2025年5月27日火曜日

コナン・ドイル作「瀕死の探偵」<英国 TV ドラマ版>(The Dying Detective by Conan Doyle )- その1

ジェレミー・ブレットがシャーロック・ホームズとして主演した
英国のグラナダテレビ制作「シャーロック・ホームズの冒険」の
DVD コンプリートボックス2巻目の表紙

 サー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)作「瀕死の探偵(The Dying Detective → 2025年5月5日 / 5月21日付ブログで紹介済)」は、シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、43番目に発表された作品で、英国の「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1913年12月号に、また、米国の「コリアーズ ウィークリー(Collier’s Weekly)」の1913年11月22日号に掲載された。

同作品は、1917年に発行されたホームズシリーズの第4短編集「シャーロック・ホームズ最後の挨拶(His Last Bow)」に収録されている。


本作品は、英国のグラナダテレビ(Granada Television Limited)が制作した「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」(1984年ー1994年)において、TV ドラマとして映像化された。具体的には、第6シリーズ(The Memoirs of Sherlock Holmes)の第2エピソード(通算では第37話)として、英国では1994年に放映されている。


英国で出版された「ストランドマガジン」
1913年12月号に掲載された挿絵(その3) -
病床につくシャーロック・ホームズに依頼された
ジョン・H・ワトスンは、
ノッティングヒル(Notting Hill)とケンジントン(Kensington)の間にある
ロウワーバークストリート13番地(13 Lower Burke Street
→ 2015年5月9日付ブログで紹介済)に住む
カルヴァートン・スミスの元へと向かった。

画面左側の人物がワトスンで、画面右側の人物がカルヴァートン・スミス。
挿絵:ウォルター・スタンレー・パジェット
(Walter Stanley Paget:1862年ー1935年)

なお、ウォルター・スタンリー・パジェットは、
シャーロック・ホームズシリーズのうち、

第1短編集の「シャーロック・ホームズの冒険

(The Adventures of Sherlock Holmes)」(1892年)、

第2短編集の「シャーロック・ホームズの回想

(The Memoirs of Sherlock Holmes)」(1893年)、

第3短編集の「シャーロック・ホームズの帰還

(The Return of Sherlock Holmes)」(1905年)および

長編第3作目の「バスカヴィル家の犬(The Hound of the Baskervilles)」

「ストランドマガジン」1901年8月号から1902年4月号にかけて連載された後、

単行本化)の挿絵を担当したシドニー・エドワード・パジェット

(Sidney Edward Paget:1860年 - 1908年)の弟である。


配役は、以下の通り。


(1)シャーロック・ホームズ → ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett:1933年ー1995年)

(2)ジョン・ワトスン → エドワード・ハードウィック(Edward Hardwicke:1932年ー2011年)


(3)ハドスン夫人(Mrs. Hudson)→ Rosalie Williams


<事件関係者>

(4)カルヴァートン・スミス(Culverton Smith:アマチュアの病理学者)→ Jonathan Hyde

(5)ヴィクター・サヴィジ(Victor Savage:Oxford and Lombard Bank の重役 / カルヴァートン・スミスの従兄弟)→ Richard Bonnerville

(6)アデレイド・サヴィジ(Adelaide Savage:ヴィクター・サヴィジの妻)→ Susannah Harker

(7)マリーナ・サヴィジ(Marina Savage:ヴィクターとアデレイドの娘)→ Rachel Rice

(8)ジョージ・サヴィジ(George Savage:ヴィクターとアデレイドの息子)→ 不明

(9)ジョン・ゲッドグレイヴ(John Gedgrave:ヴィクター・サヴィジを阿片窟へ誘った人物)→ Roy Hudd

(10)チャールズ・ダーマント(Charles Damant:ヴィクター・サヴィジの弁護士)→ Trevor Bowen

(11)カルナック大佐(Colonel Carnac:ヴィクター・サヴィジが開催した晩餐会への招待客)→ Rowland Davies

(12)カルナック夫人(Mrs. Carnac:ヴィクター・サヴィジが開催した晩餐会への招待客)→ Caroline John

(13)ベンスン(Benson:ヴィクター・サヴィジの馬丁)→ Keiran Flynn

(14)ステイプルズ(Staples:カルヴァートン・スミスの執事)→ Malcolm Hebden 


<警察関係者>

(15)ペンローズ・フィッシャー(Penrose Fisher:検死官)→ Shaughan Seymour

(16)モートン警部(Inspector Morton:スコットランドヤードの警部)→ John Labanowski

(17)警官(Police Sergeant)→ Colin Stevens


(4)

「ストランドマガジン」誌上に掲載されたウォルター・スタンレー・パジェット(Walter Stanley Paget:1862年ー1935年)による挿絵によると、カルヴァートン・スミスは、老人として描かれているが、英国 TV ドラマ版の場合、中年の男性として描かれている。これは、コナン・ドイルの原作の場合、カルヴァートン・スミスとヴィクター・サヴィジの関係は、「伯父と甥」の関係にあったが、英国 TV ドラマ版の場合、「従兄弟同士(従兄と従弟)」と言う設定に変更されているからである。

また、コナン・ドイルの原作の場合、ホームズは、ワトスンに対して、「カルヴァートン・スミスは、医者ではなく、農場主(planter)ではあるが、自分が罹患した病気に詳しい唯一の人物。」と説明しているが、英国 TV ドラマ版の場合、アマチュアの病理学者と言う設定になっている。


(5)

コナン・ドイルの原作では、名前が言及されるのみであるが、英国 TV ドラマ版の場合、銀行の重役を務めているものの、詩人になることを夢見て、詩作の想像力を高めるために、阿片窟に出入りしている人物として描かれている。

なお、ヴィクター・サヴィジ役を、TV シリーズ「ダウントンアビー(Downton Abbey)」(2010年ー2015年)への出演で有名な Hugh Bonnerville が演じている。彼のミドルネームは「Richard」で、当作品当時、Richard Bonnerville の芸名を使用していた。


(6)・(7)・(8)・(9)・(10)・(11)・(12)・(13)

英国 TV ドラマ版用に設けられた役であり、コナン・ドイルの原作には登場しない。


(15)

英国 TV ドラマ版用に設けられた役であり、コナン・ドイルの原作には登場しない。


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