2023年1月1日日曜日

シャーロック・ホームズの世界<ジグソーパズル>(The World of Sherlock Holmes )- その4

英国の Laurence King Publishing Group Ltd. から出ている「シャーロック・ホームズの世界(The World of Sherlock Holmes)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているシャーロック・ホームズシリーズに登場する人物や物語の舞台となる建物、また、作者であるサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年-1930年)本人と彼に関連する人物等、50個にわたる手掛かりについて、引き続き、順番に紹介していきたい。

なお、本ジグソーパズル内に描かれているロンドンの建物に関して言うと、実際の位置関係とは大きく異なっているので、誤解がないようにお願いしたい。


今回は、ロンドンを離れて、舞台は、サセックス州(Sussex)へと移る。


(20)ピーター・ケアリー(Peter Carey)


本ジグソーパズルでは、
「ブラック・ピーター」と呼ばれるピーター・ケアリー船長が、
母屋から離れた小屋において、
銛で胸の真ん中を一突きの上、殺害される場面が描かれている。

ピーター・ケアリーは、「ブラック・ピーター(Black Peter)」に登場する人物である。

「ブラック・ピーター」は、ホームズシリーズの短編小説56作のうち、30番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1904年3月号に、また、米国では、「コリアーズ ウィークリー(Collier’s Weekly)」の1904年2月27日号に掲載された。

また、同作品は、1905年に発行されたホームズシリーズの第3短編集「シャーロック・ホームズの帰還(The  Return of Sherlock Holmes)」に収録された。


挿絵画家であるシドニー・エドワード・パジェット
(Sidney Edward Paget:1860年ー1908年)が描く
「ピーター・ケアリー船長(画面手前の人物)」。
(「ストランドマガジン」
1904年3月号の「ブラックピーター」より)

ピーター・ケアリー船長で、荒々しく暴力的な性格のため、「ブラック・ピーター」と呼ばれていた。

1895年7月、銛で胸の真ん中を一突きにされて殺された彼の死体が、母屋から離れた小屋で発見された。彼の殺害現場には、ケアリー船長と同じ「P. C.」のイニシャルが入った煙草入れと、証券のリストが書かれた手帳(「J. H. N.」のイニシャル付き)が残されていた。

捜査を担当する若手のスタンリー・ホプキンス警部(Inspector Stanley Hopkins)から助力を依頼され、事件の異常性に興味を抱いたシャーロック・ホームズは、ケアリー船長の驚くべき過去を明るみにする。


(21)リチャード・ブラントン(Richard Brunton)


マスグレイヴ一家に伝わる古文書「マスグレイヴ家の儀式書」の内容を解明した
執事のリチャード・ブラントンが、
屋敷の地下倉庫において、
マスグレイヴ家に隠されていたお宝を発見する場面が描かれている。


リチャード・ブラントンは、「マスグレイヴ家の儀式書(The Musgrave Ritual)」に登場する人物である。
マスグレイヴ家の儀式書」は、ホームズシリーズの短編小説56作のうち、18番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン」の1893年5月号に、また、米国では、「ハーパーズ ウィークリー」の1893年5月13日号に掲載された。

また、同作品は、1893年に発行されたホームズシリーズの第2短編集「シャーロック・ホームズの回想(The Memoirs of Sherlock Holmes)」に収録された。


挿絵画家のシドニー・パジェットが描く
「リチャード・ブラントン(画面下の人物)」。
(「ストランドマガジン」
1893年5月号の
「マスグレイヴ家の儀式書」より)


マスグレイヴ家の儀式書」事件は、ホームズがジョン・H・ワトスンと出会う前に、彼の旧友から持ち込まれた事件である。


名門出身で、ホームズのカレッジ時代からの友人であるレジナルド・マスグレイヴ(Reginald Musgrave)は、父親の死去に伴い、サセックス州西部に所在するハールストン領主館(Manor House of Hurlstone)の主人となった。リチャード・ブラントンは、マスグレイヴ家に20年間も執事として仕えている、これ以上を望めない貴重な存在であったが、一家に伝わる古文書「マスグレイヴ家の儀式書」を彼が勝手に読んでいるのを、レジナルド・マスグレイヴが見つけ、その場で解雇を言い渡した。

レジナルド・マスグレイヴは、リチャード・ブラントンに対して、荷造りに1週間の猶予を与えたが、面子を潰されたリチャード・ブラントンは、靴、時計やお金等を残したまま、2日後に姿を消してしまう。

更に、リチャード・ブラントンと恋愛関係にあったメイドのレイチェル・ハウェルズ(Rachel Howells)は、リチャード・ブラントンに捨てられたショックのため、ヒステリー状態になり、看病している看護婦が目を離した隙に、彼女も姿を消した。

彼女が残した足跡を追ったところ、池の淵へ行ったことが判ったため、池の中を攫ったが、彼女の死体は見つからなかった。


地元の警察では埒が明かないとうことで、旧友のレジナルド・マスグレイヴから相談を受けたホームズは、「マスグレイヴ家の儀式書」に記された「それは、誰のものか?(Whose was it?)」と言う質問と「去りし人のものなり。(His who is gone.)」と言う答えで始まる儀式文が、何か重要なものを隠している場所を示している問答だと考えて、その解明に取り組むのであった。


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