2025年5月16日金曜日

ニコラス・サーコム作「愚かな銀行家の公にできない苦境」(The Secret Predicament of the Stupid Banker)- その1

英国の Harry King Films Limited から、Eva Books として
2021年に刊行されている
 ニコラス・サーコム
作「愚かな銀行家の公にできない苦境」の表紙
Cover illustration by Juliet Snape)-
物語の舞台は、ストリーサム地区(Streatham
→ 2017年12月2日付ブログで紹介済)内にある
アレクサンダー・ホールドアップ邸において、
ジョン・H・ワトスンが、緑柱石の宝冠から
宝石が飾られた金具を引きちぎることができるかどうかを実践したところ、
本当に一部を折り取ってしまった場面が、表紙に描かれている。
画面手前は、左側から、ワトスン、
アレクサンダー・ホールドアップの養女であるメアリー・ホールドアップ、
そして、シャーロック・ホームズ。
画面奥の人物は、銀行の頭取であるアレクサンダー・ホールドアップ。

ヴィクトリア朝時代は、いろいろと制約があり、事件の記録者であるジョン・H・ワトスン、著者であるサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)、そして、出版社である「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」も、事件の内容について、不適切な箇所を削除せざるを得ず、事実通りには発表できなかった。

そこで、作家で、映画 / テレビのプロデューサーでもあるニコラス・サーコム(Nicholas Sercombe)が、シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンが解決した事件に関して、実際に起きた通りに執筆の上、発表すると言う形式を採ったのが、本作品である。

そして、ロンドン在住のイラストレーターであるジュリエット・スネイプ(Juliet Snape)が、イラストを描いている。


ニコラス・サーコムによるシリーズは、2019年から、以下の作品が発表されている。


<シャーロック・ホームズの不適切な箇所が削除されていない冒険(The Unexpurgated Adventures of Sherlock Holmes)>

(1)「A Balls-up in Bohemia(→ 2024年5月21日 / 5月24日付ブログで紹介済)」→ 原作の「ボヘミアの醜聞(A Scandal in Bohemia → 2022年12月18日+2023年8月6日 / 8月9日 / 8月19日付ブログで紹介済)」をベースにしている。

(2)「The Mysterious Case of Mr. Gingernuts」→ 原作の「赤毛組合(The Red-Headed League → 2022年9月25日 / 10月9日 / 10月11日 / 10月16日

付ブログで紹介済)」をベースにしている。

(3)「The Case of the Randy Stepfather」→ 原作の「A Case of Identity(花婿失踪事件)」をベースにしている。

(4)「My First Proper Rural Murder」→ 原作の「ボスコム谷の謎(The Boscombe Valley Mystery)」をベースにしている。

(5)「The Oranges of Death」→ 原作の「五つのオレンジの種(The Five Orange Pips)」をベースにしている。

(6)「The Man with the Hairy Face」→ 原作の「唇のねじれた男(The Man with the Twisted Lip)」をベースにしている。

(7)「A Gander at the Blue Carbuncle」→ 原作の「青いガーネット(The Blue Carbuncle → 2025年1月1日 / 1月2日 / 1月3日 / 1月4日付ブログで紹介済)」をベースにしている。

(8)「The Speckled Band Speculation」→ 原作の「まだらの紐(The Speckled Band)」をベースにしている。

(9)「The Adventure of the Engineer’s Tongue」→ 原作の「技師の親指(The Engineer’s Thumb)」をベースにしている。

(10)「The Mysterious Marriage of the Gay Bachelor」→ 原作の「独身貴族(The Noble Bachelor)」をベースにしている。

(11)「The Secret Predicament of the Stupid Banker」→ 原作の「緑柱石の宝冠(The Beryl Coronet → 2025年4月29日 / 5月1日 / 5月8日 / 5月12日付ブログで紹介済)」をベースにしている。

(12)「The Adventure of the Psychedelic Trees」→ 原作の「ぶな屋敷(The Copper Beeches → 2022年7月31日 / 8月15日 / 8月21日 / 8月25日付ブログで紹介済)」をベースにしている。


<シャーロック・ホームズの不適切な箇所が削除されていない回想(The Unexpurgated Memoirs of Sherlock Holmes)>

(13)「The Relish of Rampant Rod」→ 原作の「シルヴァーブレイズ(Silver Blaze)」をベースにしている。

(14)「The Memoir of the Gruesome Packet」→ 原作の「ボール箱事件(The Cardboard Box)」

(15)「The Terror of the Yellow Face」→ 原作の「黄色い顔(The Yellow Face)」をベースにしている。


今回は、ニコラス・サーコムによる第11作目に該る「愚かな銀行家の公にできない苦境(The Secret Predicament of the Stupid Banker)」(2021年)について、紹介したい。


英国の Harry King Films Limited から、Eva Books として
2021年に刊行されている
 ニコラス・サーコム
作「愚かな銀行家の公にできない苦境」の裏表紙
Cover illustration by Juliet Snape

ニコラス・サーコム作「愚かな銀行家の公にできない苦境」の場合、コナン・ドイルによる原作「緑柱石の宝冠」と同様に、事件の主要な関係者は、以下の4人である。


(1)アレクサンダー・ホールドアップ(Alexander Holdup):スレッドニードルストリート(Threadneedle Street → 2014年10月30日付ブログで紹介済)にあるホールドアップ&スティーヴンスン銀行(banking firm of Holdup & Stevenson)の頭取


なお、コナン・ドイルによる原作では、スレッドニードルストリートにあるホールダー&スティーヴンスン銀行(banking firm of Holder & Stevenson - シティー(City → 2018年8月4日 / 8月11日付ブログで紹介済)内では2番目に大きな民間銀行)の頭取を務めているアレクサンダー・ホールダー(Alexander Holder)となっている。


(2)アーサー・ホールドアップ(Arthur Holdup):アレクサンダー・ホールドアップの一人息子


なお、コナン・ドイルによる原作では、アーサー・ホールダー(Arthur Holder)となっている。


(3)メアリー・ホールドアップ(Mary Holdup):アレクサンダー・ホールドアップの兄の娘で、父親の死後、アレクサンダー・ホールドアップの養女となっている。


なお、コナン・ドイルによる原作では、メアリー・ホールダー(Mary Holder)となっている。


(4)サー・ゲイロン・シュウィンガー(Sir Gaylon Schwinger):アーサー・ホールドアップの悪友


なお、コナン・ドイルによる原作では、サー・ジョージ・バーンウェル(Sir George Burnwell → 2025年5月14日付ブログで紹介済)となっている。


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