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ヒズ・マジェスティーズ劇場において上演されている ミュージカル「オペラ座の怪人」- 左側のポスターには、「オペラ座の怪人」であるエリック(Erik)と 若きスウェーデン人ソプラノ歌手であるクリスティーヌ・ダーエの2人が写っている。 <筆者撮影> |
ロンドンの中心部であるシティー・オブ・ウェストミンスター区(City of Westminster)のセントジェイムズ地区(St. James’s)内 にある ヘイマーケット通り(Haymarket → 2025年9月30日 / 10月14日付ブログで消化済)沿いに建つヒズ・マジェスティーズ劇場(His Majesty’s Theatre)において、1986年10月9日の世界初演以降、40年近くのロングランを続けているミュージカル「オペラ座の怪人(The Phantom of the Opera)」は、フランスの小説家 / 新聞記者であるガストン・ルイス・アルフレッド・ルルー(Gaston Louis Alfred Leroux:1868年ー1927年 → 2017年9月10日付ブログで紹介済)が発表したゴシック小説「オペラ座の怪人(Le Fantome de l’Opera)」がベースとなっている。
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ヘイマーケット通りの東側から ヒズ・マジェスティーズ劇場を見上げたところ <筆者撮影> |
ガストン・ルルー作「オペラ座の怪人」は、1909年9月23日から1910年1月8日まで日刊紙「ル・ゴロワ(Le Gaulois)」に連載された後、1910年3月にピエール・ラフィット社(Pierre Lafitte)から出版された。なお、「オペラ座の怪人」の英語版は、1911年に出ている。
ガストン・ルルー作「オペラ座の怪人」は、新聞記者でもあった彼の取材談話のような擬似ノンフィクションの体裁で書かれている。
ガストン・ルルーは、「オペラ座の怪人」の執筆に際して、実際のパリ・オペラ座であるガルニエ宮(Palais Garnier)を訪れ、建物の構造や地下に広がる奈落等を事前取材を詳細に行なっている。また、ガルニエ宮が建設された当時の幽霊話や事件等も物語内に取り入れて、虚実が入り交じったミステリアスで怪奇なゴシック小説を書き上げたのである。
物語の舞台は、1880年のパリに設定されている。
パリ・オペラ座であるガルニエ宮には、「オペラ座の怪人(The Phantom of the Opera / Opera Ghost)」と呼ばれる謎の怪人が住み着いていると言う噂が、まことしなやかに広まっていた。実際、その謎の怪人は、パリ・オペラ座の支配人に対して、(1)月給2万フランの支払と(2)5番ボックス席の常時確保等の条件を手紙等で要求して、自分の存在を知らせていた。
パリ・オペラ座の道具係(stagehand)であるジョーゼフ・ブケー(Joseph Buquet)は、「オペラ座の怪人」の姿を見たため、物語の冒頭、彼に殺害され、首を吊った状態で発見される。
年老いた支配人がパリ・オペラ座を退職する日の夜、パリ国立オペラ(Opera national de Paris)のリードソプラノ歌手(lead soprano)で、急病となったカルロッタ(Carlotta)の代わりに、若く美しいスウェーデン人ソプラノ歌手(Swedish soprano)であるクリスティーヌ・ダーエ(Christine Daae)がガラ公演(gala performance)に出演して、拍手喝采を浴びる。
観客の中には、クリスティーヌ・ダーエの幼馴染であるラウル・ド・シャニュイ子爵(Vicomte Raoul de Chagny)も居て、彼は彼女の歌に聴き、彼女への思慕を思い出して居た。
ガラ公演後、ラウル・ド・シャニュイ子爵がクリスティーヌ・ダーエの楽屋を訪れると、彼女の楽屋内で彼女を賛美する男性の声が聞こえた。
クリスティーヌ・ダーエが楽屋を離れた際、ラウル・ド・シャニュイ子爵が彼女の楽屋を調べたものの、不可思議なことに、彼女の楽屋内には、誰も居なかったのである。
後日、ラウル・ド・シャニュイ子爵と再会したクリスティーヌ・ダーエは、彼が先日彼女の楽屋内で聞いた謎の声のことを話す。
クリスティーヌ・ダーエは、ガルニエ宮に住む謎の「音楽の天使 / 天使の声(Angel of Music)」に導かれて、若きソプラノ歌手として頭角を現しつつあったのだ。
ラウル・ド・シャニュイ子爵がクリスティーヌ・ダーエの話に疑問を呈すると、彼女は怒り、その場を立ち去ってしまう。
ある夜、クリスティーヌ・ダーエは、父親の墓参りに訪れると、そこに「オペラ座の怪人」が姿を現して、彼女のために、ヴァイオリンを奏でる。
ラウル・ド・シャニュイ子爵が謎の「オペラ座の怪人」を捕らえようとするが、逆に、返り討ちに遭ってしまう。
謎の「オペラ座の怪人」は、音楽の才能に溢れているだけではなく、投げ縄や奇術の達人でもあり、そして、ラウル・ド・シャニュイ子爵の幼馴染で、彼が思慕の念を抱くクリスティーヌ・ダーエを愛していたのである。

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