英国の Orion Publishing Group Ltd. から出ている「アガサ・クリスティーの世界(The World of Agatha Christie)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)の生涯や彼女が執筆した作品等に関連した90個の手掛かりについて、前回に続き、紹介していきたい。
今回も、アガサ・クリスティーが執筆した作品に関連する手掛かりの紹介となる。
(78)ウクレレ(ukulele)
本ジグソーパズル内において、アガサ・クリスティーが腰掛けている椅子の背後にある2つの鏡のうち、右側の鏡の上に、ウクレレが置かれている。
これから連想されるのは、アガサ・クリスティーが1930年に発表したハーリー・クィン(Harley Quin)シリーズの短編集「謎のクィン氏(The Mysterious Mr. Quin)」に収録されている12編のうち、「翼の折れた鳥(The Bird with the Broken Wing)」である。
英国の Laurence King Publishing Group Ltd. より、2023年に発行された アガサ・クリスティーをテーマにしたトランプのうち、 「2 ♠️「サタースウェイト氏」を抜粋。 |
降霊会(table-turning)での伝言を受けて、サタースウェイト氏(Mr. Satterthwaite)は、彼の知人であるマッジ・キーリー(Madge Keeley)の家のパーティーに参加する。
パーティーの参加者は、以下の通り。
*ディヴィッド・キーリー(David Keeley):マッジ・キーリーの父で、数学者 / 「透明人間(The Invisible Man)」と呼ばれる程、寡黙な人物
*ロジャー・グラハム(Roger Graham):マッジ・キーリーの婚約者
*グラハム夫人(Mrs. Graham):ロジャー・グラハムの母
*ドリス・コールス(Doris Coles)
*メイベル・アンネスリー(Mabelle Annesley):ジェラルドの妻
*ジェラルド・アンネスリー(Gerard Annesley):メイベルの夫
メイベル・アンネスリーに会ったサタースウェイト氏は、彼女のことを「翼の折れた鳥(The Bird with the Broken Wing)」と言う印象を受けた。
パーティーの席上、マッジ・キーリーは、メイベル・アンネスリーに対して、ウクレレを弾くように促した。そこで、ジェラルド・アンネスリーが、居間からウクレレを、妻のメイベルの元へと持ってきた。そして、月明かりの下、メイベル・アンネスリーは、夜更けまでウクレレの弾き語りをした。
パーティーがお開きとなると、就寝のため、各人がそれぞれの部屋へと戻った。
翌朝、メイベル・アンネスリーが、寝室のドアの後ろ側にぶら下がって死んでいるのが、メイドによって発見される。
なお、夫のジェラルドは、隣りの部屋で眠っており、妻のメイベルが戻って来たことに気付かなかったと証言した。
英国の Laurence King Publishing Group Ltd. より、2023年に発行された アガサ・クリスティーをテーマにしたトランプのうち、 「6 ♠️「ハーリー・クィン」を抜粋。 |
キーリー家からの連絡を受けて、警察が到着する。捜査担当者であるウィンクフィールド警部(Inspector Winkfield)は、サタースウェイト氏の知人だった。
サタースウェイト氏は、ウィンクフィールド警部に対して、「メイベル・アンネスリーは、自殺ではなく、殺されたのだ。」と主張した。
彼らがメイベル・アンネスリーの死体を調べると、彼女の首に巻かれたロープは、彼女の頸部に残る索状痕よりも太く、サタースウェイト氏の説が裏付けられたのである。
当時としてはかなり先鋭的な動機が、異様な迫力で読者に迫る本作品「翼の折れた鳥」を執筆したアガサ・クリスティーは、ミステリーの女王としての面目を躍如したと言える。
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