1965年2月9日に、ロイヤルオペラハウス(Royal Opera House → 2015年8月29日付ブログで紹介済)において、英国ロイヤルバレエ団(The Royal Ballet)によって初演された英国のバレエ振付家であるサー・ケネス・マクミラン(Sir Kenneth MacMillan:1929年ー1992年)版「ロミオとジュリエット(Romeo and Juliet)」は、興行成績と批評の両面で、大成功を収めた。
ジュリエット・キャピュレット(Juliet Capulet)役のディム・マーゴ・フォンティン(Dame Margot Fonteyn:1919年ー1991年 / 英国のバレエダンサー)とロミオ・モンタギュー(Romeo Montague)役のルドルフ・ヌレエフ(Rudolf Nureyev:1938年ー1993年 / ソ連のバレエダンサー)は、カーテンコールに43回も呼び出された。いつまでも鳴り止まない拍手といつまでも帰らない観客に対処するために、最終的に、英国ロイヤル・バレエ団は、舞台の防火幕を降ろすことになった。
当時、マーゴ・フォンティンは、年齢的に、引退間近と見做されていたが、今回の大成功、そして、ルドルフ・ヌレエフとのパートナーシップにより、彼女は自分のキャリアを再出発させることができたのである。
当初、ケネス・マクミランがジュリエット役とロミオ役に据えていたリン・シーモア(Lynn Seymour:1939年ー2023年 / カナダのバレエダンサー、振付家)とロミオ・モンタギュー(Romeo Montague)役に同バレエ団のクリストファー・マイケル・ゲイブル(Christopher Michael Gable:1940年ー1998年 / 英国のバレエダンサー、振付家、俳優)のペアは、セカンドキャストとして、ケネス・マクミラン版「ロミオとジュリエット」に主演した。
リン・シーモアとクリストファー・マイケル・ゲイブルの2人も、批評家から好意的に評価されたことに加えて、観客からも非常に高い支持を得た。
ケネス・マクミラン版「ロミオとジュリエット」は、彼の大きな功績で、英国ロイヤルバレエ団の演目に素晴らしい一作が加えられたと、批評家により絶賛されたが、リン・シーモアとクリストファー・マイケル・ゲイブルの2人が初日の主役を踊れなかったことに、ケネス・マクミランは、非常に落胆した。また、英国ロイヤルバレエ団全体にも、大きな失望を与えた。
その結果、ケネス・マクミランは、西ベルリンを拠点とするドイツオペラバレエ団(Deutsche Oper Ballet)の芸術監督のオファーを受けて、英国ロイヤルバレエ団を去った。その際、彼は、リン・シーモアを連れて、ドイツオペラバレエ団へと移籍したのである。
一方、クリストファー・マイケル・ゲイブルは、バレエを離れて、他の活動へと向かうことになった。
ケネス・マクミランは、1966年から1969年の間、ドイツオペラバレエ団の芸術監督を務めたが、振付家で、1963年から1970年にかけて、英国ロイヤルバレエ団の芸術監督を務めていたサー・フレデリック・アシュトン(Sir Frederick Ashton:1904年ー1988年)の後を継いで、1970年に英国ロイヤルバレエ団の芸術監督に就任した。
彼は、1970年から1977年の間、英国ロイヤルバレエ団の芸術監督を務めた後、1977年に芸術監督から退いたが、1977年から1992年の長きにわたって、英国ロイヤルバレエ団の首席振付家(Principal Choreographer)として、引き続き、同団に貢献したのである。
ケネス・マクミラン版「ロミオとジュリエット」は、現在、英国ロイヤルバレエ団の定番演目の一つである。
また、ケネス・マクミランは、スウェーデンのストックホルムに拠点を置くスウェーデン王立バレエ団(Royal Swedish Ballet)、米国のニューヨークを拠点とするアメリカンバレエシアター(American Ballet Theatre)や英国のバーミンガムに拠点を置くバーミンガムロイヤルバレエ団(Birmingham Royal Ballet)等、世界中のバレエ団に同版を振り付けているので、世界中で定番演目になっていると言える。
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