2023年1月21日土曜日

シャーロック・ホームズの世界<ジグソーパズル>(The World of Sherlock Holmes )- その12

英国の Laurence King Publishing Group Ltd. から出ている「シャーロック・ホームズの世界(The World of Sherlock Holmes)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているシャーロック・ホームズシリーズに登場する人物や物語の舞台となる建物、また、作者であるサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年-1930年)本人と彼に関連する人物等、50個にわたる手掛かりについて、引き続き、順番に紹介していきたい。

今回も、前回に続き、シャーロック・ホームズが使用するアイテム(品物や道具類等)となる。


(47)ペルシア製スリッパ(Persian slipper)


短編「青いガーネット(The Blue Carbuncle)」の舞台となる
「アルファイン(Alpha Inn)」の近くにある建物の上に、
ペルシア製スリッパが置かれている。


通常、シャーロック・ホームズは、ペルシア製スリッパの爪先や石炭入れの引き出しに、シャグと言う強いパイプ煙草を入れて、愛飲していた。

ホームズは、一旦推理を始めると、途端にヘヴィースモーカーへと変貌する。ホームズが推理に打ち込み始めると、ベイカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日付ブログで紹介済)の室内は、彼が吸う煙草の煙がもうもうと立ち込める。場合によると、ホームズは、一晩に1オンス(約29グラム)を使ってしまうのである。


(48)酒瓶棚(tantalus)


挿絵画家であるシドニー・エドワード・パジェット(Sidney Edward Paget:1860年ー1908年)が
ホームズシリーズ用の挿絵を描いている建物の屋上の横に、
酒瓶棚が置かれている。


鍵付きの棚で、瓶の酒量が見えるようになっている。


挿絵画家のシドニー・パジェットが描く
「片手の親指を無残に切断された水力技師のヴィクター・ハザリー(Victor Hatherley)のために、
ブランデーの水割りが入ったコップを、彼の手が届く場所に置くホームズ」。
(「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」1892年3月号の
「技師の親指(The Engineer's Thumb)」より)


(49)炭酸水製造器(gasogene)


クライテリオンバー(Criterion Bar)の入口に、
ガソジーンが置かれている。
ガソジーンの左横のテーブルには、
セントバーソロミュー病院(St. Bartholomew's Hospital)において、
ジョン・H・ワトスンの外科手術助手(dresser)だった
スタンフォード青年(Stamford)が座っている。


これは、炭酸水製造器で、アルカリ炭酸塩と酸の化学反応により、少量の炭酸水をつくるものである。

ホームズがウィスキーのソーダ割りを飲むために使っていたもので、英国の家庭では、当時、よく使われていた模様。


(50)ストラディヴァリウス(Stradivarius violin)


ベイカーストリート不正規隊(Baker Street Irregulars)がたむろしている樽の上に、
ストラディヴァリウスが置かれている。


ホームズの愛器は、「ストラディヴァリウス」と呼ばれるヴァイオリンである。


「ストラディヴァリウス」は、イタリアのストラディヴァリ父子3人(父:アントニオ、子:フランチェスコ、子:オモボノ)が製作した弦楽器で、特に、父親の名工アントニオ・ストラディヴァリ(Antonio Stradivari:正確な誕生年は不明(1644年、1648年や1649年等、諸説あり)ー1737年)が17世紀後半から18世紀前半にかけて製作した弦楽器が有名である。

ストラディヴァリ父子は、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、マンドリンやギター等の弦楽器を約1100-1300挺製作したとされているが、現存するのは、約600挺とのこと。


トッテナムコートロードの南側を望む


ホームズは、少なくとも500ギニー(現在の1000万円以上)の値打ちがあるこの愛器を、トッテナムコートロード(Tottenham Court Road → 2015年8月15日付ブログで紹介済)にあるユダヤ人の質屋において、僅か55シリング(現在の数万円)で手に入れたことが、自慢であった。


ホームズは、真夜中、事件がない暇な時、あるいは、考えに浸る際に、「ストラディヴァリウス」を手にして、演奏を行った。また、事件が解決した後、その解放感に浸る際にも、ホームズは愛器を手放さなかった。事件の解決までに高ぶった精神を静めるためなのであろう。


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