2025年9月5日金曜日

ロンドン クリーヴランドロウ(Cleveland Row)

クリーヴランドロウの東端 -
画面手前を右へ行くと、セントジェイムズストリートへ、
そして、画面左手へ戻ると、パル・マル通りへと至る。
なお、画面左側に建っているのは、セントジェイムズ宮殿。
<筆者撮影>

米国のペンシルヴェニア州(Pennsylvania)に出生して、英国人のクラリス・クルーヴス(Clarice Cleaves)との結婚後、1932年から1946年にかけて英国のブリストル(Bristol)に居を構えていた米国の推理作家で、「不可能犯罪の巨匠」とも呼ばれているジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr:1906年ー1977年)が1936年に発表した推理小説で、ギディオン・フェル博士(Dr. Gideon Fell)が登場するシリーズ第7作目に該る「アラビアンナイトの殺人(The Arabian Nights Murders → 2025年8月30日付ブログで紹介済)」の場合、事件の舞台となるウェイド博物館(Wade Museum - 大富豪であるジェフリー・ウェイドが10年程前に開設した私立博物館で、中近東の陳列品(Oriental Art)を展示する他、初期の英国製馬車で、素晴らしい逸品も保存)は、クリーヴランドロウ(Cleveland Row)沿いに建っている。


東京創元社から創元推理文庫として出版された
ジョン・ディクスン・カー作「アラビアンナイトの殺人」の表紙
(カバー:山田 維史)


「で、警部さん、ウェイド博物館をご存じでしょう? クリーヴランド・ロウにありますな?」(ヴァインストリート署勤務のホスキンズ巡査部長)

ウェイド博物館でしたら、まずたいていの人間ならば知っています。私も前から、おりがあったら見物してみようと考えていたのですが、いまだにそれを実行に移す機会がありませんでした。。あの建物は、うちの署の管轄内にありまして、つねに警戒の目を離してはならぬと、厳重な指令を受けておりました。それはただ、ウェイド氏個人の希望であっただけではなく、本庁の上層部からの注意事項でもあったのです。(ヴァインストリート署勤務のジョン・カラザーズ警部(Inspector John Carruthers))

<宇野 利泰訳>


夕暮れが迫るパル・マル通り
<筆者撮影>


私は車をとばして、ヘイ・マーケット(Haymarket)を過ぎ、人っ子ひとり通らぬペル・メル街(Pall Mall → 2016年4月30日付ブログで紹介済)を走り抜けました。これだけひろいロンドンでも、深夜、あの時刻のセント・ジェイムズ・ストリート(St. James’s Street → 2021年7月24日付ブログで紹介済)のはずれぐらい、寂しい感じをあたえる場所はありますまい。月が皎々と照っていまして、宮殿の門にかけられた金の大時計が、十二時を五分過ぎたことを知らせていました。西クリーヴランド・ロウのあたりは、すっかり灯も消えて、暗くなっておりました。ですから私は、ホスキンズから教わってはいましたが、裏手へまわることはしませんで、直接博物館の玄関へ、車を駐めたのでした。

(ジョン・カラザーズ警部)

<宇野 利泰訳>


セントジェイムズストリートの西側から東側を見たところ -
画面右奥斜めに延びる通りは、ジャーミンストリート(Jermyn Street)
<筆者撮影>


セントジェイムズ宮殿の建物正面
<筆者撮影>


事件の舞台となるウェイド博物館が所在するクリーヴランドロウは、ロンドンの中心部であるシティー・オブ・ウェストミンスター区(City of Westminster)のセントジェイムズ地区(St. James’s)内にある。



クリーヴランドロウ沿いにあるスーダン大使館
(Embassy of the Republic of the Sudan)-
同大使館は、右手をラッセルコート(Russell Court)に、手前をクリーヴランドロウに、
そして、左手をリトルセントジェイムズストリート(Little St. James's Street)に囲まれており、
ジョン・ディクスン・カー作「アラビアンナイトの殺人」の記載によると、
同大使館のの辺りに、ウェイド博物館は所在していたものと思われる。
<筆者撮影>


トラファルガースクエア(Trafalgar Square)から西へ向かう通りは、ヘイマーケット通りとパル・マル通りの2つに分かれる。

ヘイマーケット通りは北上して、ピカデリーサーカス(Piccadilly Circus)へと至る。

一方、パル・マル通りは更に西進して、進行方向左手にセントジェイムズ宮殿(St. James’s Palace)が見えたところで、セントジェイムズストリートとクリーヴランドロウの2つに分かれる。


「Nicholson - Super Scale - London Atlas」から
セントジェイムズ地区の地図を抜粋。


セントジェイムズストリートは北上して、ピカデリーサーカスからハイドパーク(Hyde Park → 2015年3月14日付ブログで紹介済)へと向かって西進するピカデリー通り(Piccadilly → 2025年7月31日付ブログで紹介済)に突き当たり、終わっている。

クリーヴランドロウは、セントジェイムズ宮殿の前を通り、更に西へ進み、グリーンパーク(Green Park)の手前で終わっている。


右手に建つスーダン大使館を通り過ぎた
クリーヴランドロウの中間辺り。
<筆者撮影>

クリーヴランドロウの西端辺り。
<筆者撮影>


クリーヴランドロウは、セントジェイムズ宮殿に面している関係上、保安上の観点から、宮殿の門辺りに警備兵の存在を見かける。日中でも、人通りはあまりなく、非常に閑静な通りである。


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