2024年3月2日土曜日

アラン・アレクサンダー・ミルン作「赤い館の秘密」(The Red House Mystery by Alan Alexander Milne)- その3

英国の Penguin Random House UK 社から
2023年に刊行されている
 
Vintage Classics シリーズの1冊である
アラン・アレクサンダー・ミルン作「赤い館の秘密」の内扉


今朝届いた手紙通り、マーク・アブレット(Mark Ablett)の兄で、アブレット家の厄介者(the black sheep of the family)であるロバート・アブレット(Robert Ablett)が、15年振りにオーストラリアから英国に戻り、その日の午後、マークが住む「赤い館(The Red House)」を訪ねて来る。


マーク・アブレットのゲストである


(1)キャラダイン夫人(Mrs. Calladine)/ 画家であるジョン・キャラダイン(John Calladine)の未亡人

(2)エリザベス・キャラダイン(Elizabeth Calladine - 愛称:ベティー(Betty))/ キャラダイン夫人の18歳の娘

(3)ラムボルド少佐(Major Rumbold)/ 退役軍人

(4)ルース・ノリス(Miss Ruth Norris)/ 女優

(5)ウィリアム・ベヴァリー(William Beverley - 愛称:ビル(Bill))/ ロンドンから招かれた青年


の5人は、ゴルフに出かけており、まだ戻って来ていなかった。


マーク・アブレットのメイドであるオードリー・スティーヴンス(Audrey Stevens)がロバート・アブレットを出迎えた際、噂通り、ロバートは、主人のマークとは対照的に、非常に粗暴な振る舞いを見せた。

メイドのオードリー・スティーヴンスは、ロバート・アブレットを、マーク・アブレットの事務室へと案内するが、生憎と、主人のマークは、事務室には居なかったので、マークを探しに向かう。


同じ頃、素人探偵(private sleuthhound)のアントニー・ギリンガム(Antony Gillingham)が、彼の友人で、「赤い館」に宿泊しているウィリアム・ベヴァリーに会いにやって来た。

屋敷内に入ったアントニー・ギリンガムは、事務室のドアを叩くマシュー・ケイリー(Matthew Cayley - マーク・アブレットの従兄弟で、「赤い館」の管理)に遭遇する。マシュー・ケイリーは、アントニー・ギリンガムに対して、「伯父のロバートとマークの2人が事務室内に居るが、中から銃声のような音が聞こえた。」と話す。

そこで、アントニー・ギリンガムは、マシュー・ケイリーと一緒に、屋敷の外側へ回り、窓から事務室の中を覗き込む。事務室内で人が倒れているのを発見した2人は、窓から事務室内へ入り込むと、マシュー・ケイリーは、「倒れている人はロバート・アブレットで、既に死亡している。」と、アントニー・ギリンガムに告げる。ただし、ロバート・アブレットと一緒に事務所内に居た筈の「赤い館」の主人であるマーク・アブレットの姿は、どこにもなかった。


それでは、マーク・アブレットが、ロバート・アブレットを殺害したのか?そして、マーク・アブレットは、一体、どこに姿を消したのか?

その後、地元警察のバーチ警部(Inspector Birch)が到着するが、事件の内容に違和感を覚えたアントニー・ギリンガムは、友人のウィリアム・ベヴァリーにワトスン役を頼み、シャーロック・ホームズ役を務めて、独自に事件の調査を進めていくのであった。

果たして、事件の真相は、如何に?


「赤い館の秘密(The Red House Mystery)」(1921年に発表+1922年に単行本化)は、ロンドンのキルバーン(Kilburn)生まれのスコットランド人で、児童文学作家、劇作家、そして、詩人として有名なアラン・アレクサンダー・ミルン(Alan Alexander Milne:1882年ー1956年)が執筆した唯一の推理長編であるが、当時としては衝撃的であったトリックから、古典的な名作の一つとして数えられている。


また、「赤い館の秘密」に登場する素人探偵のアントニー・ギリンガムは、日本の推理作家である横溝正史(Seishi Yokomizo:1902年ー1981年)が金田一耕助(Kosuke Kindaichi)のモデルにしたことで知られている。


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