![]() |
クリーヴランドロウから北上する リトルセントジェイムズストリートを見たところ <筆者撮影> |
![]() |
東京創元社から創元推理文庫として出版された ジョン・ディクスン・カー作「アラビアンナイトの殺人」の表紙 (カバー:山田 維史) |
「さてと、もうだいぶおそい時間だが、あの博物館へはいりこむ工夫はないものかね? むろんあの建物には、夜番かなにか、おいてあるにちがいあるまい」
「それはおりますよ。プルーンという老人でしてね、だいたいあの博物館が開かれるのは、週に二日間、それも夜間にかぎっていまして、午後の七時から十時までのあいだ、一般の参観をゆるしているのです。まあいわば、館長の気まぐれみたいなものですな。
プルーンはその三時間を、館内の説明係として働いておりました。閉館になると、とたんに夜番の役に早変わりをするんです。もっとも、玄関から呼んだのでは、あの男を起こすわけには行きません。そのためには、裏口へまわることが肝心です - パーマー・ヤードの通りに面したほうですね」
私は思い出しましたが、パーマー・ストリートというのは、セント・ジェイムズ・ストリートへ抜ける横町のことでして、その通りを、もっと先まで行きますと、クリーヴランド・ロウと平行に走るかっこうになるのでした。…
<宇野 利泰訳>
「パーマー・ストリート」と言う通りは、現在の住所表記上、存在しておらず、今だと、「リトルセントジェイムズストリート(Little St. James’s Street)」のことを指しているものと思われる。
![]() |
北上するリトルセントジェイムズストリートの途中から クリーヴランドロウを振り返ったところ <筆者撮影> |
事件の舞台となるウェイド博物館の裏口が面しているリトルセントジェイムズストリートは、ロンドンの中心部であるシティー・オブ・ウェストミンスター区(City of Westminster)のセントジェイムズ地区(St. James’s)内にある。
![]() |
「Nicholson - Super Scale - London Atlas」から セントジェイムズ地区の地図を抜粋。 |
トラファルガースクエア(Trafalgar Square)から西へ向かう通りは、ヘイマーケット通り(Haymarket)とパル・マル通り(Pall Mall → 2016年4月30日付ブログで紹介済)の2つに分かれる。
夕暮れが迫るパル・マル通り <筆者撮影> |
ヘイマーケット通りは北上して、ピカデリーサーカス(Piccadilly Circus)へと至る。
![]() |
セントジェイムズ宮殿の建物正面 <筆者撮影> |
一方、パル・マル通りは更に西進して、進行方向左手にセントジェイムズ宮殿(St. James’s Palace)が見えたところで、セントジェイムズストリート(St. James’s Street → 2021年7月24日付ブログで紹介済)とクリーヴランドロウの2つに分かれる。
![]() |
セントジェイムズストリートの西側から東側を見たところ - 画面右奥斜めに延びる通りは、ジャーミンストリート(Jermyn Street) <筆者撮影> |
セントジェイムズストリートは北上して、ピカデリーサーカスからハイドパーク(Hyde Park → 2015年3月14日付ブログで紹介済)へと向かって西進するピカデリー通り(Piccadilly → 2025年7月31日付ブログで紹介済)に突き当たり、終わっている。
![]() |
クリーヴランドロウの東端 - 画面手前を右へ行くと、セントジェイムズストリートへ、 そして、画面左手へ戻ると、パル・マル通りへと至る。 なお、画面左側に建っているのは、セントジェイムズ宮殿。 <筆者撮影> |
クリーヴランドロウは、セントジェイムズ宮殿の前を通り、更に西へ進み、グリーンパーク(Green Park)の手前で終わっている。
![]() |
北上するリトルセントジェイムズストリートを右折したところ (この辺りに、ウェイド博物館の裏口があったと思われる)- なお、画面奥に左右に延びる通りは、セントジェイムズストリート。 <筆者撮影> |
リトルセントジェイムズストリートは、西進するクリーヴランドロウの途中から北上する通りで、直角に右折し、同通り名のまま東進して、最終的には、セントジェイムズストリートに突き当たり、終わっている。
![]() | |
|

0 件のコメント:
コメントを投稿