2026年2月10日火曜日

ロンドン メイダヴェール地区(Maida Vale)- その2

エルギンアベニュー(Elgin Avenue)と
ランドルフアベニュー(Randolph Avenue)が交差する南東の角にある
地下鉄メイダヴェール駅
<筆者撮影>

米国のペンシルヴェニア州(Pennsylvania)に出生して、英国人のクラリス・クルーヴス(Clarice Cleaves)との結婚後、1932年から1946年にかけて英国のブリストル(Bristol)に居を構えていた米国の推理作家で、「不可能犯罪の巨匠」とも呼ばれているジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr:1906年ー1977年)が、カーター・ディクスン(Carter Dickson)という別名義で1944年に発表した推理小説で、ヘンリー・メリヴェール卿(Sir Henry Merrivale)シリーズの長編第14作目に該る「爬虫類館の殺人He Wouldn’t Kill Patience → 2025年11月17日 / 11月19日付ブログで紹介済)」の舞台は、第2次世界大戦(1939年-1945年)下の首都ロンドンである。


京創元社が発行する創元推理文庫「爬虫類館の殺人」の表紙
    カバーイラスト:ヤマモト マサアキ
カバーデザイン:折原 若緒
  カバーフォーマット:本山 木犀


ケンジントンガーデンズ(Kensington Gardens → 2026年1月31日付ブログで紹介済)内にあるロイヤルアルバート動物園(Royal Albert Zoological Gardens)は、世界の蛇、蜥蜴や毒蜘蛛等を集めた爬虫類館で人気を集めていた。ところが、ドイツ軍の爆撃による空襲の脅威下、国家安全保証省(Department of Home Secuirty)からの要請により、閉園の危機を迎える。

園長のエドワード・ベントン(Edward Benton)は、なんとかして、ロイヤルアルバート動物園閉園の危機を乗り越えようといろいろと手を尽くしたものの、閉園の撤回は非常に難しい状況だった。



ロイヤルアルバート動物園閉園の危機を迎えて、気落ちする父エドワード・ベントンを元気づけるため、娘のルイーズ・ベントンは、曾祖父の代から対立している2つの奇術師一家の若き後継者であるケアリー・クイント(Carey Quint - 奇術師の青年)とマッジ・パリサー(Madge Palliser - 奇術師の女性)の2人に手品を披露してもらうべく、1940年9月6日(金)の夕食会に招待した。また、陸軍省の御意見番で、手品を得意とするヘンリー・メリヴェール卿も、同じく招待されたのである。


メイダヴェール通り(Maida Vale)からエルギンアベニューを西側へ向かうところ -
画面奥の建物は、エルギンアベニューとラナークロード(Lanark Road)が交差する
南西の角に建つフラット群
<筆者撮影>


空襲警報が鳴り響く中、ケアリー・クイント、マッジ・パリサーとヘンリー・メリヴェール卿の3人は、午後8時半頃、ロイヤルアルバート動物園内にある園長の家に到着。

玄関のドアには、鍵がかかっておらず、廊下の突き当たりにある園長エドワード・ベントンの書斎のドアには、「入室無用」の札が掛かっていた。また、ドアは閉じたままで、その下から光は漏れていなかった。

ヘンリー・メリヴェール卿達は、廊下の突き当たりにある園長の書斎のドアを開けようとしたが、鍵がかかっていた。また、中から鍵穴に何かが貼り付けてあるようだった。


メイダヴェール通りからエルギンアベニューを西側へ向かうところ -
画面奥の建物は、エルギンアベニューとラナークロードが交差する
北西の角に建つパブ「エルギン(Elgin)」
<筆者撮影>


廊下に面したドアは、全て、同じ鍵を使っていることを知っているジャック・リヴァーズ(セントバーソロミュー病院(St. Bartholomew's Hospital → 2014年6月14日付ブログで紹介済)の医師で、ルイーズ・ベントンの恋人)は、食堂のドアから鍵を抜くと、ヘンリー・メリヴェール卿に手渡した。

ヘンリー・メリヴェール卿が書斎の鍵を解錠して、ドアを開けると、園長のエドワード・ベントンが、一匹の蛇と一緒に、ガス中毒により死亡しているのを発見する。

書斎のドアと窓の全てが内側から厳重に目張りされた「密室(sealed room)」状態で、状況的には、ロイヤルアルバート動物園の閉園を苦にしての自殺としか思えなかった。


地下鉄メイダヴェール駅の反対側のエルギンアベニュー(北側)から東側を見たところ
<筆者撮影>

ロイヤルアルバート動物園内にある家において、「密室」状態で亡くなったエドワード・ベントン園長の弟であるホーレス・ベントン(Horace Benton)が住んでいるメイダヴェール地区(Maida Vale)は、ロンドンの中心部であるシティー・オブ・ウェストミンスター区(City of Westminster)内に所在する地区の一つである。


地下鉄メイダヴェール駅前の環状交差点(roundabout)から
ランドルフアベニュー(南側)を見たところ
<筆者撮影>


ナポレオン戦争(Napoleonic Wars:1803年ー1815年 / フランスの第一執政期と第一帝政期における一連の戦争の総称)のうち、1806年に南イタリアで行われたメイダの戦い(Battle of Maida)に勝利を収めた英国陸軍の中将(Lieutenant-General)だったサー・ジョン・ステュアート(Sir John Stuart:1759年ー1815年)は、メイダ伯爵(Count of Maida)に叙せられた。


地下鉄メイダヴェール駅前の環状交差点から
西進するエルギンアベニューを見たところ(その1)
<筆者撮影>


メイダの戦いに勝利したサー・ジョン・ステュアートを讃えるパブ「The Hero of Maida」が、現在のメイダヴェール地区の東南の角に位置するリージェンツ運河(Rengent’s Canal)近くのエッジウェアロード(Edgware Road → 2016年1月30日付ブログで紹介済)沿いで営業しており、このことから、この辺りは「メイダヴェール」と呼ばれるようになった。そして、1860年代後半には、正式に、「メイダヴェール地区」と命名された。

なお、このパブは、1992年に閉店している。


地下鉄メイダヴェール駅前の環状交差点から
西進するエルギンアベニューを見たところ(その2)
<筆者撮影>


メイダヴェール地区内には、ヴィクトリア朝時代やエドワード朝時代に建てられた邸宅が並び、現在は、フラット群と化している。

メイダヴェール地区の東側が、高級住宅街の一つであるセントジョンズウッド地区(St. John’s Wood → 2014年8月17日付ブログで紹介済)と接していることもあって、特に、同地区の東側と南側(リージェンツ運河沿い近辺)は高級住宅街となっている。


画面奥の建物は、エルギンアベニューとランドルフアベニューが交差する
北東の角に建つベイカリー&カフェ「ゲイルズ( Gail's)」
<筆者撮影>


メイダヴェール地区内には、地下鉄のベイカールーライン(Bakerloo Line)が延伸しており、同地区の東側には、地下鉄メイダヴェール(Maida Vale Tube Station)が、また、同地区の南西側には、地下鉄ウォーリックアベニュー駅(Warwick Avenue Tube Station)があり、あまり広くない地区内に、2つの地下鉄の駅が設けられている。


2026年2月9日月曜日

アガサ・クリスティー 2026年オフィシャルカレンダー(Agatha Christie Official Calendar 2026)- その12

2025年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された
「アガサ・クリスティー 2026年オフィシャルカレンダー」のうち、
2026年10月のカレンダーに描かれている
エルキュール・ポワロシリーズの長編第31作目「ハロウィーンパーティー」(1969年)-

ロンドンから30ー40マイル程離れた町ウッドリーコモンの中心的な存在である

ロウィーナ・ドレイク夫人の自宅「リンゴの木荘」において、

学校の生徒達のために開催されるハロウィーンパーティー用に準備された

カボチャやリンゴが描かれている。


アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)の作品を出版している英国の HarperCollinsPublishers 社から、2026年オフィシャルカレンダーが出ているので、前回に引き続き、順番に紹介したい。


2026年カレンダーの場合、カレンダー用に新たに描き起こされたエルキュール・ポワロシリーズのイラストが使用されており、デザインについては、Diahann Sturge-Cambell が、また、イラストに関しては、Mr. Stephen Millership / Central Illustration Agency が担当している。


2023年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された
アガサ・クリスティー作「ハロウィーンパーティー」の
愛蔵版(ハードカバー版)の表紙
(Cover design by Sarah Foster / HarperCollinsPublishers Ltd.
Cover images by Shutterstock.com) 


11番目は、2026年10月のカレンダーに該る「ハロウィーンパーティー(Hallowe’en Party)」(1969年)である。


アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第60作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第31作目に該っている。


アリアドニ・オリヴァーは、
英国の Orion Publishing Group Ltd. から2023年に発行されている
「エルキュール・ポワロの世界」と言うジグソーパズルの中央に立
エルキュール・ポワロのすぐ右側に居て、

肘掛け椅子に座っている。

<筆者撮影>


女性推理作家として有名なアリアドニ・オリヴァー夫人(Mrs. Ariadne Oliver)は、ロンドンから30ー40マイル程離れた町ウッドリーコモン(Woodleigh Common)に住む友人のジュディス・バトラー(Judith Butler)宅に滞在していた。

ウッドリーコモンの中心的な存在であるロウィーナ・ドレイク夫人(Mrs. Rowena Drake)が、学校の生徒達のために、ハロウィーンパーティーを主催することになり、オリヴァー夫人やジュディス・バトラーも、準備作業を含めて、参加する運びとなった。


ハロウィーンパーティーを晩に控えた午後、ドレイク夫人宅「リンゴの木荘(Apple Trees House)」において、学校の生徒達が準備の手伝いをしていた。その際、生徒の一人である13歳のジョイス・レイノルズ(Joyce Reynolds)が、突然、「ずっと前に殺人を目撃したことがある。ただ、当時は、それが殺人だと判らなかった。(I witnessed a murder once, when I was little. I didn’t understand what was going on at the time.)」と言い出したのである。

ジョイス・レイノルズの話を聞いた他の生徒達は、日頃から彼女が人の関心を惹くために、いろいろと嘘をつくので、彼女を全く相手にしない。ドレイク夫人宅に準備の手伝いに来ていたオリヴァー夫人も、ジョイスが推理作家である自分の気を引こうとしているものと思い、彼女の話を本気にしなかった。


エルキュール・ポワロは、
英国の Orion Publishing Group Ltd. から2023年に発行されている
「エルキュール・ポワロの世界」と言うジグソーパズルの中央に立っている。
<筆者撮影>


ドレイク夫人宅において、ハロウィーンパーティーが行われた日の翌日の晩、オリヴァー夫人が、ロンドンのエルキュール・ポワロ(Hercule Poirot → 2025年10月11日付ブログで紹介済)のフラットに電話をかけてきた後、慌ててやって来る。オリヴァー夫人は、ポワロに対して、ヒステリー気味に話を始めた。

ハロウィーンパーティーが終わった後、以前殺人を目撃したことがあると言っていたジョイス・レイノルズが、ドレイク夫人宅の図書室において、リンゴが浮かぶブリキのバケツに頭を押し込まれて、溺死しているのが見つかったのである。


オリヴァー夫人から話を聞いて、ハロウィーンパーティー前の発言のために、ジョイス・レイノルズが口封じされたものと考えたポワロは、早速、行動に移った。

ポワロは、古い友人であるバート・スペンス元警視(ex Superintendent Bart Spence)の元を訪れる。偶然にも、スペンス元警視は、引退後、夫を亡くした妹のエルスペス・マッケイ(Elspeth McKay)と一緒に、ジョイス・レイノルズが殺害された町ウッドリーコモンに住んでいたのである。


スペンス元警視の場合、ウッドリーコモンに住み始めて、それ程長くはないものの、彼の妹であるエルスペス・マッケイは、彼よりも長く、ウッドリーコモンに住んでいるので、ポワロは、2人の協力を得て、過去数年間にウッドリーコモン周辺で殺された人物、あるいは、殺害された可能性のある人物のリストを作成してもらい、一つ一つ捜査を進める。


(1)ルウェリン=スマイス夫人(Mrs. Llewellyn-Smythe):

富豪の未亡人である彼女(ロウィーナ・ドレイク夫人の夫が、彼女の甥に該る)が突然亡くなり、彼女の遺言書(codicil)により、彼女の屋敷で働いていたオルガ・セミノフ(Olga Seminoff - ヘルツェゴヴィナ(Herzegovina)出身 / 外国語の勉強を目的として、家事手伝いをしながら、外国の家庭に住まわせてもらう制度を利用していた女性(au pair girl))が彼女の遺産相続人として指定される。ところが、後に、その遺言書が偽造と判明し、オルガ・セミノフも失踪して、行方不明となる。


(2)レスリー・フェリアー(Leslie Ferrier):

ルウェリン=スマイス夫人の顧問弁護士であるジェレミー・フラートン(Jeremy Fullerton)が経営する法律事務所(Fullerrton, Harrison and Leadbetter)の事務員として働いていたが、ある夜、パブ(The Green Swan)からの帰り道、何者かに背中を刺されて死亡(当時28歳)。当時、彼は、パブの経営者の妻と不倫関係にある上に、他の女性との関係も噂されていた。


(3)シャーロット・ベンフィールド(Charlotte Benfield):

店員として働いていたが、採掘場(quarry)近くの森の小道において、頭部に複数の傷を負って、死亡しているのが発見される(当時16歳)。2人の男性が容疑者として疑われたものの、決定的な証拠が挙がらなかった。


(4)ジェネット・ホワイト(Janet White):

エルムズ学校(Elms school)の教師として働いていたが、学校から自宅への帰り道において、何者かに首を絞められて死亡。彼女と同居していた同じく教師のノーラ・アンブローズ(Nora Ambrose)によると、ジェネット・ホワイトは、1年程前に、交際していた男性と別れたが、その男性が、彼女に対して、しつこく脅迫の手紙を送ってくることに悩んでいた、とのこと。ただし、残念ながら、その男性が誰なのかについては、ハッキリしなかった。


果たして、この中に、ジョイス・レイノルズが目撃したと言う殺人事件が含まれているのだろうか?


次に、ポワロは、エルムズ学校を訪ねて、ハロウィーンパーティーに参加していた教師であるエリザベス・ウィッテカー(Elizabeth Whittaker)に面会した。

エリザベス・ウィッテカーによると、パーティーの途中、廊下に出た際、階段の一番上に居たドレイク夫人が、手に抱えていた花瓶を突然落として割ってしまう現場を目撃した、とのこと。手に抱えていた花瓶を落として割ってしまった際、ドレイク夫人は、階段の上から図書室(ジョイス・レイノルズが殺害された部屋)の方へ視線を向けており、エリザベス・ウィッテカーとしては、「ドレイク夫人は、図書室を出入りした誰かを目撃したのではないか?」と答えた。残念ながら、エリザベス・ウィッテカーが居た場所から、図書室の方を見ることはできなかったのである。


ポワロが、ルウェリン=スマイス夫人が住んでいた屋敷の様子を見に出かけた際、造園師である美青年のマイケル・ガーフィールド(Michael Garfield)に出会う。彼は、亡くなる前のルウェリン=スマイス夫人からの依頼を受けて、彼女が所有していた元の採掘場(quarry)を非常に美しい庭園へと造園していた。


エリザベス・ウィッテカーの話に基づいて、ポワロは、ドレイク夫人に対して、「図書室を出入りした誰かを見たのか?」と尋ねるが、ドレイク夫人は、「何も見ていない。」と答えるのみであった。


その後、ジョイス・レイノルズの弟で、ここのところ、妙に金まわりがよくなったレオポルド・レイノルズ(Leopold Reynolds)が、小川において、溺死体で発見される。

レオポルド・レイノルズの溺死体を発見された後、ドレイク夫人がやって来て、ポワロに対して、突然、花瓶を落とした理由について、「図書室から出て来たレオポルド・レイノルズを見かけたからだ。」と告白するのであった。


果たして、ジョイス・レイノルズと彼女の弟であるレオポルド・レイノルズの2人を殺害した犯人は、一体、誰なのか?

また、これらの殺人は、過去に発生したルウェリン=スマイス夫人、レスリー・フェリアー、シャーロット・ベンフィールド、そして、ジェネット・ホワイトのうち、いずれの事件と関連しているのだろうか?


2026年2月8日日曜日

ロンドン メイダヴェール地区(Maida Vale)- その1

メイダヴェール地区の東端を南北に延びるメイダヴェール通り -
画面左奥に見えるのが、アバコーンプレイス通り(Abercorn Place)で、
セントジョンズウッド地区へと入る。
<筆者撮影>

米国のペンシルヴェニア州(Pennsylvania)に出生して、英国人のクラリス・クルーヴス(Clarice Cleaves)との結婚後、1932年から1946年にかけて英国のブリストル(Bristol)に居を構えていた米国の推理作家で、「不可能犯罪の巨匠」とも呼ばれているジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr:1906年ー1977年)が、カーター・ディクスン(Carter Dickson)という別名義で1944年に発表した推理小説で、ヘンリー・メリヴェール卿(Sir Henry Merrivale)シリーズの長編第14作目に該る「爬虫類館の殺人He Wouldn’t Kill Patience → 2025年11月17日 / 11月19日付ブログで紹介済)」の舞台は、第2次世界大戦(1939年-1945年)下の首都ロンドンである。


京創元社が発行する創元推理文庫「爬虫類館の殺人」の表紙
    カバーイラスト:ヤマモト マサアキ
カバーデザイン:折原 若緒
  カバーフォーマット:本山 木犀


ケンジントンガーデンズ(Kensington Gardens → 2026年1月31日付ブログで紹介済)内にあるロイヤルアルバート動物園(Royal Albert Zoological Gardens)は、世界の蛇、蜥蜴や毒蜘蛛等を集めた爬虫類館で人気を集めていた。ところが、ドイツ軍の爆撃による空襲の脅威下、国家安全保証省(Department of Home Secuirty)からの要請により、閉園の危機を迎える。

園長のエドワード・ベントン(Edward Benton)は、なんとかして、ロイヤルアルバート動物園閉園の危機を乗り越えようといろいろと手を尽くしたものの、閉園の撤回は非常に難しい状況だった。



ロイヤルアルバート動物園閉園の危機を迎えて、気落ちする父エドワード・ベントンを元気づけるため、娘のルイーズ・ベントンは、曾祖父の代から対立している2つの奇術師一家の若き後継者であるケアリー・クイント(Carey Quint - 奇術師の青年)とマッジ・パリサー(Madge Palliser - 奇術師の女性)の2人に手品を披露してもらうべく、1940年9月6日(金)の夕食会に招待した。また、陸軍省の御意見番で、手品を得意とするヘンリー・メリヴェール卿も、同じく招待されたのである。


メイダヴェール通りの南側から北方面を見たところ
<筆者撮影>

空襲警報が鳴り響く中、ケアリー・クイント、マッジ・パリサーとヘンリー・メリヴェール卿の3人は、午後8時半頃、ロイヤルアルバート動物園内にある園長の家に到着。

玄関のドアには、鍵がかかっておらず、廊下の突き当たりにある園長エドワード・ベントンの書斎のドアには、「入室無用」の札が掛かっていた。また、ドアは閉じたままで、その下から光は漏れていなかった。

廊下の突き当たりにある園長の書斎を除くと、右の部屋も左の部屋も、ドアが開けっ放しで、夕食会の用意が為されていたものの、誰もいなかった。

ヘンリー・メリヴェール卿とマッジ・パリサーが、夕食を焦がしている臭いを嗅ぎつけると、3人は食堂へと急いだ。食堂内の閉じたオーブンの中では、ロースト料理が焦げていた。誰かが、全部のガスを全開にしていたのである。

慌ててオーブンのスイッチを切る3人であったが、何故か、食堂から廊下へ通じるドアに、鍵がかかっていた。3人以外に、園長の家内に居る誰かに、彼らは食堂内に閉じ込められてしまったのだ。


メイダヴェール通りの南側からアバコーンプレイス通りを見たところ
<筆者撮影>

ケアリー・クイントが奇術用の小道具を使い、ドアの鍵を解錠して、廊下へ出ると、丁度、飼育員のマイク・パーソンズとセントバーソロミュー病院(St. Bartholomew's Hospital → 2014年6月14日付ブログで紹介済)の医師で、ルイーズ・ベントンの恋人のジャック・リヴァーズが玄関のドアから入って来た。

ジャック・リヴァーズによると、午後7時に、園長のエドワード・ベントン本人から、「夕食会は中止になった」旨の電話連絡があった、とのこと。園長の声の様子に不自然さを感じたジャック・リヴァーズは、病院から駆け付けたのであった。


メイダヴェール通りの横断歩道の中間点から北方面を見たところ
<筆者撮影>

ヘンリー・メリヴェール卿を含めた5人は、廊下の突き当たりにある園長の書斎のドアを開けようとしたが、鍵がかかっていた。また、中から鍵穴に何かが貼り付けてあるようだった。


メイダヴェール通りの北側からエルギンアベニュー(Elgin Avenue)を見たところ -
エルギンアベニューは、メイダヴェール地区内を横断して、
西側のメイダヒル地区まで延びている。
<筆者撮影>

廊下に面したドアは、全て、同じ鍵を使っていることを知っているジャック・リヴァーズは、食堂のドアから鍵を抜くと、ヘンリー・メリヴェール卿に手渡した。

ヘンリー・メリヴェール卿が書斎の鍵を解錠して、ドアを開けると、園長のエドワード・ベントンが、一匹の蛇と一緒に、ガス中毒により死亡しているのを発見する。

書斎のドアと窓の全てが内側から厳重に目張りされた「密室(sealed room)」状態で、状況的には、ロイヤルアルバート動物園の閉園を苦にしての自殺としか思えなかった。


メイダヴェール通りの南側からエルギンアベニューを見たところ
<筆者撮影>

ホーレス・ベントン(Horace Benton / エドワード・ベントンの弟)が、理髪店でさっぱりした様子で、極上の葉巻を吸いながら、正面の芝生を歩いてきた。ずんぐりとした体は、今は上品な黒衣に包まれ、玄関ドアから朝日を遮っている。彼は陽気にあいさつしようとしたが、死者が出たことを思い出したらしく咳払いして、よりふさわしいおごそかな面持ちと、静かな足取りで近づいてきた。

「伝言があります」彼は告げた。「ふたりとも、爬虫類館へ来てほしいとのことです」


「爬虫類館?」マッジが繰り返した。「どうして爬虫類館へ?」

ホーレスは首を振った。

「それはいえないのです。だが、メリヴェールがいます。ジャック・リヴァーズも。それに」彼は口ごもった。「警察官も」

「ゆうべ来た、所轄の警部ですか?今朝、、全員にここへ来るようにいった?」

「それも取りやめになったのですよ」ホーレスは自分でも自信なげな、弱々しい笑みを浮かべていった。「来ているのは所轄の警部ではありません。新しい人です。首席警部ですよ。ロンドン警視庁の」

ケアリは口笛を吹いた。

「その人の名前は」彼は尋ねた。「マスターズ主席警部では?」

「そのような感じでしたな」ホーレスは認めた。

彼はかぐわしい葉巻の煙を吸い込んだが、前より楽しんではいなそうだった。首は興奮した七面鳥のように赤く、しわが寄っている。一瞬、苛立った巡回セールスマンのようだとケアリは思った。やがて、彼は大きな笑い声をあげ、ふたりを驚かせた。

「主席警部は」彼は続けた。「大胆にも、このわたしにあれこれ質問しましたよ。いつカナダから帰ったのか? 二か月前です。なぜ? 戦時の仕事のためです。カナダでの事業は成功していたのか? いいえ。人をすぐ信じてしまうものですから。ゆうべ八時半から九時の間に、何をしていた?」

またしてもホーレスは大笑いした。

「わたしは喜んで答えましたよ。ゆうべの八時半から九時の間は、メイダ・ヴェールの自分のフラット、ハンマースレイ・マンションにいました。数人がそれを証明してくれます。そんなところです。ではさようなら。幸運を祈ります、という具合にね」

煙が目に入り、まばたきしながら、ホーレスは快活に手を振って退散した様子を伝えた。それから前へ出て、ざっくばらんな兄のように、マッジの腕に軽く触れた。

「とにかく」彼はいった。「ふたりとも爬虫類館に来て、メリヴェールに会ってください。ルイーズは霊安室へ行っているので、わたしがここで目を光らせておくことにします」

(白須 清美訳)


メイダヴェール通り(画面右斜め奥から画面左手前に延びる通り)と
エルギンアベニュー(画面右側へ延びる通り)の交差点から
南方面を見たところ(その1)
<筆者撮影>

ロイヤルアルバート動物園内にある家において、「密室」状態で亡くなったエドワード・ベントン園長の弟であるホーレス・ベントンが住んでいるメイダヴェール地区(Maida Vale)は、ロンドンの中心部であるシティー・オブ・ウェストミンスター区(City of Westminster)内に所在する地区の一つである。


メイダヴェール通り(画面右奥へ延びる通り)と
アバコーンプレイス通り(画面手前を左右に延びる通り)の交差点から
南方面を見たところ
<筆者撮影>

メイダヴェール地区は、


東側: メイダヴェール通り(Maida Vale)

南側: リージェンツ運河(Regent’s Canal)

西側: シルランドロード(Shirland Road)

北側: キルバーンパークロード(Kilburn Park Road)


に囲まれたあまりに広くない地区である。


メイダヴェール通りとエルギンアベニューの交差点から南方面を見たところ(その2)
<筆者撮影>

また、メイダヴェール地区は、


東側: セントジョンズウッド地区(St. John’s Wood → 2014年8月17日付ブログで紹介済)/ リッソングローヴ地区(Lisson Grove)

南側: パディントン地区(Paddington → 2015年1月4日付ブログで紹介済)

西側: メイダヒル地区(Maida Hill)

北側: サウスハムステッド地区(South Hampstead)


と隣り合っている。

なお、メイダヴェール地区と隣り合う東側、南側と西側は、シティー・オブ・ウェストミンスター区に属しているが、北側は、ロンドンの特別区の一つであるカムデン区(London Borough of Camden)に属している。


2026年2月7日土曜日

アガサ・クリスティー 2026年オフィシャルカレンダー(Agatha Christie Official Calendar 2026)- その11

2025年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された
「アガサ・クリスティー 2026年オフィシャルカレンダー」のうち、
2026年9月のカレンダーに描かれている
エルキュール・ポワロシリーズの長編第19作目いち、にい、私の靴の留め金を締めて」(1940年)-
クイーンシャーロットストリート58番地にあるヘンリー・モーリー歯科医院での診療を終えて、
建物の外に出たエルキュール・ポワロは、そこでタクシーから降りて来た女性の患者とすれ違い、
その際、彼女が落とした靴の留め金(バックル)を拾って渡すが、
このことが、後々、事件解決のための重要な手掛かりとなる。
2026年9月のカレンダーには、この画面が描かれている。


アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)の作品を出版している英国の HarperCollinsPublishers 社から、2026年オフィシャルカレンダーが出ているので、前回に引き続き、順番に紹介したい。


2026年カレンダーの場合、カレンダー用に新たに描き起こされたエルキュール・ポワロシリーズのイラストが使用されており、デザインについては、Diahann Sturge-Cambell が、また、イラストに関しては、Mr. Stephen Millership / Central Illustration Agency が担当している。


10番目は、2026年9月のカレンダーに該る「One, Two, Buckle My Shoe(いち、にい、私の靴の留め金を締めて)」(1940年)である。


アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第28作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第19作目に該っている。


「いち、にい、私の靴の留め金を締めて」の場合、米国版のタイトルは、「The Patriotic Murders(愛国殺人)」が使用されている。


エルキュール・ポワロ(Hercule Poirot → 2025年10月11日付ブログで紹介済)がクイーンシャーロットストリート58番地(58 Queen Charlotte Street → 2016年5月29日付ブログで紹介済)にある歯科医ヘンリー・モーリー(Henry Morley)の待合室に居るところから、物語が始まる。


エルキュール・ポワロは、
英国の Orion Publishing Group Ltd. から2023年に発行されている
「エルキュール・ポワロの世界」と言うジグソーパズルの中央に立っている。
<筆者撮影>


流石の名探偵ポワロであっても、半年に一回の定期検診のために、歯科医の待合室で診療を待つのは、自分の自尊心を大いに傷つけられるのであった。ようやく診療を終えて、建物の外に出たポワロは、そこでタクシーから降りて来た女性の患者とすれ違った際、彼女が落とした靴の留め金(バックル)を拾って渡した。

そして、フラットに戻ったポワロを待っていたのは、ついさっき自分を診療したモーリー歯科医が診療室で拳銃自殺をしたとのスコットランドヤードのジャップ主任警部(Chief Inspector Japp)からの連絡であった。


ポワロの後に、モーリー歯科医の待合室にやって来た患者は、以下の3名であることが判る。


(1)マーティン・アリステア・ブラント(Martin Alistair Blunt)/ 銀行頭取

(2)アムバライオティス氏(Mr Amberiotis)/ インドから帰国したばかりのギリシア人 → モーリー歯科医の患者で、元内務省官僚のレジナルド・バーンズ(Reginald Barnes)は、「アムバライオティスは、スパイである上に、恐喝者だ。」と、ポワロに告げる。

(3)メイベル・セインズベリー・シール(Mabelle Sainsbury Seale)/ アムバライオティス氏と同じく、インド帰りの元女優


モーリー歯科医の死が自殺ではなく、他殺の可能性もあると考えて、捜査を開始したポワロであったが、その後、アムバライオティス氏が歯科医が使用する麻酔剤の過剰投与により死亡しているのが発見される。

モーリー歯科医は、アムバライオティス氏の診療ミス(=注射する薬品量の間違い)を苦にして、拳銃自殺を遂げたのだろうか?


続いて、メイベル・セインズベリー・シールが行方不明となり、アルバート・チャップマン夫人(Mrs Albert Chapman)という女性のフラットにおいて、彼女の死体が発見される、しかも、彼女の顔は見分けがつかない程の有り様だった。

チャップマン夫人がメイベル・セインズベリー・シールを殺害の上、逃亡したのだろうか?ところが、モーリー歯科医の診療記録によると、発見された死体は、メイベル・セインズベリー・シールではなく、チャップマン夫人であることが判明する。


ポワロが診療を終えて去った後、モーリー歯科医の診療室において、一体何があったのであろうか?ポワロの灰色の脳細胞がフル回転し始める。 


2026年2月6日金曜日

アガサ・クリスティー 2026年オフィシャルカレンダー(Agatha Christie Official Calendar 2026)- その10

2025年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された
「アガサ・クリスティー 2026年オフィシャルカレンダー」のうち、
2026年8月のカレンダーに描かれている
エルキュール・ポワロシリーズの長編第22作目「ホロー荘の殺人」(1946年)-
サー・ヘンリー・アンカテルとルーシー・アンカテルの夫妻が所有するホロー荘の建物と
外科医のジョン・クリストウが銃で撃たれた現場のプールが描かれている。
また、プールの水面には、昼食に招かれて、ホロー荘へと訪れた
エルキュール・ポワロの影が映っている。


アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)の作品を出版している英国の HarperCollinsPublishers 社から、2026年オフィシャルカレンダーが出ているので、前回に引き続き、順番に紹介したい。


2026年カレンダーの場合、カレンダー用に新たに描き起こされたエルキュール・ポワロシリーズのイラストが使用されており、デザインについては、Diahann Sturge-Cambell が、また、イラストに関しては、Mr. Stephen Millership / Central Illustration Agency が担当している。


9番目は、2026年8月のカレンダーに該る「ホロー荘の殺人(The Hollow)」(1946年)である。


アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第37作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第22作目に該っている。

「ホロー荘の殺人」の場合、後にタイトルが「Murder after Hours」へ改題されている。


本作品は、ある年の9月末の週末、行政官だったサー・ヘンリー・アンカテル(Sir Henry Angkatell)と夫人のルーシー・アンカテル(Lucy Angkatell)が、友人のクリストウ夫妻をロンドン近くの自宅ホロー荘(The Hollow)へ招待して、彼らをもてなす計画をするところから、物語が始まる。


夫のジョン・クリストウ(John Christow)はハーリーストリート(Harley Street →  2015年4月11日付ブログで紹介済)で成功をおさめた外科医で、夫人のガーダ・クリストウ(Gerda Christow)は純真かつ無邪気な性格で、夫のジョンに対して崇拝に近い位の愛情を捧げていた。ただ、ガーダは簡単な室内ゲームも満足にできないのが、ルーシー・アンカテルにとって頭の痛い点だった。


ホロー荘には、クリストウ夫妻の他に、以下の人物が招待されていた。


(1)ミッジ・ハードキャッスル(Midge Hardcastle):ルーシー・アンカテルの従妹で、服飾関係の店員として働いている。

(2)エドワード・アンカテル(Edward Angkatell):サー・ヘンリー・アンカテルの従弟で、アンカテル家の領地エインズウィック(Ainswick)の法廷相続人。

(3)ヘンリエッタ・サヴァナク(Henrietta Savernake):彫刻家

(4)デイヴィッド・アンカテル(David Angkatell):ルーシー・アンカテルの従兄弟で、学生。


更に、ルーシー・アンカテルがバグダッドで出会ったエルキュール・ポワロ(Hercule Poirot → 2025年10月11日付ブログで紹介済)が偶然ホロー荘の近くに別荘を借りていたため、彼女は彼を日曜日の昼食に招いていた。


エルキュール・ポワロは、
英国の Orion Publishing Group Ltd. から2023年に発行されている
「エルキュール・ポワロの世界」と言うジグソーパズルの中央に立っている。
<筆者撮影>


招待客が到着して、週末が始まると、ルーシー・アンカテルの心配が的中することになった。

ミッジ・ハードキャッスルはエドワード・アンカテルのことを愛していたが、当人のエドワード・アンカテルはヘンリエッタ・サヴァナクにエインズウィックの女主人になってほしいと思っている。ところが、ヘンリエッタ・サヴァナクはジョン・クリストウと不倫関係にあったのだ。そして、デイヴィッド・アンカテルはそんな彼らを嫌っていた。


ポワロの向かいの別荘を借りている女優のヴェロニカ・クレイ(Veronica Clay)がきらしたマッチを借りようとホロー荘へとやって来たことが契機となり、状況は更に緊迫度を増した。

ヴェロニカ・クレイは以前ジョン・クリストウと交際しており、彼に外科医の仕事を捨てて、自分と一緒にハリウッドへ来るように誘ったが、彼は彼女の要請を断り、彼女としては、それを良しとはしていなかった。そして、これが15年振りの再会であった。

ジョン・クリストウは、以前のようにヴェロニカ・クレイの魅力に抗いできず、結局、彼女を別荘まで送って行くことになった。ジョン・クリストウが、午前3時にヴェロニカ・クレイの別荘からホロー荘へと戻って来た際、誰かに見られているように感じた。ところが、誰の姿も見当たらず、妻のガーダが寝室で寝ていることを確認すると、ジョン・クリストウは安心して、床に就くのであった。


翌日の日曜日、ルーシー・アンカテルに昼食へ招かれたポワロは、ホロー荘を訪れた。執事のガジョン(Gudgeon)に案内されて、昼食前の一杯のため、プールの側の東屋(あずまや)へ向かったポワロであったが、プールのところにホロー荘の主夫妻や招待客達が集まっているのを目にする。そして、彼らが囲んでいたのは、銃で撃たれ、血を流して倒れているジョン・クリストウと、銃を手にして傍らに立つガーダ・クリストウという芝居染みた光景であった。

当初、ポワロは、名探偵である自分を歓迎するための余興だと考えたが、直ぐに冗談事ではないことが判る。正に、ポワロの目の前で、本物の殺人事件が発生したのであった。そして、銃で撃たれたジョン・クリストウは、最後に「ヘンリエッタ」と呟くと、息絶える。


ジョン・クリストウを銃で撃ったのは、目前で展開している通り、妻のガーダ・クリストウなのか?

ヘンリエッタ・サヴァナクが、ガーダ・クリストウの手から銃を取ろうとして、前に進み出るものの、誤って銃をプールに落としてしまう。水中に落ちたため、この銃から指紋を検出することが、非常に困難になった。

ところが、プール内から回収した銃を調べたところ、この銃がジョン・クリストウを撃ったものではないことが判明する。

後に、ジョン・クリストウを撃った本物の銃が、ポワロが借りているb別荘の生け垣から発見されるに至る。その凶器には、指紋が付いていたが、ホロー荘に滞在していた誰とも一致しないと言う不可解な事実が更に明らかになった。


それでは、ジョン・クリストウが今際の際に呟いた「ヘンリエッタ」と言うのは、一体何を意味しているのか?

ジョン・クリストウを銃で撃った真犯人は、ヘンリエッタ・サヴァナクなのか?そして、その動機は、何なのか?