(89)ベラドンナ(Belladonna)
株式会社廣川書店が出版している 滝戸道夫 / 指田豊編「改訂版 カラーグラフィック 薬用植物」から抜粋。 |
目:ナス目(Solanales)
科:ナス科(Solanaceae)
属:オオカミナスビ属(Atropa)
学名の「Belladonna」は、イタリア語で「美しい女性」を意味する「bella donna」から由来している。
これは、多くの女性達が、瞳孔を拡大させる散瞳剤として、この実の抽出物を使用したためで、瞳孔の拡大により、瞳が潤んで見えるので、側からは、美しい女性のように思えたのである。イタリアのルネッサンス時代には、女性の化粧法として、かなり流行していた。
原産:西欧
最近では、北アフリカ、西アジアや北アメリカにも分布。
多年生草木
茎:高さは1m位
根:太く肉質、帯白色で、長く分岐。
花:紫褐色で、釣鐘状。
実:花が咲いた後、緑色の実をつけると、1㎝ 程に膨らみ、黒紫色に熟す。猛毒を含む。ベラドンナの実をブルーベリー等と誤認して食した結果、食中毒を起こした例が報告されている。
ベラドンナの化学式(構造式)- Bloomsbury Publishing Plc から出版された キャサリン・ハーカップ作「アガサ・クリスティーと14の毒薬 (A is for Arsenic - The Poisons of Agatha Christie by Kathryn Harkup)」の ペーパーバック版から抜粋。 |
ベラドンナは、全草に有毒性があり、根茎と根が特に毒性が強い。また、葉の表面にも、油が浮いていて、これに触れると、かぶれがおき、特に酷い場合には、潰瘍になる。
ただし、用法や用量を守って使用する限り、有用であり、ベラドンナに含まれるベラドンナ総アルカロイド成分には、鼻水を抑える効果があることから、多くの市販鼻炎薬に使われている。
ベラドンナを摂取した場合の副作用として、主な毒の成分であるトロパンアルカロイドにより、
*嘔吐
*散瞳
*異常興奮
等を引き起こし、最悪の場合には、死に至るので、取扱いに注意が必要。
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