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サー・ジョン・ソーンズ博物館内の「South Drawing Room」- 窓が大きくとられていて、自然光が多く入り、室内が非常に明るい。 |
米国のペンシルヴェニア州(Pennsylvania)に出生して、英国人のクラリス・クルーヴス(Clarice Cleaves)との結婚後、1932年から1946年にかけて英国のブリストル(Bristol)に居を構えていた米国の推理作家で、「不可能犯罪の巨匠」とも呼ばれているジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr:1906年ー1977年)が1935年に発表した推理小説で、ギディオン・フェル博士(Dr. Gideon Fell)が登場するシリーズ第5作目に該る「死時計(Death-Watch → 2025年4月30日 / 5月4日付ブログで紹介済)」において言及される「サー・ジョン・ソーンズ博物館(Sir John Soane’s Museum)」は、リンカーンズ・イン・フィールズ(Lincoln’s Inn Fileds → 2016年7月3日付ブログで紹介済)に面して建っている博物館で、英国の新古典主義を代表する建築家で、1788年にロバート・テイラー(Robert Taylor:1714年ー1788年)の後を継いで、イングランド銀行(Bank of England → 2015年6月21日 / 6月28日付ブログで紹介済)の建築家に就任し、その後、1833年まで45年間にわたり、その任を務めたサー・ジョン・ソーン(Sir John Soane:1753年ー1837年)の邸宅兼スタジオを使用しており、彼が手掛けた建築に関する素描、図面や建築模型、更に、彼が収集した絵画や骨董品等を所蔵している。
今回は、博物館の内部について述べたいと思う。
博物館内部の設計および内装も、建築家サー・ジョン・ソーンの思想を反映する建築美術作品となっている。
その特徴として挙げられるのは、数多く設けられた採光用の天窓、窓や多彩な色合いのガラスで、これらに通して、建物の内部には自然光が満たされ、更に、各部屋に設置されている鏡により、奥行きが深められている。
その中でも特筆すべき場所は、博物館の後部に位置している採光用天窓を備えた空間で、ここはサー・ジョン・ソーンが考案したイングランド銀行(Bank of England → 2015年6月21日 / 6月28日付ブログで紹介済)ホールの独創的な採光技術を示すミニチュア版とも言える。
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サー・ジョン・ソーンズ博物館後部に位置している採光用天窓を備えた空間(その1) |
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サー・ジョン・ソーンズ博物館後部に位置している採光用天窓を備えた空間(その2) |
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サー・ジョン・ソーンズ博物館後部に位置している採光用天窓を備えた空間(その3) |
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サー・ジョン・ソーンズ博物館後部に位置している採光用天窓を備えた空間(その4) |
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サー・ジョン・ソーンズ博物館後部に位置している採光用天窓を備えた空間(その5) |
博物館の内部には、異なる内装の部屋が数多く設けられており、朝食用食堂(Breakfast Parlour)には、凸面鏡が嵌め込まれた半球形のドーム天井があり、世界中の建築家に影響を与えている。
ゴシック様式の影響を反映した図書室は、鮮やかな「ポンペイの赤」で装飾されている。
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サー・ジョン・ソーンズ博物館で購入した絵葉書 「Breakfast Parlour - Vie South」 (Photo : Derry Moore) |
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サー・ジョン・ソーンズ博物館で購入した絵葉書 「Library-Dining Room - View of the East Side」 (Photo : Derry Moore) |
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サー・ジョン・ソーンズ博物館で購入した絵葉書 「Monk's Parlour」 (Photo : Martin Charles) |
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サー・ジョン・ソーンズ博物館で購入した絵葉書 「South Drawing Room - View East」 (Photo : Derry Moore) |
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サー・ジョン・ソーンズ博物館で購入した絵葉書 「The Model Rom in Soane's Private Apartments」 (Photo : Gareth Gardner) |
博物館の内部に2つある中庭であるモニュメントコート(Monument Court - 古典主義様式を反映)とモンクスヤード(Monk’s Yard - ゴシック様式を反映)には、建築物の断片が多数所蔵 / 展示されている。

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