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| 英国の Harper Collins Publishers 社から現在出版されている アガサ・クリスティー作「青列車の謎」の ペーパーバック版の表紙 - 右手に銃を、そして、左手にキセルタバコを持った女性が線路の上に立っている場面が、 青列車の機関車の形に切り取られている。 |
アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)が1928年に発表した「青列車の謎(The Mystery of the Blue Train → 2022年11月19日付ブログで紹介済 / アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第8作目に、そして、エルキュール・ポワロ(Hercule Poirot → 2025年10月11日付ブログで紹介済)シリーズの長編としては、第5作目に該っている)の場合、1928年6月、フランスのパリから、その物語が始まる。
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| 物語は、1928年6月のパリから始まる。- Harper Collins Publishers 社から出ている アガサ・クリスティー作「青列車の謎」のグラフィックノベル版(→ 2022年11月12日 / 11月17日付ブログで紹介済)から抜粋。 |
フランスのパリにおいて、米国の大富豪であるルーファス・ヴァン・オールディン(Rufus Van Aldin)は、ロシア人の外交官から、悲劇と暴力の長い歴史に彩られた「炎の心臓(Heart of Fire)」と呼ばれる傷一つないルビーを手に入れた。
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| 米国の大富豪であるルーファス・ヴァン・オールディンは、 法外な値段にもかかわらず、 ロシア人の外交官から、「炎の心臓」と呼ばれるルビーを手に入れた。- Harper Collins Publishers 社から出ている アガサ・クリスティー作「青列車の謎」のグラフィックノベル版から抜粋。 |
ルーファス・ヴァン・オールディンが、ロシア人の外交官からルビーを買い取ってから10分も経たないうちに、彼は2人の暴漢に襲われるが、なんとか事なきを得る。実は、2人の暴漢は、「侯爵(Monsieur Le Marquis)」と呼ばれる男が差し向けた手の者だった。
この「侯爵」は、国際的な宝石泥棒で、英国人にしては、フランス語を非常に流暢に話すことができた。「侯爵」は、珍しい骨董品ばかりを取り扱うパポポラス(Papopolous)の店を訪れると、「暴漢による襲撃は失敗したが、次の計画は失敗する筈がない。」と豪語するのであった。
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| 二人組の暴漢による襲撃によるルビー「炎の心臓」の強奪に失敗した 国際的な宝石泥棒である「侯爵」は、 パポポラスの店を訪れ、「次の計画で、必ずルビーを手に入れる。」と豪語した。- Harper Collins Publishers 社から出ている アガサ・クリスティー作「青列車の謎」のグラフィックノベル版から抜粋。 |
ルーファス・ヴァン・オールディンが、法外な値段にもかかわらず、不気味な伝説を伴うルビーを手に入れたのは、彼の人生で唯一愛する娘のルース・ケタリング(Ruth Kettering)のためだった。このルビーで、結婚に失敗した娘の気を紛らわせることができるのであれば、ルーファス・ヴァン・オールディンは、金に糸目を全くつけなかったし、如何なる危険も顧みなかったのである。
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| パリからロンドンへと戻ったルーファス・ヴァン・オールディンは、 秘書のリチャード・ナイトン少佐(Major Richard Knighton)に対して、 パリで手に入れたルビー「炎の心臓」を見せて、驚かせる。- Harper Collins Publishers 社から出ている アガサ・クリスティー作「青列車の謎」のグラフィックノベル版から抜粋。 |
ルーファス・ヴァン・オールディンの娘のルースは、将来、レコンバリー卿(Lord Leconbury)となるデリク・ケタリング(Derek Kettering)と結婚していた。
ルースと結婚する前のデリク・ケタリングは、派手なギャンブルや出鱈目な生活等で、一家の財産を食い潰してきたが、結婚を機にして、その暮らしぶりを改めるのではないかと思われた。ところが、周囲の期待とは裏腹に、デリク・ケタリングの暮らしぶりが改まることはなく、それに加えて、悪名高いダンサーであるミレーユ(Mirelle)を愛人にしていた。
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| 愛人のミレーユは、デリク・ケタリングに対して、 「ルースは、リヴィエラではなく、パリへ行って、 そこで元恋人のローシュ伯爵と逢い引きする筈だ。」と主張した。- Harper Collins Publishers 社から出ている アガサ・クリスティー作「青列車の謎」のグラフィックノベル版から抜粋。 |
パリからロンドンへと戻ったルーファス・ヴァン・オールディンは、早速、ルビーを娘のルースにプレゼントするとともに、ろくでなしの夫デリクとの離婚を勧めるのであった。当初、妙に躊躇うそぶりを見せるルースであったが、ルーファス・ヴァン・オールディンは、「デリクは、金目当てに、お前と結婚した」ことをルースに認めさせ、離婚の手続を進めることに同意させた。
ルースは、南フランスのリヴィエラ(Riviera)で冬のシーズンを過ごすため、近いうちに、ロンドンを発つ予定だった。ルーファス・ヴァン・オールディンは、ルースに対して、ルビーをリヴィエラへ持参するリスクは避けて、銀行の貸金庫に保管しておくよう、強く警告する。
しかしながら、残念なことに、ルーファス・ヴァン・オールディンの警告は、無視されることとなった。そして、それが、ルースにとって、悲劇を呼ぶことになる。ルースは、代償として、自分の命を落とすことになるのであった。
愛人のミレーユは、デリク・ケタリングに対して、「ルース・ケタリングは、リヴィエラで冬のシーズンを過ごすと言っているが、実際にはパリへ向かう予定で、そこでアルマン・ド・ラ・ローシュ伯爵(Arman, Comte de la Roche)と逢い引きする筈だ!」と話す。
10年前、デリクと結婚するまで、ルースが女誑しの悪党であるローシュ伯爵と恋仲だったことを考えると、あり得る話だった。
ミレーユの話を聞いたデリク・ケタリングは、ミレーユのフラットを飛び出すと、ニース(Nice)行き青列車(Blue Train)の寝台を予約した。それは、妻のルースがリヴィエラへ向かう列車で、ミレーユの話が本当であれば、少なくとも、パリまでは乗って行く筈だ。
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| ミレーユから話を聞いたデリク・ケタリングは、 妻のルースが乗車するニース行き青列車の寝台を予約する。- Harper Collins Publishers 社から出ている アガサ・クリスティー作「青列車の謎」のグラフィックノベル版から抜粋。 |
ニース行きの青列車は、リヴィエラで冬のシーズンを過ごす予定である英国の有閑階級の人達で満席だった。
ルース・ケタリングは、メイドのエイダ・メイスン(Ada Mason)を連れて、青列車に乗車する。父親のルーファス・ヴァン・オールディンに強く警告されたにもかかわらず、リースは、父親からプレゼントされたルビー「炎の心臓」を携えたままであった。
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| ルーファス・ヴァン・オールディンは、 ニースへと向かう娘のルースの見送りにやって来る。 ルースは、メイドのエイダ・メイスンを伴っていた。- Harper Collins Publishers 社から出ている アガサ・クリスティー作「青列車の謎」のグラフィックノベル版から抜粋。 |
青列車の乗客の中には、英国の有閑階級の人達に初めて加わるキャサリン・グレイ(Katherine Grey)も居た。彼女は、ついこの前まで金持ちの話し相手(コンパニオン)を務めていて、彼女の雇い主が遺してくれた財産を相続したばかりだった。
彼女は、長い間、連絡の途絶えていた従姉妹のレディー・ロザリー・タンプリン(Lady Rosalie Tamplin)から、「数ヶ月間、リヴィエラで一緒に過ごさないか?」と招かれていた。レディー・タンプリンにとって、興味があるのは、自分が相続したばかりの財産だと気付いてはいたが、キャサリン・グレイは、自分に巡ってきた幸運を享受するつもりだった。
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| キャサリン・グレイは、コンパニオンを務めた彼女の雇い主が遺してくれた財産を使って、 リヴィエラに住む従姉妹のレディー・タンプリンのところへ出かけるところだった。- Harper Collins Publishers 社から出ている アガサ・クリスティー作「青列車の謎」のグラフィックノベル版から抜粋。 |
昼食をとるために、食堂車へと向かったキャサリン・グレイは、ルース・ケタリングと隣席になる。ルースは、「自分がこれからパリでしようとしている逢い引きについて、無謀だった。」と感じ始めており、キャサリンに対して、自分の気持ちを吐露するのであった。
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| 昼食の際、キャサリン・グレイと同席となったルース・ケタリングは、 これからパリで行おうとしている逢い引きについて、キャサリンに相談する。- Harper Collins Publishers 社から出ている アガサ・クリスティー作「青列車の謎」のグラフィックノベル版から抜粋。 |
通常、こういった打ち明け話をした場合、打ち明けた当人は、打ち明けた相手に対して、二度と会いたがらないものだ。実際、ルースは、自室内で夕食を取るようで、食堂車へ赴いたキャサリンは、別の人物と同席することになる。それは、他ならぬエルキュール・ポワロだった。
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| 夕食の際、キャサリン・グレイは、 名探偵であるエルキュール・ポワロと同席になった。- Harper Collins Publishers 社から出ている アガサ・クリスティー作「青列車の謎」のグラフィックノベル版から抜粋。 |
それ以降、キャサリン・グレイの身辺には、特に何も起きなかったが、青列車がニースに到着すると、彼女は恐ろしい事件に巻き込まれる。
昨日、昼食の席で隣席となったルース・ケタリングが、自室内において、就寝中、何者かによって、首を絞められて殺害された後、激しい一撃で、顔の見分けがつかない程になっているのが発見されたのである。そして、彼女が携えていたルビー「炎の心臓」が紛失していた。
メイドのエイダ・メイスンも、その姿を消していたため、警察は、キャサリン・グレイに対して、身元の確認を依頼するが、顔の判別がつかず、それは難しかった。
そして、その場に居合わせたポワロが、警察に対して、捜査の協力を申し出るのであった。
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| ニースに到着した青列車内において、 ルース・ケタリングの死体が発見されるとともに、 彼女が携えていたルビー「炎の心臓」が紛失していた。 偶然、青列車に乗り合わせていたポワロは、 警察に対して、捜査の協力を申し出る。- Harper Collins Publishers 社から出ている アガサ・クリスティー作「青列車の謎」のグラフィックノベル版から抜粋。 |
「青列車の謎」に登場するキャサリン・グレイは、ロンドン郊外のセントメアリーミード(St. Mary Mead)に住んでいる設定になっている。
セントメアリーミードとは、アガサ・クリスティーが1930年に発表した「牧師館の殺人(The Murder at the Vicarage)」において、初登場したミス・ジェーン・マープル(Miss Jane Marple)が住んでいる場所でもある。
(27)ルビー「炎の心臓」(Heart of Fire ruby)
米国の大富豪であるルーファス・ヴァン・オールディンは、娘のルース・ケタリングに対して、ルビー「炎の心臓」を銀行の貸金庫に保管しておくよう、強く警告したにもかかわらず、彼女は、父親の警告を守らず、ルビー「炎の心臓」を携えたまま、南フランスのリヴィエラで冬のシーズンを過ごすため、青列車の寝台車に乗車し、ロンドンからニースへと向かった。
青列車がニースに到着した際、ルース・ケタリングが、自室内において、就寝中、何者かによって、首を絞められて殺害された後、激しい一撃で、顔の見分けがつかない程になっているのが発見された。そして、彼女が携えていたルビー「炎の心臓」が紛失していたのである。
(28) 青列車(blue train)
米国の大富豪ルーファス・ヴァン・オールディンの娘ルース・ケタリングは、南フランスのリヴィエラで冬のシーズンを過ごすために、青列車の寝台車に乗り、ロンドンからニースへ出発。
ところが、青列車がニースに到着すると、彼女が、自室内において、就寝中、何者かによって、首を絞められて殺害された後、激しい一撃で、顔の見分けがつかない程になっているのが発見されたのであった。
(29)シガレットケース(cigarette case)
米国の大富豪ルーファス・ヴァン・オールディンの娘ルース・ケタリングが首を絞められて殺害された部屋内から、「K」のイニシャルが刻まれたシガレットケースが発見される。
このシガレットケースは、ルース・ケタリングが、結婚後も派手なギャンブルや出鱈目な生活等を続ける夫のデリク・ケタリングに送ったものであることが判明したため、夫のデリク・ケタリングが妻のルース・ケタリングを殺害したものと疑われるのであった。

















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