2025年10月6日月曜日

ロンドン セントジェイムズ宮殿(St. James’s Palace)- その4

セントジェイムズ宮殿の建物正面
<筆者撮影>

英国王室がステュアート朝(House of Stuart)からハノーヴァー朝(House of Hanover)へ移行した後も、セントジェイムズ宮殿(St. James’s Palace)はロンドンにおける第一王宮として引き続き使用されたが、次第に、限られた公式行事、歓迎式典、王家の結婚式や洗礼式等に使用されるだけになっていく。


ナショナルポートレートギャラリー
(National Portrait Gallery)内で
所蔵 / 展示されている
ヴィクトリア女王の肖像画
(By Sir George Hayter / Oil on canvas / 1863年 /
based on a portrait of 1838)
<筆者撮影>


ハノーヴァー朝の第5代国王であるウィリアム4世(William IV:1765年ー1837年 在位期間:1830年ー1837年)の後を継いで、ハノーヴァー朝の第6代女王として即位したヴィクトリア女王(Queen Victoria:1819年ー1901年 在位期間:1837年ー1901年 → 2017年12月10日 / 12月17日付ブログで紹介済)は、セントジェイムズ宮殿からバッキンガムハウス(Buckingham House)へと引越を行い、バッキンガム宮殿(Buckingham Palace)として使用を開始し、同宮殿に居住した最初の君主となった。

その結果、セントジェイムズ宮殿は、ロンドンにおける第一王宮としての役目を終えたのである。


ヴィクトリア女王の生誕200周年を記念して、
英国のロイヤルメール(Royal Mail)から2019年に発行された切手の1枚 -
画面手前左側の人物がアルバート公で、
画面手前右側の人物がヴィクトリア女王
(By Sir George Hayter / 1842年)


ただし、ヴィクトリア女王が1840年にアルバート公(Albert Prince Consort:1819年ー1861年)と結婚した際、挙式はセントジェイムズ宮殿の Chapel Royal において行われている。


その後、セントジェイムズ宮殿には、


*ウェールズ公(Prince of Wales)時代のエドワード8世(Edward VIII - ウィンザー朝(House of Windsor)の第2代国王:1894年ー1972年 在位期間:1936年1月20日ー1936年12月11日)


エドワード8世時代(1936年)に発行された切手の図案をベースにして、
英国のロイヤルメールが発行した切手


*ヨーク公爵(Duke of York)時代のジョージ6世(George VI - ウィンザー朝の第3代国王:1895年ー1952年 在位期間:1936年12月11日ー1952年)/ 1923年に結婚する前


ナショナルポートレートギャラリー内で所蔵 / 展示されている
ヨーク公爵時代のジョージ6世の肖像画
(By Meredith Frampton / Oil on canvas / 1929年 /
Lent by Trustees of Barnado's 1997)
<筆者撮影>

ジョージ6世時代(1940年)に発行された切手の図案をベースにして、
英国のロイヤルメールが発行した切手


*ウェールズ公時代のチャールズ3世(Charles III - ウィンザー朝の第5代国王:1948年ー 在位期間:2022年ー)/ ウィリアム王子(Prince William:1982年ー)/ ヘンリー王子(Prince Henry:1984年ー)


チャールズ3世の70歳の誕生日を記念して、
英国のロイヤルメールから2018年に発行された切手の1枚 -
画面左側から、ウェールズ公時代のチャールズ3世、ヘンリー王子、そして、ウィリアム王子。


2023年5月6日、ウェストミンスター寺院(Westminster Abbey)において行われた
チャールズ3世の戴冠式を記念して、
英国のロイヤルメールから2023年に発行された切手の1枚 -
The Coronation : representing the monarchy, continuity, longevity, heritage and tradition


が住んでいたが、現在は、


*アン王女(Anne, Princess Royal - ウィンザー朝の第4代女王であるエリザベス2世(Elizabeth II:1926年ー2022年 在位期間:1952年ー2022年)の長女:1950年ー)



*アレクサンドラ王女(Princess Alexandra, The Honourable Lady Ogilvy - ケント公爵ジョージ王子(Prince George, Duke of Kent:1902年ー1942年)の長女):1936年ー


のロンドンにおける住居となっている。


セントジェイムズ宮殿は、現在、ロンドンにおける第一王宮としての役目を担っていないものの、英国王室は、引き続き、同宮殿を公的な住所としている。

そのため、外国から英国へ派遣された大使達は、バッキンガム宮殿において、国王 / 女王に対して、信任状を奉呈するが、名目上は、「セントジェイムズ宮廷の下(pres la Cour de St. James)」に派遣された扱いになっている。

つまり、英国首相官邸が所在する「ダウニングストリート(Downing Street)」が「英国首相府」の代名詞となっているのと同様に、「セントジェイムズ宮殿」が「英国王室」を指し示すのである。


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