![]() |
英国の Harper Collins Publishers 社から現在出版されていた アガサ・クリスティー作エルキュール・ポワロシリーズ 「ブラックコーヒー」のペーパーバック版表紙 - 研究していた新しい原子爆発の方程式が盗まれた 科学者のサー・クロード・エイモリーが 飲んだブラックコーヒーが入ったコーヒーカップが描かれている。 |
1930年にロンドン北西部のスイスコテージ(Swiss Cottage)内に所在するエンバシー劇場(Embassy Theatre)において初演されたアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)による戯曲「ブラックコーヒー(Black Coffee)」は、以下の3幕で構成されている。。
<場所>
科学者のサー・クロード・エイモリー(Sir Claud Amory)邸の読書室
*第1幕:午後8時30分
*第2幕:翌朝
*第3幕:その15分後
科学者のサー・クロード・エイモリーは、新しい原子爆発の方程式を研究していたが、金庫からその方程式が盗まれていることを発見する。そこで、サー・クロード・エイモリーは、ロンドンのエルキュール・ポワロに電話を掛け、助力を求めた。
なお、サー・クロード・エイモリー邸は、アボットクレーヴ内に所在しており、ロンドンから約25マイル離れていた。
ポワロの到着を待つ間、サー・クロード・エイモリーは、以下の家族達を読書室に集めた。
(1)リチャード・エイモリー(Richard Amory:サー・クロード・エイモリーの息子)
(2)ルシア・エイモリー(Lucia Amory:イタリア人で、リチャード・エイモリーの妻)
(3)キャロライン・エイモリー(Caoline Amory:サー・クロード・エイモリーの妹)
(4)バーバラ・エイモリー(Barbara Amory:サー・クロード・エイモリーの姪)
(5)エドワード・レイナー(Edward Raynor:サー・クロード・エイモリーの秘書)
(6)カレリ博士(Dr. Carelli:イタリア人で、ルシア・エイモリーの旧友)
読書室に家族達を集めたサー・クロード・エイモリーは、彼らを前にして、
*彼が研究していた新しい原子爆発の方程式が、金庫から盗まれたこと
*ロンドンから私立探偵のエルキュール・ポワロを既に呼び、現在、彼の到着を待っていること
を告げる。
ルシア・エイモリーが皆にブラックコーヒーを配るが、それを飲んだサー・クロード・エイモリーは、「苦い味がする。」と話した。
サー・クロード・エイモリーは、読書室に鍵を掛けると、「部屋を真っ暗にしておく間に、原子爆発の方程式が入った封筒をテーブルの上に戻してほしい。そうすれば、このことはなかったことにする。ただし、原子爆発の方程式が入った封筒が返されない場合、容赦は一切しない。」と、彼らに勧める。
読書室の電気が点いた時、テーブルの上に、封筒が置かれていることに気付いた皆は、驚きの声を上げる。
丁度その時、サー・クロード・エイモリーに呼ばれていたポワロが、アーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Arthur Hastings)とスコットランドヤードのジャップ警部(Inspector Japp)を伴って、邸に到着。
リチャード・エイモリーが、ポワロに対して、「事件は無事解決しました。」と告げたものの、彼らが読書室に戻ったところ、サー・クロード・エイモリーは椅子に座ったままで亡くなっており、その上、テーブルの上に戻された封筒の中は空っぽだった。
サー・クロード・エイモリーの家族は、ポワロ達に対して、彼の死の捜査を依頼。
ルシア・エイモリーが配ったブラックコーヒーを飲んだサー・クロード・エイモリーが「苦い味がする。」と話していたことから、ポワロは、サー・クロード・エイモリーが飲んだブラックコーヒーに毒が入っていたものと考える。つまり、サー・クロード・エイモリーが読書室に鍵を掛けて、家族達を室内に閉じ込めた時点で、彼は既に毒を飲まされていたことになる。
果たして、サー・クロード・エイモリーが研究していた新しい原子爆発の方程式を金庫から盗んだ上に、彼を毒殺した犯人は、一体、誰なのか?
ヘイスティングス大尉とジャップ警部を助けを借りつつ、ポワロは、サー・クロード・エイモリー毒殺事件の捜査を進めるのであった。
