サー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)作シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、11番目に発表された作品で、英国の「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1892年5月号に掲載された「緑柱石の宝冠(The Beryl Coronet → 2025年4月29日 / 5月1日 / 5月8日 / 5月12日付ブログで紹介済)」において、スレッドニードルストリート(Threadneedle Street → 2014年10月30日付ブログで紹介済)にあるホールダー&スティーヴンスン銀行(banking firm of Holder & Stevenson - シティー(City → 2018年8月4日 / 8月11日付ブログで紹介済)内では2番目に大きな民間銀行)の頭取を務めているアレクサンダー・ホールダーAlexander Holder)に、5万ポンドの融資の担保として、緑柱石の宝冠を預ける人物が登場する。
その人物は、コナン・ドイルの原作上、「世界中にその名前が知られていて、英国で最も上流で、高貴で、かつ身分の高い方の一人(it was a name which is a household word all over the earth - one of the highest, noblest, most exalted names in England)」と言及されているものの、具体的な名前にかかる記述は為されていない。しかしながら、シャーロック・ホームズシリーズの研究者の間では、放蕩癖でよく知られている当時のウェールズ公(Prince of Wales)で、後のエドワード7世であるとの説が有力である。
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テンプルバーメモリアルの台座部分には、 ウィーン生まれで、ハンガリー系の彫刻家である Joseph Edgar Boehm(1834年ー1890年)が製作した (1)ハノーヴァー朝第6代女王のヴィクトリア女王の像(南側)と (2)当時のウェールズ公で、後のサクス=コバーグ・アンド・ゴータ朝初代国王の エドワード7世の像(北側)が設置されている。 |
エドワード7世(Edward VII:1841年ー1910年 在位期間:1901年ー1910年 → 2025年5月10日 / 5月26日 / 5月31日 / 6月8日 / 6月15日付ブログで紹介済)は、ハノーヴァー朝(House of Hanover)の第6代女王で、かつ、初代インド女帝であるヴィクトリア女王(Queen Victoria:1819年ー1901年 在位期間:1837年ー1901年 → 2017年12月10日 / 12月17日付ブログで紹介済)の第2子(長男)で、サクス=コバーグ・アンド・ゴータ朝(House of Saxe-Coburg and Gotha)の初代英国国王 / インド皇帝である。
エドワード7世は、1841年11月9日に出生し、同年12月4日にウェールズ公の称号を得ている。
母であるヴィクトリア女王の在位が長期間になったため、彼がエドワード7世として即位したのは、1901年1月22日で59歳の時だった。これは、ウィンザー朝(House of Windsor)第5代国王として即位したチャールズ3世(King Charles III:1948年ー 在位期間:2022年ー)に次いで、現状、2番目に長く、ウェールズ公の立場にあったことになる。
エドワード7世が「緑柱石の宝冠」に登場した際、彼の立場はウェールズ公だった。
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コナン・ドイル作「高名な依頼人」における 各登場人物の相関関係を示した図 (Dorling Kindersley Limited から発行されている 「The Sherlock Holmes Book」から抜粋) |
上記に加えて、彼が国王に即位した後に登場した作品が、「高名な依頼人(The Illustrious Client)」である。
「高名な依頼人」は、シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、50番目に発表された作品で、英国の「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1925年2月号と同年3月号に、また、米国の「コリアーズ ウィークリー(Collier’s Weekly)」の1924年11月8日号に掲載された。
同作品は、1927年に発行されたホームズシリーズの第5短編集「シャーロック・ホームズの事件簿(The Case-Book of Sherlock Holmes)」に収録されている。

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