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クリーヴランドロウの東端 - 画面手前を右へ行くと、セントジェイムズストリートへ、 そして、画面左手へ戻ると、パル・マル通りへと至る。 なお、画面左側に建っているのは、セントジェイムズ宮殿。 <筆者撮影> |
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東京創元社から創元推理文庫として出版された ジョン・ディクスン・カー作「アラビアンナイトの殺人」の表紙 (カバー:山田 維史) |
「で、警部さん、ウェイド博物館をご存じでしょう? クリーヴランド・ロウにありますな?」(ヴァインストリート署勤務のホスキンズ巡査部長)
ウェイド博物館でしたら、まずたいていの人間ならば知っています。私も前から、おりがあったら見物してみようと考えていたのですが、いまだにそれを実行に移す機会がありませんでした。。あの建物は、うちの署の管轄内にありまして、つねに警戒の目を離してはならぬと、厳重な指令を受けておりました。それはただ、ウェイド氏個人の希望であっただけではなく、本庁の上層部からの注意事項でもあったのです。(ヴァインストリート署勤務のジョン・カラザーズ警部(Inspector John Carruthers))
<宇野 利泰訳>
夕暮れが迫るパル・マル通り <筆者撮影> |
私は車をとばして、ヘイ・マーケット(Haymarket)を過ぎ、人っ子ひとり通らぬペル・メル街(Pall Mall → 2016年4月30日付ブログで紹介済)を走り抜けました。これだけひろいロンドンでも、深夜、あの時刻のセント・ジェイムズ・ストリート(St. James’s Street → 2021年7月24日付ブログで紹介済)のはずれぐらい、寂しい感じをあたえる場所はありますまい。月が皎々と照っていまして、宮殿の門にかけられた金の大時計が、十二時を五分過ぎたことを知らせていました。西クリーヴランド・ロウのあたりは、すっかり灯も消えて、暗くなっておりました。ですから私は、ホスキンズから教わってはいましたが、裏手へまわることはしませんで、直接博物館の玄関へ、車を駐めたのでした。
(ジョン・カラザーズ警部)
<宇野 利泰訳>
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セントジェイムズストリートの西側から東側を見たところ - 画面右奥斜めに延びる通りは、ジャーミンストリート(Jermyn Street) <筆者撮影> |
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セントジェイムズ宮殿の建物正面 <筆者撮影> |
事件の舞台となるウェイド博物館が所在するクリーヴランドロウは、ロンドンの中心部であるシティー・オブ・ウェストミンスター区(City of Westminster)のセントジェイムズ地区(St. James’s)内にある。
トラファルガースクエア(Trafalgar Square)から西へ向かう通りは、ヘイマーケット通りとパル・マル通りの2つに分かれる。
ヘイマーケット通りは北上して、ピカデリーサーカス(Piccadilly Circus)へと至る。
一方、パル・マル通りは更に西進して、進行方向左手にセントジェイムズ宮殿(St. James’s Palace)が見えたところで、セントジェイムズストリートとクリーヴランドロウの2つに分かれる。
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「Nicholson - Super Scale - London Atlas」から セントジェイムズ地区の地図を抜粋。 |
セントジェイムズストリートは北上して、ピカデリーサーカスからハイドパーク(Hyde Park → 2015年3月14日付ブログで紹介済)へと向かって西進するピカデリー通り(Piccadilly → 2025年7月31日付ブログで紹介済)に突き当たり、終わっている。
クリーヴランドロウは、セントジェイムズ宮殿の前を通り、更に西へ進み、グリーンパーク(Green Park)の手前で終わっている。
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右手に建つスーダン大使館を通り過ぎた クリーヴランドロウの中間辺り。 <筆者撮影> |
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クリーヴランドロウの西端辺り。 <筆者撮影> |
クリーヴランドロウは、セントジェイムズ宮殿に面している関係上、保安上の観点から、宮殿の門辺りに警備兵の存在を見かける。日中でも、人通りはあまりなく、非常に閑静な通りである。

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