2025年12月13日土曜日

「そして誰もいなくなった」の世界 <ジグソーパズル>(The World of ‘And Then There Were None’ )- その24

英国の Orion Publishing Group Ltd. から2025年に発行されている「「そして誰もいなくなった」の世界(The World of ‘And Then There Were None’)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているアガサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「そして誰もいなくなった(And Then There Were None)」(1939年)の登場人物や同作品に関連した47個にわたる手掛かりについて、引き続き、紹介したい。


英国の Orion Publishing Group Ltd. から2025年に出ている
ジグソーパズル「「そして誰もいなくなった」の世界」(1000ピース)


今回は、兵隊島(Soldier Island → 2025年10月19日付ブログで紹介済)へ招待された8人と執事 / 料理人夫婦を殺害した謎の人物に関連した2個の手掛かりが、その対象となる。


兵隊島は、
ジグソーパズル「「そして誰もいなくなった」の世界」の左下の角に置かれている。
<筆者撮影>


(46)瓶に入った告白書(A message in a bottle)


ジグソーパズル「「そして誰もいなくなった」の世界」の左上の角に、
犯人による告白書が入った瓶が海面を漂っている場面が、赤枠で囲まれている。

<筆者撮影>


英国デヴォン州(Devon)の沖合いに浮かぶ兵隊島において、招待客8人と執事 / 料理人夫婦を殺害した謎の人物の正体は、スコットランドヤードによる必死の捜査にもかかわらず、 五里霧中だった。ところが、あることから、犯人が明らかになる。


トロール漁船<エマ・ジェイン号>の船長よりロンドン警視庁に送付された証拠文書


私は幼少の頃から、自分の中に相反する、矛盾した性格が同居していることに気づいていた。まず、ロマンティックな夢にひたるところがある。たとえば、大事なことを書いた紙を壜に入れて、海中に投じる - 冒険物語を読んでいて、こんな場面が出てくる旅に、幼い胸を高鳴らせたものだ。それは、今も変わらない - だから、この方法をとることにした - 書き記した告白を壜に入れ、壜の口を固く閉じる。そして波間に投じる。私の告白が発見されるのは、百に一つのチャンスだろう - そして発見されたあかつきには、それまで未解決だった殺人事件が解決される(それとも、これは私のうぬぼれにすぎないだろうか)。


<中略>


そして次は?

私はまもなくこの一文を書き終える。書き終えたら、封筒に入れて壜に納め、口を固く閉じる。壜を海に投じる。

なぜか。

そう、なぜ、そんなことをするのか。

何人にも解けない殺人ミステリを案出するのが、私の大きな夢だった。

しかし、いかなる芸術家も芸術それ自体では満足できないのに、私は気づいた。他人に認めてほしいと思うのが自然な感情ではないか。

自分の頭のよさをほかの人にわからせたいという、いかにも人間的な浅はかな願い。打ち明けて言えば、その願いがこの私にもあったということだ。

(青木 久惠訳)


(47)謎の人物(A mysterious figure)


兵隊島に建つ邸宅の2階にある
ヴェラ・エリザベス・クレイソーン(Vera Elizabeth Claythorne / 体育教師(games mistress)
→ 2025年10月21日付ブログで紹介済)の部屋の隣室の窓辺に、
招待客8人と執事 / 料理人夫婦を兵隊島に集めた謎の人物が立っている。
<筆者撮影>


1930年代後半の8月のこと、英国デヴォン州(Devon)の沖合いに浮かぶ兵隊島に、年齢も職業も異なる8人の男女が招かれる。彼らを島で迎えた執事と料理人の夫婦は、エリック・ノーマン・オーウェン氏(Mr. Ulick Norman Owen)とユナ・ナンシー・オーウェン夫人に自分達は雇われていると招待客に告げる。しかし、彼らの招待主で、この島の所有者であるオーウェン夫妻は、いつまで待っても、姿を現さないままだった。


招待客が自分達の招待主や招待状の話をし始めると、皆の説明が全く噛み合なかった。その結果、招待状が虚偽のものであることが、彼らには判ってきた。招待客の不安がつのる中、晩餐会が始まるが、その最中、招待客8人と執事 / 料理人夫婦が過去に犯した罪を告発する謎の声が室内に響き渡る。


招待客が兵隊島に到着した日の晩餐会において、
謎の声(オーウェン氏)による告発により、招待客8人と執事 / 料理人夫婦が戦慄する場面 -

HarperCollinsPublishers 社から出ている

アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」の
グラフィックノベル版(→ 2020年9月13日付ブログで紹介済)から抜粋。


そして、物語が進み、童謡「10人の子供の兵隊(Ten Little Soldiers → 2025年11月15日付ブログで紹介済)」に準えて、謎の人物の手により、招待客8人と執事 / 料理人夫婦は、一人ずつ殺されていく。


兵隊島に建つ邸宅の2階にある
ヴェラ・エリザベス・クレイソーンの部屋の壁(画面左側)には、
童謡「10人の子供の兵隊」が書かれた額が掛けられている。
アガサ・クリスティーの原作によると、厳密には、
童謡「10人の子供の兵隊」が書かれた額は、
暖炉の上に置かれた熊の形をした大理石の時計の上の壁に掛けられているのが正しい。
<筆者撮影>


エリック・ノーマン・オーウェン / ユナ・ナンシー・オーウェンの名前を使って、年齢も職業も異なる8人の男女と執事 / 料理人夫婦を兵隊島に集めた後、彼らを一つずつ殺害した謎の人物の正体は、海中に投じられた壜の中に入れられた告白書がトロール漁船によって見つかったことから、明らかになるのであった。


今回を以って、「そして誰もいなくなった」の世界 <ジグソーパズル>にかかる回は終わりとなります。


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