2024年7月19日金曜日

ニック・カイム作「シャーロック・ホームズ / 遺産」(Sherlock Holmes : The Legacy of Deeds by Nick Kyle) - その3

英国の Titan Publishing Group Ltd. の Titan Books 部門から
2017年に出版された
ニック・カイム作
「シャーロック・ホームズ:遺産」の内扉


ウェリントンストリート(Wellington Street)沿いにあるグレイスンギャラリー(Grayson Gallery)に勤める学芸員のアシスタントであるエドムンド・ガレット(Edmund Garret)と言う男性が、シャーロック・ホームズの元を訪れて、「殺人事件が起きたので、ギャラリーまで一緒に来てほしい。」と依頼した。

彼に連れられて、グレイスンギャラリーに着いたホームズとジョン・H・ワトスンの2人がギャラリー内に入ると、驚くことに、床の上にギャラリーのパトロンである30名以上の男女が死んでいたのである。その中には、学芸員のアーサー・マボット(Arthur Mabbot)と2名のウェイターも含まれていた。


ウェリントンストリートを画面右方向へ進むと、
ロイヤルオペラハウスへと至る。
<筆者撮影>


ホームズは、30名以上の男女の死体の前に掛かっている絵画が気になった。それは、死神(Death)と思われる骸骨が描かれた「不死の男(Undying Man)」と言う題で、作者は「アイヴァー・ラザラス(Ivor Lazarus)」となっていた。ホームズからの問い掛けに対して、エドムンド・ガレットは、「アイヴァー・ラザラスと言う画家本人を知らないし、会ったこともない。」と答えた。


丁度そこへ、スコットランドヤードのトビアス・グレッグスン警部(Inspector Tobias Gregson)が現れた。

グレッグスン警部によると、「彼らの死因は、シャンパンに入った毒に違いない。」とのことだった。

ところが、ホームズは、「彼らは、毒入りシャンパンで殺害されたのではなく、青酸ガスで殺されたんだ。」と言う意見であった。

ホームズがグレッグスン警部に対して、展覧会の主催者のことを尋ねると、「メイフェア地区(Mayfair)に住む D. G. と言う人物だが、それ以上のことは判らない。」との回答を得た。


ホームズとワトスンは、ベイカーストリート不正規隊(Baker Street Irregulars)の一人をパブに呼び出して、メイフェア地区に住む D. G. の住所を聞き出すと、翌朝、その住所であるバークリースクエア(Berkeley Square)へと向かった。


バークリースクエアの中心は、
バークリースクエアガーデンズ(Berkeley Square Gardens)と呼ばれる大きな公園になっている。 
公園の真ん中から、南側を望んだところ。
画面左下には、現在、英国の彫刻家ヘンリー・ムーア
(Henry Moore:1898年―1986年)の作品が設置されている。
<筆者撮影>


そして、2人は、D. G. こと、ダミアン・グレーヴス(Damian Graves)と面会した。

2人が通された部屋は、美術品やサーベル等の武器に囲まれており、ダミアン・グレーヴスは、2人に対して、「美術と歴史に興味がある。」と話した。

壁に掛かっている絵画を見て、ホームズが「アイヴァー・ラザラスの作品か?」と尋ねると、ダミアン・グレーヴスは、「アイヴァー・ラザラスは、自分のペンネームだ。」と答える。更に、ダミアン・グレーヴスは、「自分はグレイスンギャラリーのパトロンであるが、ダミアン・グレーヴスとアイヴァー・ラザラスをキチンと使い分けており、アイヴァー・ラザラスの作品の展覧会を行う場合、ダミアン・グレーヴスである自分は、いつも出席していない。」と付け加えた。

ホームズがグレイスンギャラリーで発生した毒殺事件を伝えると、ダミアン・グレーヴスの返事は、「今初めて聞いた。」だった。


ダミアン・グレーヴスの邸宅を出たホームズは、ワトスンに対して、「ダミアン・グレーヴスの手は、芸術家の手ではない。」と告げる。更に、ホームズは、ワトスンに、「ダミアン・グレーヴスが邸宅を出たら、跡をつけんだ。」と頼むと、馬車に乗って、去って行った。

ワトスンがバークリースクエアのベンチに座って待つこと、1時間、ダミアン・グレーヴスが邸宅から出て来て、玄関で待っていた馬車に乗り込んだ。そこで、ワトスンは、彼の後を追うべく、馬車を捕まえる。


ダミアン・グレーヴスは、ロンバードストリート(Lombard Street → 2015年1月31日付ブログで紹介済)、プリンスズストリート(Princes Street)、そして、スレッドニードルストリート(Threadneedle Street → 2014年10月30日付ブログで紹介済)のイングランド銀行(Bank of England → 2015年6月21日 / 6月28日付ブログで紹介済)で用事を済ませると、サヴィルロウ(Savile Row)で買い物をした後、リージェントストリート(Regent Street)で早めの夕食をとると、スピタルフィールズマーケット(Spitalfields Market)方面へと戻った。


地下鉄バンク駅(Bank Tube Station)の入口辺りからみたロンバードストリート
<筆者撮影>

プリンシズストリート側から見た
ロスベリー通り(Lothbury)へのショートカット
<筆者撮影>

スレッドニードルストリートで信号待ちをしている車やバス
<筆者撮影>

イングランド銀行の建物正面
<筆者撮影>

スピタルフィールズマーケットの跡地は、1990年代に取り壊され、
2001年から2005年にかけて、オフィスや小売店舗等が入居する建物として再開発され、
現在は、「ビショップススクエア(Bishops Square)」と呼ばれている。
<筆者撮影>

馬車を降りたダミアン・グレーヴスの後を、ワトスンは、狭い通りを抜けながらつけて行くが、突然、彼の姿を見失ってしまう。

驚くワトスンの後ろに、ダミアン・グレーヴスが姿を見せると、「二度と自分の後をつけてくるな!」と脅す口調で告げ、去って行ってしまった。


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