横溝正史作「犬神家の一族」に登場する事件関係者の系譜 <筆者作成> |
日本の推理作家である横溝正史(Seishi Yokomizo:1902年ー1981年)による長編推理小説で、金田一耕助(Kosuke Kindaichi)シリーズの一つである「犬神家の一族(The Inugami Curse)」は、1950年(昭和25年)1月から1951年(昭和26年)5月にかけて、雑誌「キング」に連載された後、1951年5月に講談社から単行本化された。
194x年(昭和2x年)の2月、那須(Nasu)湖畔の本宅において、信州財界の大物(one of the leading businessmen of the Shinshu region)である犬神佐兵衛(Sahei Inugami)が、81歳の生涯を終えた。
犬神佐兵衛は、裸一貫の身から事業を興して、犬神グループ(Inugami Group)を創設した。そして、彼は、グループの中核となる製糸業で、莫大な資産を築き、日本の生糸王(Silk King of Japan)と称されるまでになっていた。
古館法律事務所(Furudate Law Office)の所長である古館恭三(Kyozo Furudate)は、犬神家の顧問弁護士(Inugami clan’s attorney)として、犬神佐兵衛から遺言状の管理を任されており、彼の遺産の分配や犬神グループの事業継承者等を記した遺言状については、犬神家の一族全員が揃った場において公開するよう、指示を受けていた。
犬神佐兵衛の長女である犬神松子(Matsuko Inugami)の一人息子の犬神佐清(Sukekiyo Inugami)が、第二次世界大戦(1939年ー1945年)/ 太平洋戦争(1941年ー1945年)に出征しており、彼が戦地のビルマ(Burma)から復員するのを待って、犬神佐兵衛の遺言状は、発表されることになった。
犬神グループの総帥である犬神佐兵衛は、生涯に渡って、正妻を娶っておらず、それぞれ母親が異なる長女の犬神松子、次女の犬神竹子(Takeko Inugami)、そして、三女の犬神梅子(Umeko Inugami)の3人を設けていた。
犬神佐兵衛は、3人の娘に婿養子を迎えて、孫として、長女の松子には、佐清(29歳)が、次女の竹子には、佐武(Suketake - 28歳)と小夜子(Sayoko - 22歳)が、そして、三女の梅子には、佐智(Suketomo - 27歳)が生まれていた。生憎と、3人の娘の家族同士の折り合いは、あまり良くなく、お互いが常に反目し合っていたのである。
同年の10月18日、私立探偵(private investigator)の金田一耕助が、東京から那須湖畔を訪れた。
彼が那須湖畔を訪れたのは、古館法律事務所に勤務する若林豊一郎(Toyoichiro Wakabayashi)から手紙を受け取り、その手紙には、「近いうちに、犬神家に容易ならざる事態が起きそうだ。(I am extremely concerned that the Inugami clan will be faced with a great situation in the near future.)そこで、那須へ来て、調査してほしい。そして、容易ならざる事態をなんとか未然に防いでほしい。(I am writing to bid you to come to Nasu and to conduct an investigation into this matter, so as to prevent such a tragedy.)」と書かれていたからであった。
金田一耕助は、当時、「本陣殺人事件(The Honjin Murders → 2024年3月16日 / 3月21日 / 3月26日 / 3月30日付ブログで紹介済)」、「獄門島(Death on Gokumon Island → 2024年3月4日 / 3月6日 / 3月8日 / 3月10日付ブログで紹介済)」事件や「八つ墓(The Village of Eight Graves → 今後、紹介する予定)」事件を既に解決しており、若林豊一郎は、金田一耕助の活躍を耳にして、彼に白羽の矢を立てたのだ。
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