2024年6月17日月曜日

「白昼の悪魔」に登場する各容疑者達の住所について

2024年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された
アガサ・クリスティー作「白昼の悪魔」の
愛蔵版(ハードカバー版)の内扉
(Cover design and 
illustration
by Sarah Foster / 
HarperCollinsPublishers Ltd. 


英国の HarperCollinsPublishers 社から、2024年に刊行されたアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「白昼の悪魔(Evil Under the Sun)」(1941年)の愛蔵版(ハードバック版 → 2024年6月8日 / 6月12日付ブログで紹介済)では、デヴォン州(Devon)の密輸業者島(Smugglers’ Island)にあるジョリーロジャーホテル(Jolly Roger Hotel)に滞在する探偵、被害者および各容疑者達の住所について、以下のように記載されている。

なお、「白昼の悪魔」は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第29作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第20作目に該っている。


(1)オーデル・C・ガードナー(Odell C. Gardener - 米国人)/ キャリー・ガードナー(Carrie Gardener - オーデルの妻)

住所: New York


(2)パトリック・レッドファン(Patrick Redfern - アリーナ・マーシャルと不倫関係にある)/ クリスティーン・レッドファン(Christine Redfern - パトリックの妻で、元教師。夫の不倫のため、アリーナ・マーシャルを恨んでいる)

住所:Crossgates, Seldon, Princes Risborough


(3)バリー少佐(Major Barry - 退役将校)

住所:18 Cardon St., St James, London, SW1


(4)ホーレス・ブラット(Horace Blatt - ヨットが趣味)

住所:5 Pickersgill Street, London, EC2


(5)エルキュール・ポワロ 

住所:Whitehaven Mansions, London, W1 


チャーターハウス スクエア6-9番地 フローリンコート
(Florin Court, 6-9 Charterhouse Square → 2014年6月29日付ブログで紹介済)-
英国のTV会社 ITV1 が製作した TV ドラマ「Agatha Christie's Poirot」において、
この広場に面した日本で言うところのマンション(英国で言うところのフラット)が、
名探偵エルキュール・ポワロが住むホワイトヘイヴンマンションズ(Whitehaven Mansions)として、
その外観が撮影に使われている。
 
「チャーターハウス スクエア6-9番地 フローリンコート」は、
地下鉄バービカン駅(Barbican Tube Station)の近くにある
チャーターハウス スクエア(Charterhouse Square)という広場に面している。


(6)ロザモンド・ダーンリー(Rosamund Darnley - ドレスメーカー / 以前、ケネス・マーシャルと交際していた)

住所:8 Cardigan Court, W1


(7)エミリー・ブルースター(Emily Brewster - スポーツが趣味。以前、投資話でアリーナ・マーシャルに損害を負わされたため、彼女を恨んでいる)

住所:Southgates, Sunbury-on-Thames


(8)スティーヴン・レーン(Reverend Stephen Lane - 元牧師)

住所:London


(9)ケネス・マーシャル(Captain Kenneth Marshall - 実業家 / 以前、ロザモンド・ダーンリーと交際していたが、アリーナ・ステュアートと結婚)/ アリーナ・ステュアート・マーシャル(Arlena Stuart Marshall - 美貌の元女優)/ リンダ・マーシャル(Linda Marshall - ケネス・マーシャルの娘 / 継母のアリーナを疎ましく感じている)

住所:73 Upcott Mansions, London, SW7


上記のうち、ロンドンが住所になっているのは、(3)、(4)、(5)、(6)、(8)および(9)であるが、地図で調べてみると、現在の住所表記上、どの住所も存在していないので、全て架空の住所だと思われる。

探偵であるポワロについては、実在の通りを使用しても、問題ないのではないかと考えられるが、各容疑者達(犯人を含む)に関して、住所として、実在の通りを使用すると、差し障りがあるので、アガサ・クリスティーは、架空のものを使用したのであろう。


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