2024年9月15日日曜日

ミス・マープルの世界<ジグソーパズル>(The World of Miss Marple )- その16B

ビル・ブラッグ氏Mr. Bill Braggが描く
ミス・マープルシリーズの長編第8作目である
「鏡は横にひび割れて」の一場面


ビル・ブラッグ氏によるイラストには、

野戦病院協会支援のパーティーの席上、

米国の映画女優であるマリーナ・グレッグと

同協会の幹事であるヘザー・バドコックが会話をしているシーンが描かれている。

Harper Collins Publishers 社から出版されている

「鏡は横にひび割れて」のペーパーバック版の表紙には、

ビル・ブラッグ氏によるイラストが、

バドコック夫人が飲んで死亡する原因となった

推奨量の6倍もの精神安定剤が混入されたダイキリのグラスの形に

切り取られているものが使用されている。


気管支炎に罹患して、身体がひどく衰弱したミス・マープルのことを心配したヘイドック医師(Dr. Haydock → 2024年8月18日付ブログで紹介済)の進言もあり、甥のレイモンド・ウェスト(Raymond West → 2024年8月12日付ブログで紹介済)が手配したミス・ナイト(Miss Knight)が、ミス・マープルに対して、付き添いの介護をしている。

ミス・ナイトに加えて、セントメアリーミード村(St. Mary Mead)の新住宅地へ、夫のジム・ベイカー(Jim Baker)と一緒に引っ越して来たのが、チェリー・ベイカー(Cherry Baker → 2024年8月10日付ブログで紹介済)が、通いのメイドとして働いている。チェリー・ベイカーが、ミス・マープルのコテージ内の清掃を、また、彼女の夫のジム・ベイカーが、その他諸々の雑事を担当する。


そんな彼らの監視下をなんとか逃れたミス・マープルは、セントメアリーミード村内を散歩中に転んでしまうが、新住宅地の住民で、セントジョン野戦病院協会(St. John Ambulance)の幹事を務めるヘザー・バドコック(Mrs. Heather Badcock)に助けてもらった。

二人で紅茶を飲んでいる最中、ミス・マープルは、バドコック夫人から、「ゴシントンホール(Gossington Hall - ミス・マープルの親友であるドリー・バントリー(Dolly Bantry → 2024年8月14日付ブログで紹介済)が所有していた邸宅)」を購入して、最近、セントメアリーミード村に引っ越して来た米国の映画女優であるマリーナ・グレッグ(Marina Gregg)に、以前、会ったことがある。」という話を聞かされた。


セントメアリーミード村に引っ越して来たマリーナ・グレッグと彼女の夫で、映画監督であるジェイスン・ラッド(Jason Rudd)は、セントジョン野戦病院協会支援のためのパーティーを開催する。

そのパーティーには、以下の人物が招待されていた。


(1)バントリー夫人

(2)ローラ・ブルースター(Lola Brewster - 米国の映画女優で、マリーナの元夫と結婚)

(3)アードウィック・フェン(Ardwyck Fenn - マリーナの友人で、以前、マリーナと交際していた過去がある)

(4)ヘザー・バドコック

(5)アーサー・バドコック(Arthur Badcock - ヘザーの夫)


パーティーの席上、バドコック夫人は、マリーナを捕まえると、長い昔話を始めた。

バドコック夫人によると、数年前にマリーナがバミューダ(Bermuda)を訪れた際、当時そこで働いていた自分と会ったことがある、とのことだった。その時、バドコック夫人は病気だったが、マリーナの大ファンだったため、病床を推して、マリーナに会いに行き、彼女からサインをもらったと言う。

バドコック夫人とマリーナの二人の会話を近くで聞いていたバントリー夫人は、バドコック夫人が話している間、マリーナが非常に奇妙な表情を浮かべていたことに気付いた。

そうこうしていると、バドコック夫人が突然倒れて、死亡してしまったのである。


スコットランドヤードのダーモット・クラドック主任警部(Chief Inspector Dermot Craddock)/ ウィリアム・ティドラー部長刑事(Sergeant William Tiddler)、そして、地元警察のフランク・コーニッシュ警部(Inspector Frank Cornish)が捜査を担当する。

検死解剖の結果、バドコック夫人の死因は、推奨量の6倍もの精神安定剤を摂取したことによるもので、その精神安定剤は、マリーナが持っていたダイキリ(daiquiri)のグラス内に混入されており、自分の飲み物をこぼしたバドコック夫人に対して、マリーナがそのグラスを手渡したのであった。

ということは、実際には、マリーナ・グレッグの命が狙われていて、バドコック夫人は、その巻き添えに会ったということなのか?


警察の捜査が進む中、更に、二人の人物が殺されることになる。 


(43)ダイキリ(daiquiri)


セントメアリーミード村に引っ越して来たマリーナ・グレッグと彼女の夫で、映画監督であるジェイスン・ラッドが開催したセントジョン野戦病院協会支援のためのパーティーの席上、マリーナ・グレッグと話をしていたヘザー・バドコックが突然倒れて、死亡してしまった。

検死解剖の結果、バドコック夫人の死因は、推奨量の6倍もの精神安定剤を摂取したことによるもので、その精神安定剤は、マリーナ・グレッグが持っていたダイキリのグラス内に混入されており、自分の飲み物をこぼしたバドコック夫人に対して、マリーナ・グレッグが自分のグラスを手渡したのであった。


(44)噴霧器(atomizer)



ヘザー・バドコックに続いて、マリーナ・グレッグと彼女の夫で、映画監督であるジェイスン・ラッドの秘書であるエラ・ジーリンスキー(Ella Zielinsky)が、花粉症治療用の噴霧器に入れられた毒により、死亡してしまう。


(45)映画撮影用カメラ(film camera)



マリーナ・グレッグは映画女優で、彼女の夫であるジェイスン・ラッドは映画監督なので、映画撮影用カメラが、ジズソーパズル内に描かれている


(46)インチ(屋号)のタクシー(Inch’s taxi)



数年前に夫のアーサー・バントリー大佐(Colonel Arthur Bantry → 2024年8月14日付ブログで紹介済)を亡くしたドリー・バントリーは、ゴシントンホールとホールに付属したかなりの広さの土地を売り払って、以前東側の門衛所だったところに、最新式の造り付けの台所、水道、電気や浴室等の近代的な設備を設置した上で、そこへ移り住んでいる。

物語の序盤、ミス・マープルは、ドリー・バントリーを訪問する際に、インチ(屋号)のタクシーを利用している。


物語上、「もうずっと昔のことだが、インチという男が貸馬車を二台持っていて、汽車が着くたびに降りてくる客を乗せていた。村の婦人たちも、”およばれ”でティー・パーティーに行ったり、時には娘を連れて、ダンス・パーティーなどにうかれに行ったりする場合にも、そこの馬車を雇ったものだった。そのうちに、元気そうなあから顔の七十過ぎの爺さんになったインチは、息子 - 村では、”インチ青年”で通っていたが、そのときには息子はもう四十五だった - に仕事をゆずった。もっとも、老婦人たちを乗せるときには、息子では若すぎて

頼りないとでも思うのか、自分が御者をつとめたりしてはいた。インチ青年は、時代に順応して馬車はやめ、自動車に変えた。だが、彼は機械の扱い方はそれほどうまくなかったので、そのうちにバードウェルという男が商売を譲りうけた。インチという屋号はそのままに残った。そのバードウェルもやがてロバーツという男に権利を譲ったが、電話帳には相変わらず<インチ・タクシー>と載っていたので、村の老婦人たちは、どこかへ行くときには、自分たちはヨナで、インチが鯨ででもあるように、”インチで”と昔のままの言葉を使っているのだった。」(橋本福夫訳)と言う説明が為されている。


物語の終盤、ミス・マープルは、犯人を指摘するために、ゴシントンホールへ向かう際にも、インチのタクシーを使用した。その際、ロバーツが運転手を務めている。


                                  

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