)に罹った謎の花粉症状は、王立園芸協会(Royal Horticultural Society)主催のチェルシーフラワーショー(RHS Chelsea Flower Show)において、自分の名前を冠したピンクローズが披露される際に、スピーチを行うことになり、張り切ったポワロがある店で購入したコロンが原因だったことが判明する。つまり、アーサー・ヘイスティングス大尉は、ポワロが買ったコロンの香りに対して、アレルギー症状を呈していたのである。ポワロが「このコロンは、5ギニアで買った。」と言うと、アーサー・ヘイスティングス大尉は、「1年間分の散髪代だ!」と非常に驚く。アーサー・ヘイスティングス大尉達が去った後、ポワロがもう一度コロンの香りを確認する場面を以って、物語は終わりを迎える。


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