2023年1月12日木曜日

シャーロック・ホームズの世界<ジグソーパズル>(The World of Sherlock Holmes )- その7

英国の Laurence King Publishing Group Ltd. から出ている「シャーロック・ホームズの世界(The World of Sherlock Holmes)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているシャーロック・ホームズシリーズに登場する人物や物語の舞台となる建物、また、作者であるサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年-1930年)本人と彼に関連する人物等、50個にわたる手掛かりについて、引き続き、順番に紹介していきたい。

なお、本ジグソーパズル内に描かれているロンドンの建物に関して言うと、実際の位置関係とは大きく異なっているので、誤解がないようにお願いしたい。


舞台は、再び、ロンドンを離れ、英国の南西部デヴォン州(Devon)内に所在するダートムーア(Dartmoor)へと移る。


ホームズシリーズにおいて、ダートムーアは、短編「名馬シルヴァーブレイズ(Silver Blaze)」と長編「バスカヴィル家の犬(The Hound of the Baskervilles)」の舞台となっている。



名馬シルヴァーブレイズ」は、ホームズシリーズの短編小説56作のうち、13番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1892年12月号に、また、米国では、「ハーパーズ ウィークリー(Harper’s Weekly)」の1893年2月25日号に掲載された。

また、同作品は、1893年に発行されたホームズシリーズの第2短編集「シャーロック・ホームズの回想(The   Memoirs of Sherlock Holmes)」に収録された。


(29)名馬シルヴァーブレイズ(Silver Blaze)

(30)ジョン・ストレイカー(John Straker)


シルヴァーブレイズは、ロス大佐(Colonel Ross)が所有する競走馬で、近々開催されるウェセックスカップ(Wessex Cup)の本命馬であったが、突然失踪したため、大事となった。


シルヴァーブレイズは、鹿毛の馬(bay horse)で、額から鼻先にかけて、流れ星のような白い班(blaze)があるため、「Silver Blaze」と呼ばれているのである。


挿絵画家であるシドニー・エドワード・パジェット
(Sidney Edward Paget:1860年ー1908年)が描く

「名馬シルヴァーブレイズ」。
(「ストランドマガジン」1892年12月号の「名馬シルヴァーブレイズ」より)


ジョン・ストレイカーは、名馬シルヴァーブレイズの調教師である。


シルヴァーブレイズが失踪する夜、予想屋(bookmaker)と思われる怪しい男(後に、フィッツロイ・シンプスン(Fitzroy Simpson)と判明)が、シルヴァーブレイズの厩舎であるキングスパイランド(King’s Pyland)を訪れる。怪しい男を見た馬丁のネッド・ハンター(Ned Hunter)が犬を嗾け用としたところ、怪しい男は、既に逃げ出して、姿を消した後だった。

その夜(午前1時)、シルヴァーブレイズの調教師であるジョン・ストレイカーが、厩舎の様子を見に行ったまま、戻って来なかった。翌朝、ジョン・ストレイカーの妻が厩舎へ行ったところ、徹夜で見張りをしている筈のネッド・ハンターが、彼の夕食に混入された薬により、眠らされているのが見つかった。そして、シルヴァーブレイズとジョン・ストレイカーの姿は、何処にも居なかったのである。

その後、厩舎から離れた茂みの中において、頭を鈍器のようなもので殴られて、腿を刃物で切られたジョン・ストレイカーの死体が発見された。ジョン・ストレイカーは、右手に血のついた外科用のメスを、左手にスカーフタイを握っていたため、地元の警察は、そのスカーフタイの持ち主で、昨晩、厩舎を訪れた予想屋のフィッツロイ・シンプスンを逮捕したのである。


挿絵画家であるシドニー・パジェットが描く
「名馬シルヴァーブレイズの調教師であるジョン・ストレイカー」。
(「ストランドマガジン」1892年12月号の「名馬シルヴァーブレイズ」より)


残念ながら、本ジグソーパズルの場合、ジョン・ストレイカーの両手には、何も描かれていない。できれば、コナン・ドイルの原作通り、キチンと描いてほしかった。



「バスカヴィル家の犬」は、ホームズシリーズの長編小説4作のうち、3番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン」の1901年8月号から1902年4月号にかけて連載された後、単行本化された。


(31)バスカヴィル館(Baskerville Hall)



今回の事件の舞台となるダートムーア内に建ち、バスカヴィル家の当主が代々住む屋敷である。


挿絵画家であるシドニー・パジェットが描く
「バスカヴィル館」-
残念ながら、屋敷の全体像が描かれた挿絵は存在していない。
(「ストランドマガジン」の「バスカヴィル家の犬」より)


32)サー・チャールズ・バスカヴィル(Sir Charles Baskerville)

(33)バスカヴィル家の犬(The Hound of the Baskervilles)



サー・チャールズ・バスカヴィルは、バスカヴィル家の現当主で、準男爵(Baronet)でもある。


彼は、毎晩、就寝する前に、屋敷のイチイ並木を散歩する習慣があり、ロンドンへ出かける前夜の1888年5月4日の夜も、散歩に出たが、12時を過ぎても、戻って来なかったため、執事のバリーモア(Barrymore)が彼を探したところ、彼の死体が、屋敷の敷地内の小路で発見された。

彼の死体には、暴行を受けたような痕はなかったものの、彼の顔は苦痛に歪んでおり、表向きは、心臓発作による病死と診断された。しかしながら、彼の死体の側には、想像できない程、巨大な犬の足跡が残されていたのである。


挿絵画家であるシドニー・パジェットが描く
「サー・チャールズ・バスカヴィル(画面手前の人物)」と
「執事のバリーモア(画面奥の人物)
(「ストランドマガジン」の「バスカヴィル家の犬」より)


挿絵画家であるシドニー・エドワード・パジェット(1860年ー1908年)による挿絵では、サー・チャールズ・バスカヴィルは、俯せに倒れているように描かれているが、本ジグソーパズルの場合、仰向けに倒れているように描かれている。できれば、原作の挿絵通り、俯せに倒れているように描いてほしかった。


バスカヴィル家の犬とは、荒涼としたダートムーアに出現する巨大な黒い魔犬で、悪行を重ねたかつての当主であるヒューゴ・バスカヴィル(Hugo Baskerville)は、この巨大な黒い魔犬に、喉笛を咬みちぎって殺されたという伝説が、バスカヴィル家には、代々伝わっている。


挿絵画家であるシドニー・パジェットが描く
「伝説の巨大な黒い魔犬
(「ストランドマガジン」の「バスカヴィル家の犬」より)


コナン・ドイルの原作上、出番はあまり多くないが、物語全体に漂う妖気を支配しており、本作品における実質的な主役と言っても、差し支えない。


(34)ジャック・ステイプルトン(Jack Stapleton)



ジャック・ステイプルトンは、サー・チャールズ・バスカヴィルが亡くなったことに伴い、バスカヴィル家の新しい当主となったサー・ヘンリー・バスカヴィル(Sir Henry Baskerville)の近所に住む昆虫学者で、物語の終盤、非常に重要な役割を果たす。


挿絵画家であるシドニー・パジェットが描く
「ジャック・ステイプルトン(画面左側の人物)」と
「ジョン・H・ワトスン(画面右側の人物)」
(「ストランドマガジン」の「バスカヴィル家の犬」より)

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