2025年2月24日月曜日

ロンドン ブルームズベリースクエア(Bloomsbury Square) - その1

ブルームズベリースクエアガーデンズ内から
南側のブルームズベリーウェイ方面を見たところ


アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)が1940年に発表したエルキュール・ポワロシリーズ作品「杉の柩(Sad Cypress)」は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第27作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第18作目に該っている。



「杉の柩」は、以下の通り、三部構成になっている。


<第一部:事件編>

婚約中のエリノア・カーライル(Elinor Carlisle)とロデリック・ウェルマン(Roderick Welman)の2人が、見舞いのため、金持ちの未亡人であるローラ・ウェルマン(Mrs. Laura Welman)が住むハンターベリー(Hunterbury)の屋敷を訪れるところから、物語が始まる。

ローラ・ウェルマンは60歳過ぎで、脳溢血により、寝たきりの状態だった。

エリノア・カーライルは、ローラ・ウェルマンの姪(ローラ・ウェルマンの兄の娘)に、また、ロデリック・ウェルマンは、ローラ・ウェルマンの義理の甥(ローラ・ウェルマンの夫ヘンリー(30年以上前に死去)の甥)に該る。

その際、ロデリック・ウェルマンは、ウェルマン家の門番の美しい娘であるメアリー・ジェラード(Mary Gerrard)に心を奪われて、エリノア・カーライルから気持ちが離れていってしまう。

気持ちが離れてしまったロデリック・ウェルマンに対する嘆きを募らせたエリノア・カーライル、ロデリック・ウェルマン、そして、メアリー・ジェラードの三角関係が展開し、第一部の最後に、メアリー・ジェラードが多量のモルヒネにより毒殺される事件が発生するまでが描かれる。


<第二部:捜査編>

ローラ・ウェルマンの主治医で、エリノア・カーライルに対して想いを寄せるピーター・ロード医師(Dr. Peter Lord)からの依頼を受け、メアリー・ジェラード毒殺の容疑により、警察に逮捕されたエリノア・カーライルの濡れ衣を晴らすべく、エルキュール・ポワロが、事件の関係者を一人一人訪ねて回って、詳細な証言を引き出していく。そして、第二部の最後には、各人の証言には、嘘がいろいろと含まれており、綻びが少しずつ判明する。


<第三部:解決編>

メアリー・ジェラード毒殺の容疑で起訴されたエリノア・カーライルの裁判において、驚くべき真相が明らかにされ、メアリー・ジェラードを毒殺した真犯人が誰なのかを、エルキュール・ポワロが説明する。


ブルームズベリースクエアの西側に並ぶ建物のうち、
一番南側の建物である「ブルームズベリースクエア5a番地」には、
英国で最も古いロシア文化センターが入っており、
「プーシキンハウス(Pushkin Hose)」と呼ばれている。

ローラ・ウェルマンの顧問弁護士であるエドマンド・セデン(Edmund Sedden)が、「第一部:事件編」と「第二部:捜査編」に登場する。

「第一部:事件編」において、ローラ・ウェルマンの死後、エドマンド・セデン弁護士は、ハンターベリー邸を訪れ、エリノア・カーライルに対して、「ローラ・ウェルマンは、遺言をしないで、亡くなった。従って、夫人の全財産は、最も近い親族、即ち、あなた(エリノア・カーライル)に譲られる。」ことを告げる。

「第二部:捜査編」において、エルキュール・ポワロは、ロンドンのセドン、ブレイザーウィック・アンド・セドン法律事務所を訪問して、エドマンド・セデン弁護士と面談する。


ブルームズベリースクエアの西側に並ぶ建物のうち、
「ブルームズベリースクエア9−11番地」の正面玄関

「ブルームズベリースクエア9−11番地」の建物には、
英国の皮膚病学者(dermatologist)である
ロバート・ウィラン(Dr. Robert Willan:1757年ー1812年)が住んでいた。

エドマンド・セデン弁護士がパートナーの一人を務めるセドン、ブレイザーウィック・アンド・セドン法律事務所の住所として、アガサ・クリスティーの原作上、「ブルームズベリースクエア104番地(Bloomsbury Square)」と記載されている。


ブルームズベリースクエアの西側に並ぶ建物のうち、
「ブルームズベリースクエア15番地」の建物には、
パリの伝統ある料理教育機関である「ル・コルドン・ブルー」のロンドン校が、現在、入居している。


セドン、ブレイザーウィック・アンド・セドン法律事務所が所在するブルームズベリースクエア(Bloomsbury Square)は、ロンドンの中心部にあるロンドン特別区の一つであるカムデン区(London  Borough of Camden)のブルームズベリー地区(Bloomsbury)内にある広場である。


ブルームズベリースクエアの西側に並ぶ建物のうち、
「ブルームズベリースクエア17番地」の建物には、
German Histrorical Institute が、現在、入居している。


ブルームズベリースクエアは、その北側を大英博物館(British Museum → 2014年5月26日付ブログで紹介済)の正門前を通るグレイトラッセルストリート(Great Russell Street)に、そして、その南側をブルームズベリーウェイ(Bloomsbury Way)に挟まれており、その中央には、ブルームズベリースクエアガーデンズ(Bloomsbury Square Gardens)が整備されている。


0 件のコメント:

コメントを投稿