米国出身の推理作家であるキャロル・ブッゲ(Carole Bugge:1953年ー)が1997年に発表した「インドの星(The Star of India → 2022年6月19日 / 7月13日付ブログで紹介済)」では、1894年10月のある土曜日の雨が降る午後、ジョン・H・ワトスンが、ベイカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)に住むシャーロック・ホームズの元を訪れるところから、物語が始まる。「犯罪界のナポレオン(Napoleon of crime)」と呼ばれたジェイムズ・モリアーティー教授(Professor James Moriarty)がスイスのマイリンゲン(Meiringen)にあるライヘンバッハの滝(Reichenbach Falls)に姿を消し、そして、彼の右腕であるセバスチャン・モラン大佐(Colonel Sebastian Moran)が逮捕された後、興味を持てる事件がなく、ホームズは非常に退屈していた。
翌朝、コンウォール州(Cornwall)に居るハドスン夫人の姉から、ハドスン夫人の緊急を知らせる電報が届く。ハドスン夫人は、姉を訪れるために、コンウォール州へ出かけていたのである。ハドスン夫人の姉からの電報を受けたシャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの二人は、直ぐに馬車でウォータールー駅(Waterloo Station → 2014年10月19日付ブログで紹介済)へ向かい、昼12時の列車でコンウォール州(Cornwall)へと出発した。
ハドスン夫人の姉から「彼女(ハドスン夫人)は、ティンタジェル城(Tintagel Castle → 2022年7月23日付ブログで紹介済)へ見物に出かけている。」と聞いたホームズとワトスンは、ティンタジェルの町へと引き返して、ホームズがティンタジェル城に残るハドスン夫人の足跡を辿った結果、満潮が迫る海岸の洞窟の奥に、手足を縛られたハドスン夫人を発見したのである。
ティンタジェル城は、コンウォール州のティンタジェル沿岸部に所在し、切り立った崖の上に大西洋を見下ろすように建つ城跡で、アーサー王(King Arthur)伝説所縁の場所(=アーサー王の生地とされる場所)とされている。
英国のロイヤルメール(Royal Mail)は、2021年3月16日、「アーサー王伝説(The Legend of King Arthur)」をテーマにした10種類の記念切手を発行しているので、それらについて紹介したい。
なお、アーサー王は、5世紀後半から6世紀初めのブリトン人(ウェールズ人)の君主である。
(1)「Merlin and the baby Arthur」
(2)「Arthur draws the sword from the stone」
(3)「Arthur takes Excalibur」
アーサーは、魔法使いマーリンの導きを受けて、名君へと成長していくが、その途中、湖の中から伝説の名剣である「エクスカリバー(Excalibur)」を入手する場面が描かれている。
(4)「Arthur marries Guinevere」
(5)「Sir Gawain and the Green Knight」
子)に該る。
これは、アーサー王伝説ではなく、1300年代後半にイングランドで書かれた作者不詳の物語「ガウェイン卿と緑の騎士(Sir Gawain and the Green Knight)」がベースとなっている。
アーサー王の宮殿において、新年の宴が行われていた際、突如、衣服だけではなく、髪の毛や皮膚、更に、跨る馬までが全て緑色をした「緑の騎士(Green Knight)」が姿を現し、ガウェイン卿に対して、「首切りゲーム」を持ち掛けてくる。「緑の騎士」は、ガウェイン卿に「自分の首を大鉈で掻き斬ってみろ!」と挑発するともに、「それでも、自分が無事だった場合、それに相応する挑戦を受けろ!」と持ち掛けたのである。挑発を受けたガウェイン卿が、大鉈で「緑の騎士」の首を一振りで斬り落とす前の場面が描かれている。
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