英国の HarperCollinsPublishers 社から2018年に出版された ソフィー・ハナ作「3 / 4 の謎」の裏表紙(ハードカバー版) Jacket Design : Holly Macdonald / HarperCollinsPublisher Ltd Jacket Illustration : Shutterstock.com |
謎の人物が、ポワロの名を騙って、バルナバス・パンディー(Barnabas Pandy)の殺害者として糾弾している4人であるシルヴィア・ルール(Sylvia Rule)、ジョン・マックローデン(John McCrodden)、アナベル・トレッドウェイ(Annabel Treadway)とヒューゴ・ドッカーリル(Hugo Dockerill)および彼らの近親者について、エルキュール・ポワロは調査を始めた。
当初、アナベル・トレッドウェイを除くと、シルヴィア・ルール、ジョン・マックローデンとヒューゴ・ドッカーリルの3人には、バルナバス・パンディーとの関連性は、全くないように思われたが、ポワロが調査を進めると、以外にも、バルナバス・パンディーとの関連性が次第に明らかになってきたのである。
<第1グループ>
・シルヴィア・ルール
・クラレンス・ルール(Clarence Rule) - シルヴィア・ルールの夫(故人)
・ミルドレッド・ルール(Mildred Rule) - シルヴィア・ルールの長女
・エウスタース・キャンベル(Eustace Campbell) - ミルドレッドの婚約者
・フレディー・ルール(Freddie Rule) - シルヴィア・ルールの長男で、ミルドレッドの弟
偶然なのか、フレディー・ルールが、ターヴィルカレッジ(Turville College - 男子の全寮制学校)において、アナベル・トレッドウェイの姉レノーレ・ラヴィントンの長男であるティモシーと同級生であった。その上、ヒューゴ・ドッカーリルが寮監を務めている。
<第2グループ>
・ジョン・マックローデン
・ロウランド・マックローデン(Rowland McCrodden) - ジョンの父親で、弁護士事務所「Donaldson & McCrodden」のパートナーの一人。また、死刑制度の信奉者でもあるため、「死刑執行人ロウランド(Rowland Rope)」と呼ばれている。
<第3グループ>
・アナベル・トレッドウェイ
・レノーレ・ラヴィントン(Lenore Lavington) - アナベルの姉
・セシル・ラヴィントン(Cecil Lavington) - レノーレの夫(故人 - 4年前に感染症で死去)
・アイヴィー・ラヴィントン(Ivy Lavington) - レノーレの長女
・ティモシー・ラヴィントン(Timothy Lavington) - レノーレの長男で、アイヴィーの弟
・キングスベリー(Kingsbury) - 執事
アナベルとレノーレは、バルナバス・パンディーの孫で、アイヴィーとティモシーは、バルナバス・パンディーの曽孫であり、本件の直接関係者である。
アナベルは、昔、彼女の愛犬を連れて、アイヴィーと一緒に散歩に出た際、アイヴィーと愛犬が川で溺れかけるという事態に遭遇した。アナベルは、アイヴィーと愛犬を川から救助しようとしたが、愛犬が暴れたため、アイヴィーの顔に愛犬による引っ掻き傷がハッキリと残ってしまい、その責任から、その後、独身を貫いているようであった。
<第4グループ>
・ヒューゴ・ドッカーリル
・ジェーン・ドッカーリル(Jane Dockerill) - ヒューゴの妻
ティモシー・ラヴィントンが学ぶターヴィルカレッジにおいて、ヒューゴ・ドッカーリルが寮監を務めている。また、彼は、ジェーンとの結婚以前に、アナベル・トレッドウェイに求婚したことがあった。
ポワロによる調査の結果、シルヴィア・ルールが属する第1グループ、アナベル・トレッドウェイが属する第3グループ、そして、ヒューゴ・ドッカーリルが属する第4グループの3つについては、ターヴィルカレッジにおいて学ぶティモシー・ラヴィントン / フレディー・ルールを介在して、相互に繋がりがあることが判ってきた。ところが、ジョン・マックローデンが属する第2グループに関しては、今のところ、他の3グループとの関連性が全く見えてこなかった。
ポワロによる調査は、更に進む。
昨年(1929年)の12月7日に浴室で溺死したと伝えられているバルナバス・パンディーには、その死の直前、謎の行動が見られた。
(1)50年程前、彼が経営していた炭鉱において、ヴィンセント・ロブ(Vincent Lobb)という人物を監督者として雇っており、非常に友好な関係を築いていたが、何らかの理由により、その関係は断たれ、その後、ヴィンセントのことを「仇敵(old enemy)」と呼んでいた。ところが、何故か、彼は、急にヴィンセントとの関係を修復しようとして、ヴィンセント宛に謝罪の手紙を出していた。彼の突然の心変わりは、何が原因なのか?
(2)彼の顧問弁護士で、弁護士事務所「Fuller, Fuller & Vout」のシニアパートナーであるピーター・ヴォウト(Peter Vout)によると、彼は遺言書の内容を変更しようと考えていた、とのこと。ただし、彼が遺言書の内容を変更する前に亡くなったため、当初の遺言書に基づいて、彼の遺産は、レノーレとアナベルの2人の間で、均等に相続されたのであった。
これについては、レノーレも証言しており、彼女によると、祖父(バルナバス・パンディー)が亡くなる前に、祖父から個別に「遺言書の内容を変更しようと考えている。つまり、アナベルを相続人から外そうと思っている。」と聞かされた、とのことだった。
ということは、アナベル自身も、祖父が自分を彼の相続人から外そうとしていることを知って、祖父を殺害したのだろうか?
殺害動機としては、十分であるが、バルナバス・パンディーが浴室で溺死しているのを、執事のキングスベリーが発見した際、アナベル、レノーレとアイヴィーの3人は、ずーっと一緒に居て、片時も誰もその場を離れたことはなかった訳で、アナベルのアリバイは完璧であったのだ。
謎の人物が、ポワロの名を騙って、糾弾の手紙を送りつける意図は、一体、何なのか?4人宛に糾弾の手紙を送りつけることによって、謎の人物は、一体、何を達成しようとしているのか?
また、4人の中で、唯一、バルナバス・パンディーとの関連性が全く見えてこないジョン・マックローデンであるが、彼という 1/4 のピースは、一体、この事件にどのように嵌るのか?
そして、謎の人物が糾弾する通り、バルナバス・パンディーは、本当に殺害されたのだろうか?
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