英国の Orion Publishing Group Ltd. から2025年に発行されている「「そして誰もいなくなった」の世界(The World of ‘And Then There Were None’)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているアガサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「そして誰もいなくなった(And Then There Were None)」(1939年)の登場人物や同作品に関連した47個にわたる手掛かりについて、引き続き、紹介したい。
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| ジグソーパズルの下段のやや右側に、 ファイティングポーズをとる正装姿のウィリアム・ヘンリー・ブロアが、赤枠で囲まれている。 <筆者撮影> |
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| 兵隊島に建つ邸宅の玄関の右側にある階段の前で、 正装して、ファイティングポーズをとるウィリアム・ヘンリー・ブロアの姿が見られる。 <筆者撮影> |
今回は、ウィリアム・ヘンリー・ブロア(William Henry Blore /元警部(Detective Inspector)→ 2025年11月2日付ブログで紹介済)に関連した1個の手掛かりが、その対象となる。
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| 英国の Orion Publishing Group Ltd. から2025年に出ている ジグソーパズル「「そして誰もいなくなった」の世界」(1000ピース) |
(34)熊の形をした大理石の時計(A bear-shaped marble clock)
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| 兵隊島に建つ邸宅の2階にある ヴェラ・エリザベス・クレイソーンの部屋にある暖炉の上に、 熊の形をした大理石の時計が置かれている。 <筆者撮影> |
ヴェラ・エリザベス・クレイソーン(Vera Elizabeth Claythorne / 体育教師(games mistress)→ 2025年10月21日付ブログで紹介済)の部屋にある暖炉の上に置かれていた熊の形をした大理石の時計が、ウィリアム・ヘンリー・ブロアの頭上に落下して、頭蓋骨骨折により、彼は死亡する。
立ちあがったヴェラは落ち着きなく、部屋の中を歩きまわった。
文句のつけようのない、すばらしい寝室だった。隅から隅まで、モダンなインテリアで飾られている。つやのある寄せ木細工の床に敷かれた、オフ・ホワイトのカーペット - 淡い色合いの壁 - ライトに囲まれた細長い鏡。マントルピースに、置き物が一つだけのっていた。クマのような形をした、大きな白大理石製の現代風の彫刻だった。時計がはめこんである。
(青木 久惠訳)
ヴェラは突然身体を起こして、大声を出した。
「あれはなに。まさか、地震じゃないわね」
「いや、そんなことはない。でも、変だな - 地響きがしたぞ。それに - きみ、叫び声のような音が聞こえなかったかい。ぼくには聞こえた」
二人は、屋敷のほうをじっと見あげた。
「あっちから聞こえたな。行ってみよう」と、フィリップは言った。
「いやよ。わたしは行きません」
「好きなようにしたまえ。ぼくは行く」
ヴェラはしかたなく、あきらめたように言った。
「わかったわ。一緒に行くわよ」
二人は屋敷めざして、坂をのぼった。テラスは明るい日に照らされて、なにごともなく静かだった。二人はそこで、ちょっとためらった。そして玄関から入らずに、建物のまわりを用心しながらまわりだした。
ブロアが見つかった。東側の石のテラスで大の字になって倒れ、頭を大きな白大理石の固まりで打ち砕かれていた。
フィリップが上を見あげた。
「この上の窓は、誰の部屋だい」
ヴェラが低い、ふるえる声で答えた。
「わたしの部屋よ - それに、あれはマントルピースに置いてあった時計じゃないかしら … そう言えば、思いだした。それは - クマみたいな形をしていた」
ヴェラは声を激しくふるわせて、言葉をくり返した。
「そうよ、クマの形をしていたわ …」
(青木 久惠訳)
1930年代後半の8月のこと、英国デヴォン州(Devon)の沖合いに浮かぶ兵隊島に、ウィリアム・ヘンリー・ブロアを含め、年齢も職業も異なる8人の男女が招かれる。彼らを島で迎えた執事と料理人の夫婦は、エリック・ノーマン・オーウェン氏(Mr. Ulick Norman Owen)とユナ・ナンシー・オーウェン夫人に自分達は雇われていると招待客に告げる。しかし、彼らの招待主で、この島の所有者であるオーウェン夫妻は、いつまで待っても、姿を現さないままだった。
招待客が自分達の招待主や招待状の話をし始めると、皆の説明が全く噛み合なかった。その結果、招待状が虚偽のものであることが、彼らには判ってきた。招待客の不安がつのる中、晩餐会が始まるが、その最中、招待客8人と執事 / 料理人夫婦が過去に犯した罪を告発する謎の声が室内に響き渡る。
ウィリアム・ヘンリー・ブロアは、ジェイムズ・スティーヴン・ランドー(James Stephen Landor)を死に至らせたと告発された。
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| 招待客が兵隊島に到着した日の晩餐会において、 謎の声(オーウェン氏)による告発により、招待客8人と執事 / 料理人夫婦が戦慄する場面 - Harper Collins Publishers 社から出ている アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」のグラフィックノベル版(→ 2020年9月13日付ブログで紹介済)から抜粋。 |
そして、物語が進み、童謡「10人の子供の兵隊(Ten Little Soldiers → 2025年11月15日付ブログで紹介済)」に準えて、ウィリアム・ヘンリー・ブロアは、8番目の被害者となる。
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| 兵隊島に建つ邸宅の2階にある ヴェラ・エリザベス・クレイソーンの部屋の壁(画面左側)には、 童謡「10人の子供の兵隊」が書かれた額が掛けられている。 アガサ・クリスティーの原作によると、厳密には、 童謡「10人の子供の兵隊」が書かれた額は、 暖炉の上に置かれた熊の形をした大理石の時計の上の壁に掛けられているのが正しい。 <筆者撮影> |
Three little soldier boys walking in the zoo; A big bear hugged one and then there were Two.
(3人の子供の兵隊さんが、動物園内を歩いていた。一人が大きな熊に抱き締められて、残りは2人になった。)
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東側の石のテラスにおいて、ウィリアム・ヘンリー・ブロアは、 大の字になって倒れており、頭を大きな白大理石の固まりで打ち砕かれていた。 それは、ヴェラ・エリザベス・クレイソーンの部屋の暖炉の上に置かれていた熊の形をした時計だった。- Harper Collins Publishers 社から出ている アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」のグラフィックノベル版から抜粋。 |
*被害者:ウィリアム・ヘンリー・ブロア
*告発された罪状:ジェイムズ・スティーヴン・ランドーを死に至らせたと告発された。
ウィリアム・ヘンリー・ブロアは、ロンドン商業銀行が襲われた事件の捜査を担当しており、ジェイムズ・スティーヴン・ランドーを犯人として逮捕。その実績を買われて、ウィリアム・ヘンリー・ブロアは、昇進を果たしている。なお、ジェイムズ・スティーヴン・ランドーは、終身刑となり、1年後にダートムーア刑務所で死亡。
*犯罪発生時期:1928年10月10日
*死因:熊の形をした時計の落下による頭蓋骨骨折
フィリップ・ロンバード(Philip Lombard / 元陸軍中尉 → 2025年10月28日付ブログで紹介済)とヴェラ・エリザベス・クレイソーンの2人が屋敷に戻ると、東側の石のテラスにおいて、ウィリアム・ヘンリー・ブロアは、大の字になって倒れており、頭を大きな白大理石の固まりで打ち砕かれていた。それは、ヴェラ・エリザベス・クレイソーンの部屋の暖炉の上に置かれていた熊の形をした時計だった。









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