英国の Orion Publishing Group Ltd. から出ている「アガサ・クリスティーの世界(The World of Agatha Christie)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)の生涯や彼女が執筆した作品等に関連した90個の手掛かりについて、前回に続き、紹介していきたい。
今回も、アガサ・クリスティーが執筆した作品に関連する手掛かりの紹介となる。
(70)パイナップルの石像(Stone pineapple)
アガサ・クリスティー作「殺人は容易だ」(1939年)において、 パイナップルの石像は、ホイットフィールド卿の運転手だった リヴァースを殺害するための凶器として使用されている。 |
本ジグソーパズル内において、アガサ・クリスティーが腰掛けている椅子の右側にある本棚の上の一番右端に、パイナップルの石像が置かれている。
これから連想されるのは、アガサ・クリスティーが1939年に発表した長編「殺人は容易だ(英題: Murder Is Easy / 米題: Easy to Kill)」である。
インドの駐在警官を退職して、英国へと戻って来た元警察官のルーク・フィッツウィリアム(Luke Fitzwilliam)は、ロンドンへと向かう途中、列車内で偶然乗り合わせた老婦人のラヴィニア・ピンカートン(Lavinia Pinkerton)との間で、会話を交わすことになる。
彼女曰く、彼女が住んでいるウィッチウッド・アンダー・アッシュ村(Wychwood under Ashe - ロンドンから35マイル程離れたところに所在)において、連続殺人事件が起きていることを、スコットランドヤードに通報しに行くところ、とのことだった。
彼女によると、
*ハリー・カーター(Harry Carter):パブ「セブンスターズ(Seven Stars)」の経営者 / 泥酔して、橋の上で足を滑らせ、川へ落ちて溺死。
*エイミー・ギブス(Amy Gibbs):メイド / 咳止めの薬と間違って、帽子の染料を飲んで死亡。
*トミー・ピアース(Tommy Pierce):悪戯好きの少年 / 図書館の窓拭きをしている最中に、3階の窓から転落して死亡。
の3人が既に殺されており、次の犠牲者として、村の開業医であるハンブルビー医師
(Dr. Hmbleby)の命が狙われていると言う。
別れ際、ラヴィニア・ピンカートンは、ルーク・フィッツウィリアムに対して、「殺
人は、とても容易だ。」と告げると、ロンドンの雑踏の中へと消えて行ったが、ル
ーク・フィッツウィリアムとしては、彼女の話の内容には半信半疑だった。
翌日、ルーク・フィッツウィリアムは、昨日、列車内で乗り合わせたラヴィニア・ピ
ンカートンが、スコットランドヤードへと向かう途中、車に轢き逃げされて、亡くな
ったことを朝刊で知った。
更に、その数日後、ラヴィニア・ピンカートンが言及していたハンブルビー医師が、
引っ掻き傷が化膿して(敗血症)、亡くなったことも、新聞で報じられた。
当初は半信半疑だったルーク・フィッツウィリアムも、ラヴィニア・ピンカートンと
彼女の話に出てきたハンブルビー医師の2人が実際に亡くなったことを受けて、彼女
の話を信じるに至った。また、元警察官として、彼女が懸念していた事件にも、興味
を抱いた。
そこで、ルーク・フィッツウィリアムは、ラヴィニア・ピンカートンが住んでいたウ
ィッチウッド・アンダー・アッシュ村へと向かった。そして、彼は、地方に伝わる迷
信に関する本を執筆している人類学者になりすますと、その資料集めのためと称し
て、ホイットフィールド卿(Lord Whitfield - 元々は、村の靴屋の息子であった
が、自分の腕一本で、新聞界の大立者にまでのし上がった人物)が住むアッシュ荘
(Ashe Manor)に滞在する。
ウィッチウッド・アンダー・アッシュ村の調査を秘密裏に始めたルーク・フィッツウ
ィリアムは、退役軍人のホートン少佐(Major Horton)の妻リディア・ホートン
(Lydia Horton)も、最近、亡くなっていることを知る。彼女は、急性胃炎から回
復して、快方へと向かっていたが、突然、再発してなくなったのである。
ウィッチウッド・アンダー・アッシュ村では、一体、何が起きているのだろうか?亡
くなったラヴィニア・ピンカートンが話した通り、連続殺人犯が暗躍しているのか?
なお、ウィッチウッド・アンダー・アッシュ村で暗躍する連続殺人犯が、ホイットフ
ィールド卿の運転手を解雇されたリヴァース(Mr. Rivers)をサンドバッグで殴った
後、彼の頭蓋骨を陥没させて、殺害するのに、パイナップルの石像が使用されてい
る。
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