英国の Titan Publishing Group Ltd. の Titan Books 部門から 2015年に出版された ステュアート・ダグラス作 「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / アルビノの財宝」の表紙 |
読後の私的評価(満点=5.0)
(1)事件や背景の設定について ☆☆☆半(3.5)
ナショナルポートレートギャラリー(National Portrait Gallery)での肖像画損壊事件、贋作事件、そして、「イングランドの財宝」の捜索と、話は進んでいくが、全ての事件の背後には、英国王室の歴史上、唯一人処刑されたチャールズ1世(Charles I:1600年-1649年 在位期間:1625年ー1649年)が居る。物語において、チャールズ1世に関連するキーワードがいろいろと出てくるが、世界史、特に英国の歴史に非常に詳しくないと、本当の面白さを理解するのは難しいのではないかと思う。
(2)物語の展開について ☆☆☆半(3.5)
ナショナルポートレートギャラリーでの肖像画損壊事件から始まり、贋作事件、そして、「イングランドの財宝」の捜索へと、物語が展開していく流れに、「The Lord of Strange Deaths」という中国人犯罪組織や Willoughby Frogmorton なる人物等が関与してくる。無関係とまでは言わないものの、中国人犯罪組織は物語の本筋とはあまり関係ないため、当該組織関連の話は、正直、余分な気がする。当該組織が出てくる場面は、アクションシーンが主体で、他は比較的大人しい展開になりがちなので、著者のステュアート・ダグラス(Stuart Douglas)として、そういったアクションシーンを加えたい気持ちは理解できなくもないが…
ナショナルポートレートギャラリー (National Portrait Gallery)で販売されている チャールズ1世の肖像画の葉書 (Daniel Mytens / 1631年 / Oil on canvas 2159 mm x 1346 mm) |
(3)ホームズ / ワトスンの活躍について ☆☆☆半(3.5)
他の作品でもそうだが、例によって、ジョン・H・ワトスンが、ナショナルポートレートギャラリーで働くローデス嬢(Miss Rhodes)に魅かれる御馴染みの展開がある。
「The Lord of Strange Deaths」なる中国人犯罪組織との戦いを除くと、基本的には、大人しい展開であるが、ナショナルポートレートギャラリーでの肖像画損壊事件、贋作事件、そして、「イングランドの財宝」の捜索と、シャーロック・ホームズが、一本の糸のようにして、謎を解明している。
(4)総合評価 ☆☆☆半(3.5)
「The Lord of Strange Deaths」なる中国人犯罪組織関係の話を除くと、基本的に大人しい展開ではあるが、英国の歴史、特に清教徒革命(Puritan Revolution:1642年ー1649年)辺りに興味がある人、あるいは、詳しい人にとっては、なかなか面白い内容であると思う。
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