2022年12月9日金曜日

コナン・ドイル作「ボヘミアの醜聞」<グラフィックノベル版>(A Scandal in Bohemia by Conan Doyle )- その2

英国王室メンバーを毒ワインで殺害する計画を防ぐべく、
シャーロック・ホームズは馬車を駆って追い掛ける。

チェコ共和国(Czech Republic)ヴィソチナ州トシェビーチ郡の都市トシェビーチ出身のイラストレーターであるペトル・コプル(Petr Kopl:1976年ー)が発表したサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)作「ボヘミアの醜聞(A Scandal in Bohemia)」のグラフィックノベル版は、以下の章によって構成されている。


(1)「プロローグ(Prologue)」

(2)「ボヘミアの醜聞(A Scandal in Bohemia)」

(3)「まだらの紐(The Speckled Band)」

(4)「ボヘミア国王の名にかけて(In the name of the King)」

(5)「エピローグ(Epilogue)」


(1)「プロローグ」


コナン・ドイルの原作にはないが、毒が仕込まれたワインで、英国王室のメンバー達を殺害しようとする計画を、シャーロック・ホームズが妨害する話が、ペトル・コプルにより創作の上、挿入されている。


(2)「ボヘミアの醜聞」


仮面を取って、正体を見せたボヘミア国王に対して、
シャーロック・ホームズは、依頼内容を尋ねる。

既にメアリー・モースタン(Mary Morstan)と結婚しているジョン・H・ワトスンが、診療の帰り道に、ベイカーストリート221B((221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済))のホームズの元を訪ねるところから、物語が始まる。

そして、そこへフォン・クラム伯爵(Count von Kram)に扮したボヘミア国王(King of Bohemia)がホームズの元を訪れ、彼がアイリーン・アドラー(Irene Adler)と一緒に写った写真の奪還を、ホームズに対して、依頼する。本章は、概ね、コナン・ドイルの原作通りである。


(3)「まだらの紐」


早朝、事件の依頼人であるヘレン・ストーナーが、
シャーロック・ホームズの元を訪れる。


ホームズは、ボヘミア国王からの依頼に基づいて、アイリーン・アドラーからの写真奪還に着手する前に、先にヘレン・ストーナー(Helen Stoner)から依頼された「まだらの紐」事件を解決するために、ワトスンを伴い、サリー州(Surrey)のレザーヘッド(Leatherhead)へと赴く。


内容的には、概ね、コナン・ドイルの原作通りであるが、本章の終盤は、原作とは異なり、ホームズとワトスンが、グリムズビー・ロイロット博士(Dr. Grimesby Roylott)が飼っていたチーターに襲われるものの、勇敢にも、事件の依頼人であるヘレン・ストーナーが撃退するという話が挿入される。また、原作の場合、事件の解決後、ヘレン・ストーナーが無事結婚できるという完全なハッピーエンドで終わっているが、本作品の場合、事件の解決後、ヘレン・ストーナーが無事結婚できるものの、その後、可哀想な結末に変更されている。


コナン・ドイルの原作とは異なり、
事件の依頼人であるヘレン・ストーナーの部屋は、
グリムズビー・ロイロット博士の部屋や
彼女の双子の姉であるジュリア・ストーナーの部屋とは、別棟になっている。


また、コナン・ドイルの原作の場合、ロイロット博士の部屋、最初の被害者で、ヘレンの双子の姉であるジュリア・ストーナー(Julia Stoner)の部屋とヘレン・ストーナーの部屋の3つは、全て隣り合っているという設定だったと思うが、本作品の場合、ロイロット博士の部屋とジュリア・ストーナーの部屋の2つのみが隣り合っており、ヘレン・ストーナーの部屋だけ、別棟にあり、ゲストルームと隣り合っている設定に変更されている。


(4)「ボヘミア国王の名にかけて」


弁護士であるゴドフリー・ノートン(Godfrey Norton)との結婚式のために、
自宅を出るアイリーン・アドラー。


内容的には、概ね、コナン・ドイルの原作通りであるが、本章の終盤は、原作とは異なり、ボヘミア国王が送った配下の者達や謎の人物が放った怪物達が、問題の写真を奪うために、アイリーン・アドラー宅を襲い、ホームズ、ワトスンやアイリーン・アドラーが彼らと戦う話が追加されている。


(5)「エピローグ」


少なくとも、70年は歳をとらない薬を注射されたアイリーン・アドラーに対して、
ジェイムズ・モリアーティー教授は、ある特別な任務を与える。


本章において、ジェイムズ・モリアーティー教授(Professor James Moriarty)やチャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン(Charles Augustus Milverton)達が登場して、米国へと船で向かうアイリーン・アドラーを拘束して、ある特別な役割が与える話が挿入され、コナン・ドイルの原作とは異なり、可哀想な結末に変更されている。


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