英国の Titan Publishing Group Ltd. の Titan Books 部門から 2009年に出版された デイヴィッド・ステュアート・デイヴィーズ作 「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / 死者の書」の表紙 |
「死者の書(The Scroll of the Dead)」は、英国の作家であるデイヴィッド・ステュアート・デイヴィーズ(David Stuart Davies:1946年ー)が、Titan Publishing Group Ltd. から、「シャーロック・ホームズの更なる冒険(The further adventures of Sherlock Holmes)」シリーズの一つとして、2009年に発表した作品である。
作者のデイヴィッド・ステュアート・デイヴィーズは、英語の教師を経て、フルタイムの編集者、作家かつ劇作家に転身している。
デイヴィッド・ステュアート・デイヴィーズは、ホームズシリーズとして、2004年に「欺かれた探偵(The Veiled Detective → 2021年4月21日 / 4月28日 / 5月5日付ブログで紹介済)」を、2014年に「悪魔との契約(The Devil’s Promise → 2022年3月5日 / 3月12日 / 3月19日付ブログで紹介済)」を、更に、2022年に「墓場からの復讐」(Revenge from the Grave → 2022年5月4日 / 5月14日 / 5月24日付ブログで紹介済) を発表している。
「死者の書」の場合、「最後の事件(The Final Problem → 2022年5月1日 / 5月8日 / 5月11日付ブログで紹介済)」、3年間に及ぶ海外放浪、そして、「空き家の冒険(The Empty House)」を経て、シャーロック・ホームズがロンドンに帰還した1894年の春から1年が経過した1895年5月初旬から、話が始まる。
午後一杯、クラブで友人とビリヤードをして負け続けたジョン・H・ワトスンが、晩にベーカーストリート221B(221B Baker Street)に戻ると、ホームズに「今晩、ケンジントン地区(Kensington)で死者と交信する降霊会があるが、一緒に来ないか?」と誘われる。
ホームズによると、ロバート・ハイザ卿(Sir Robert Hythe)が、最近、ボートの事故で子息のナイジェル(Nigel)を亡くしており、霊媒師を名乗るユーリア・ホークショー(Uriah Hawkshaw)が、ロバート・ハイザ卿に対して、「死後の世界に居る御子息と交信することができる。」と接触してきた、とのこと。
ユーリア・ホークショーをイカサマ師と見抜いたマイクロフト・ホームズ(Mycroft Holmes)は、友人で、かつ、英国政府の重要機密に通じているロバート・ハイザ卿のことを心配して、弟のシャーロック・ホームズに対して、事態の収拾を頼んできたのであった。
マイクロフト・ホームズの依頼に応じて、シャーロック・ホームズとワトスンの二人は、ケンジントン地区にあるユーリア・ホークショー宅「Frontier Lodge」に、馬車で乗り付ける。
シャーロック・ホームズは、アンブローズ・トレローニー(Ambrose Trelawney)という偽名を用い、ワトスンを自分の従者ハミッシュ(Hamish)として、ユーリア・ホークショー(50歳代)に紹介する。ロバート・ハイザ卿は、既に到着しているようだった。
降霊会には、以下の人物が参加した。
(1)ユーリア・ホークショー
(2)ホークショー夫人(Mrs. Hawkshaw)
(3)ロバート・ハイザ卿
(4)シャーロック・ホームズ(アンブローズ・トレローニー)
(5)ジョン・H・ワトスン(ハミッシュ)
(6)セバスチャン・メルモス(Sebastian Melmoth - 20歳代)
ユーリア・ホークショーは、ロバート・ハイザ卿の亡くなった子息であるナイジェルを呼び出すが、シャーロック・ホームズは、ユーリア・ホークショーのイカサマを見破って、騙されそうになったロバート・ハイザ卿を救い出した。
それから1週間後の深夜、セバスチャン・メルモスが、ベーカーストリート221Bのシャーロック・ホームズの元を訪れる。
彼は、ホームズに対して、「自分は、死後の世界(The life beyond living) / 不死(immortality)を研究している。自分は、死が最終だとは思っていない。(I don’t believe death is the end.)」という謎の言葉を残すと、ベーカーストリート221Bを後にするのであった。
0 件のコメント:
コメントを投稿