英国の Laurence King Publishing Group Ltd. から出ている「シャーロック・ホームズの世界(The World of Sherlock Holmes)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているシャーロック・ホームズシリーズに登場する人物や物語の舞台となる建物、また、作者であるサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年-1930年)本人と彼に関連する人物等、50個にわたる手掛かりについて、引き続き、順番に紹介していきたい。
なお、本ジグソーパズル内に描かれているロンドンの建物に関して言うと、実際の位置関係とは大きく異なっているので、誤解がないようにお願いしたい。
舞台は、再び、ロンドンを離れ、英国の南西部デヴォン州(Devon)内に所在するダートムーア(Dartmoor)へと移る。
ホームズシリーズにおいて、ダートムーアは、短編「名馬シルヴァーブレイズ(Silver Blaze)」と長編「バスカヴィル家の犬(The Hound of the Baskervilles)」の舞台となっている。
「名馬シルヴァーブレイズ」は、ホームズシリーズの短編小説56作のうち、13番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1892年12月号に、また、米国では、「ハーパーズ ウィークリー(Harper’s Weekly)」の1893年2月25日号に掲載された。
また、同作品は、1893年に発行されたホームズシリーズの第2短編集「シャーロック・ホームズの回想(The Memoirs of Sherlock Holmes)」に収録された。
(29)名馬シルヴァーブレイズ(Silver Blaze)
(30)ジョン・ストレイカー(John Straker)
シルヴァーブレイズは、鹿毛の馬(bay horse)で、額から鼻先にかけて、流れ星のような白い班(blaze)があるため、「Silver Blaze」と呼ばれているのである。
挿絵画家であるシドニー・エドワード・パジェット (Sidney Edward Paget:1860年ー1908年)が描く 「名馬シルヴァーブレイズ」。 (「ストランドマガジン」1892年12月号の「名馬シルヴァーブレイズ」より) |
シルヴァーブレイズが失踪する夜、予想屋(bookmaker)と思われる怪しい男(後に、フィッツロイ・シンプスン(Fitzroy Simpson)と判明)が、シルヴァーブレイズの厩舎であるキングスパイランド(King’s Pyland)を訪れる。怪しい男を見た馬丁のネッド・ハンター(Ned Hunter)が犬を嗾け用としたところ、怪しい男は、既に逃げ出して、姿を消した後だった。
その夜(午前1時)、シルヴァーブレイズの調教師であるジョン・ストレイカーが、厩舎の様子を見に行ったまま、戻って来なかった。翌朝、ジョン・ストレイカーの妻が厩舎へ行ったところ、徹夜で見張りをしている筈のネッド・ハンターが、彼の夕食に混入された薬により、眠らされているのが見つかった。そして、シルヴァーブレイズとジョン・ストレイカーの姿は、何処にも居なかったのである。
その後、厩舎から離れた茂みの中において、頭を鈍器のようなもので殴られて、腿を刃物で切られたジョン・ストレイカーの死体が発見された。ジョン・ストレイカーは、右手に血のついた外科用のメスを、左手にスカーフタイを握っていたため、地元の警察は、そのスカーフタイの持ち主で、昨晩、厩舎を訪れた予想屋のフィッツロイ・シンプスンを逮捕したのである。
挿絵画家であるシドニー・パジェットが描く 「名馬シルヴァーブレイズの調教師であるジョン・ストレイカー」。 (「ストランドマガジン」1892年12月号の「名馬シルヴァーブレイズ」より) |
「バスカヴィル家の犬」は、ホームズシリーズの長編小説4作のうち、3番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン」の1901年8月号から1902年4月号にかけて連載された後、単行本化された。
(31)バスカヴィル館(Baskerville Hall)
挿絵画家であるシドニー・パジェットが描く 「バスカヴィル館」- 残念ながら、屋敷の全体像が描かれた挿絵は存在していない。 (「ストランドマガジン」の「バスカヴィル家の犬」より) |
(33)バスカヴィル家の犬(The Hound of the Baskervilles)
彼は、毎晩、就寝する前に、屋敷のイチイ並木を散歩する習慣があり、ロンドンへ出かける前夜の1888年5月4日の夜も、散歩に出たが、12時を過ぎても、戻って来なかったため、執事のバリーモア(Barrymore)が彼を探したところ、彼の死体が、屋敷の敷地内の小路で発見された。
彼の死体には、暴行を受けたような痕はなかったものの、彼の顔は苦痛に歪んでおり、表向きは、心臓発作による病死と診断された。しかしながら、彼の死体の側には、想像できない程、巨大な犬の足跡が残されていたのである。
挿絵画家であるシドニー・パジェットが描く 「サー・チャールズ・バスカヴィル(画面手前の人物)」と 「執事のバリーモア(画面奥の人物) (「ストランドマガジン」の「バスカヴィル家の犬」より) |
バスカヴィル家の犬とは、荒涼としたダートムーアに出現する巨大な黒い魔犬で、悪行を重ねたかつての当主であるヒューゴ・バスカヴィル(Hugo Baskerville)は、この巨大な黒い魔犬に、喉笛を咬みちぎって殺されたという伝説が、バスカヴィル家には、代々伝わっている。
挿絵画家であるシドニー・パジェットが描く 「伝説の巨大な黒い魔犬」 (「ストランドマガジン」の「バスカヴィル家の犬」より) |
(34)ジャック・ステイプルトン(Jack Stapleton)
挿絵画家であるシドニー・パジェットが描く 「ジャック・ステイプルトン(画面左側の人物)」と 「ジョン・H・ワトスン(画面右側の人物)」 (「ストランドマガジン」の「バスカヴィル家の犬」より) |
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