英国のプーシキン出版(Pushkin Press)から 2023年に刊行されている Pushkin Vertigo シリーズの一つである 横溝正史作「獄門島」の表紙 (Cover design by Anna Morrison) |
今回は、
(1)「獄門島(Death on Gokumon Island → 2024年3月4日 / 3月6日 / 3月8日 / 3月10日付ブログで紹介済)」(1947年ー1948年)
英国のプーシキン出版(Pushkin Press)から 2022年に刊行されている Pushkin Vertigo シリーズの一つである 横溝正史作「獄門島」の表紙 (Cover design by Anna Morrison) |
(2)「本陣殺人事件(The Honjin Murders → 2024年3月16日 / 3月21日 / 3月26日 / 3月30日付ブログで紹介済)」(1946年)
英国のプーシキン出版(Pushkin Press)から 2019年に刊行されている Pushkin Vertigo シリーズの一つである 横溝正史作「本陣殺人事件」の表紙 (Cover design by Anna Morrison) |
(3)「犬神家の一族(The Inugami Curser → 2024年4月26日 / 4月29日 / 5月1日 / 5月3日付ブログで紹介済)」(1950年ー1951年)
英国のプーシキン出版(Pushkin Press)から 2020年に刊行されている Pushkin Vertigo シリーズの一つである 横溝正史作「犬神家の一族」の表紙 (Cover design by Anna Morrison) |
(4)「悪魔の手毬唄(The Little Sparrow Murders → 2024年7月12日 / 7月18日 / 7月27日 / 7月31日付ブログで紹介済)」(1957年ー1959年)
英国のプーシキン出版(Pushkin Press)から 2024年に刊行されている Pushkin Vertigo シリーズの一つである 横溝正史作「悪魔の手毬唄」の表紙 (Cover design by Anna Morrison) |
(5)「八つ墓村(The Village of Eight Graves → 2025年1月20日 / 1月27日 / 1月29日付ブログで紹介済)」(1949年ー1951年)
英国のプーシキン出版(Pushkin Press)から 2021年に刊行されている Pushkin Vertigo シリーズの一つである 横溝正史作「八つ墓村」の表紙 (Cover design by Anna Morrison) |
に続いて、「悪魔が来りて笛を吹く(The Devil’s Flute Murders)」について、紹介したい。
「悪魔が来りて笛を吹く」は、日本の推理作家である横溝正史(Seishi Yokomizo:1902年ー1981年)による長編推理小説で、
(1)「本陣殺人事件」(1946年)
(2)「獄門島」(1947年ー1948年)
(3)「夜歩く」(1948年-1949年)
(4)「八つ墓村」(1949年ー1951年)
(5)「死仮面」(1949年)
(6)「犬神家の一族」(1950年-1951年)
(7)「女王蜂」(1951年ー1952年)
に続く金田一耕助(Kosuke Kindaichi)シリーズの長編第8作目に該る。
一方、事件発生年順で言うと、太平洋戦争(1941年ー1945年)後における混乱期に該る「黒猫亭事件」(1947年3月) / 「殺人鬼」(1947年4月)と「夜歩く」(1948年5月)の間に発生した事件と見做されている。
探偵小説雑誌「宝石」の依頼に応じて、横溝正史が本作「悪魔が来りて笛を吹く」の第一稿を執筆したのが、1951年(昭和26年)9月で、完結編を書き上げたのが、1953年(昭和28年)9月となる。
そして、雑誌「宝石」に、1951年11月から1953年11月にかけて連載された。
本作の連載が2年以上を要したのは、雑誌「宝石」に合併号が発行されたり、また、病気のため、作者の横溝正史が休載したりしたことが、その要因である。
そして、1954年に単行本化され、同年、「第7回探偵作家クラブ賞」候補にノミネートされた。
本作「悪魔が来りて笛を吹く」の場合、戦前までは栄華を誇った貴族の没落、タブー視される近親相姦、そして、それらから生じた悲劇と愛憎劇を密に描いている。
更に、
*帝銀事件:1948年(昭和23年)1月26日に東京都豊島区長崎に所在する帝銀銀行(現在の三井住友銀行)椎名町支店において、実際に発生した事件で、支店に現れた男によって行員達が騙され、12名が毒殺された後、現金と小切手が奪われた。
*日本の小説家である太宰治(Osamu Dazai:1909年ー1948年)が発表した「斜陽」(1947年)
等の要素も取り入れて、横溝正史が今まで得意としてきた田舎の因習とはまた異なる陰惨さを醸し出している。
また、本格推理小説の定番である「密室殺人事件」を取り扱っており、作者の人気作品の一つとなっている。
実際、作者の横溝正史自身も、本作「悪魔が来りて笛を吹く」を、「金田一耕助シリーズ自選ベスト10」の6位に推している。
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