米国の Dark Horse Books 社から2016年に出版された 「シャーロック・ホームズ 犯罪通り」の英語訳版の表紙 |
本作品の場合、当初、フランスの Editions Soleil 社から、2013年と2014年に2冊に分けて、フランス語版(オリジナル版)が出版された後、米国の Dark Horse Books 社によって、2016年に英語版に翻訳されている。
なお、フランス語版(オリジナル版)のスタッフは、以下の通り。
・原作(Story by): Sylvain Cordurie
・漫画(Art by): Alessandro Nespolino
・彩色(Colors by): Axel Gonzalbo
・カバー(Cover by): Ronan Toulhoat
物語は、シャーロック・ホームズがジョン・H・ワトスンに出会う以前の1876年5月に始まる。
ある夜、ホームズは、友人で、かつ、スコットランドヤードの刑事であるコリン・パイク(Colin Pike)と一緒に、あるパブに居た。そのパブにおいて、ホームズのルームメイトで、ヴァイオリンの名手であるロン・ヤンシャー(Ron Jantscher)の演奏会が行われていた。ロンは、約1週間後にロンドンを離れ、ウィーン交響楽団に入団する予定だった。
ロンのヴァイオリン演奏を楽しむホームズとコリンの二人であったが、パブの入口ドアの横に立ち、ロンから目を全く離さず、メモ帳らしきものに何かを書いている謎の男の存在が、ホームズには気になった。
一方で、ロンの演奏中、コリンは、ホームズに対して、別のことを相談する。ここ2ヶ月の間、英国の科学者や知識人等が、何の痕跡も残さないまま、突然行方不明になり、未だに居所が判らない事件が頻発していた。
コリンの話を聞くホームズが、ふとパブの入口ドアに目をやると、ロンのことを調べている様子だった謎の男の姿は、既になかったのである。
謎の男3人組が、ホームズのルームメイトで、 ヴァイオリンの名手であるロン・ヤンシャーを拉致の上、 馬車で連れ去ろうとしていた。 |
ホームズの外出中、ロンが荷造りの合間にヴァイオリンを演奏していると、突然、謎の男3人組が部屋へ押し入って来て、彼をクロロフィルムのようなもので眠らせると、彼を拉致した。
謎の男3人組がロンを馬車の中へ運び込もうとしているところに、ホームズが外出先から戻って来る。3人組のうちの一人(先日、パブでロンを調べていた男)が、懐からナイフを取り出して、ホームズと対峙している隙に、他の二人がロンを馬車で連れ去ってしまう。ナイフで切りつけようとする男をなんとか倒したホームズであったが、後の祭りだった。
外出先から帰って来たホームズは、 友人のロンを連れ去ろうとした謎の男3人組のうちの一人と対峙する。 |
翌朝、ホームズは、コリンと一緒に、スコットランドヤードへと呼び出された。
そこには、政府のベインズ卿(Lord Baines)とスコットランドヤードのジョンソン副長官(Assistant Commissioner Johnson)の二人が、ホームズを待っていた。彼らは、ホームズに対して、ここ2ヶ月の間に発生しているインテリ階級の失踪事件につき、捜査協力を求める。ロンの身を案じるホームズであったが、ロンの拉致がこれらの失踪事件となんらかの繋がりがあると考えたホームズは、スコットランドヤードが自分に対して必要な情報を全て開示することを条件に、捜査協力を受諾する。ホームズが、コリンには内緒で、昨夜倒した男のポケットから抜き取ったメモ帳に記載されている人物達は、ホームズの調べでは、全員謎の失踪を遂げており、捜査のための手掛かりに乏しかったのである。
実は、インテリ階級の失踪事件の背後には、ロンドンの闇社会を牛耳るヘンリー・モリアーティー(Henry Moriarty)の存在があった。そして、ヘンリー・モリアーティーを、彼の息子であるジェイムズ・モリアーティー(James Moriarty)がサポートしていたのだった。
ホームズが独自の捜査を進める一方、ヘンリー / ジェイムズ・モリアーティー父子の組織を裏切ろうとした弟エメット(Emmett)をジェイムズ・モリアーティーに殺害された兄タイロン(Tyron)も、弟の復讐のために、モリアーティー父子の命を狙っていたのである。
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