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画面奥左側から、ケイ・ストレンジ、ネヴィル・ストレンジ、 メアリー・アルディン、フレデリック・トリーヴス、トマス・ロイド、 オードリー・ストレンジ、そして、リーチ警部。 画面手前のベッドで身体を起こしているのが、 カミラ・トレシリアン夫人である。 |
アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)が1944年に発表したノンシリーズ作品「ゼロ時間へ(Towards Zero → 2024年11月18日 / 12月8日 / 12月9日付ブログで紹介済)」は、英国の BBC(British Broadcasting Corporation)が TV ドラマとして映像化の上、2025年3月2日、3月9日および3月16日の3夜に渡って放映されている。
なお、本作品は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第34作目に該っている。
「ゼロ時間へ」の場合、通常の作品とは異なり、犯人が殺人の計画を策定する時間から始まって、犯行の瞬間である「ゼロ時間」へと遡っていくと言う独特の叙述法が採用されている。
昨年(2024年)、「ゼロ時間へ」の発表80周年を記念して、英国の HarperCollins Publishers 社から同作品の愛蔵版(ハードバック版)が出版されている。
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2024年に英国の HarperCollins Publishers 社から出版された アガサ・クリスティー作「ゼロ時間へ」の 愛蔵版(ハードカバー版)の表紙 (Cover design by HarperCollinsPublishers Ltd. / Cover illustration : Courtesy of the Mill at Sonning Theatre) |
BBC の TV ドラマ版における主な登場人物は、以下の通り。
(1)カミラ・トレシリアン夫人(Lady Camilla Tressilian - 寝たきりの金持ちの老未亡人で、ソルトクリーク(Saltcreek)の邸宅「ガルズポイント(Gull’s Point)」に在住): Anjelica Huston
(2)メアリー・アルディン(Mary Aldin - カミラ・トレシリアン夫人のコンパニオン): Anjana Vasan
(3)ネヴィル・ストレンジ(Nevile Strange - カミラ・トレシリアン夫人の亡き夫の被後見人で、テニス選手): Oliver Jackson-Cohen
(4)オードリー・ストレンジ(Audrey Strange - ネヴィル・ストレンジの前妻): Ella Lily Hyland
(5)ケイ・ストレンジ(Kay Strange 旧姓:エリオット(Elliot)- ネヴィル・ストレンジの新妻): Mimi Keene
(6)ルイス・モレル(Louis Morel - ケイ・ストレンジの友人): Khalil Ben Gharbia
(7)トマス・ロイド(Thomas Royde - メアリー・アルディンの恋人): Jack Farthing
(8)ヘクター・マクドナルド(Hector Macdonald - ネヴィル・ストレンジの執事): Adam Hugill
(9)フレデリック・トリーヴス(Frederick Treves - カミラ・トレシリアン夫人の専任弁護士): Clark Peters
(10)シルヴィア(Sylvia - フレデリック・トリーヴスが後見人を務めている少女): Grace Doherty
(11)バレット夫人(Mrs. Barrett - カミラ・トレシリアン夫人のメイド): Jackie Clune
(12)リーチ警部(Inspector Leach - 地元警察に所属する酔っ払いの警部): Matthew Rhys
(13)ミラー巡査部長(Detective Sergeant Miller - リーチ警部の部下): Alexander Cobb
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2024年に英国の HarperCollins Publishers 社から出版された アガサ・クリスティー作「ゼロ時間へ」の 愛蔵版(ハードカバー版)の裏表紙 (Cover design by HarperCollinsPublishers Ltd. / Cover illustration : Courtesy of the Mill at Sonning Theatre) |
BBC の TV ドラマ版における登場人物の場合、アガサ・クリスティーの原作対比、以下の違いがある。
(2)
<原作>
物語当初、トマス・ロイドとの間に恋愛関係はない。物語の終盤、トマス・ロイドとの間に恋愛関係が進展する可能性があることが言及されている。
<英国 TV ドラマ版>
物語の最初から、トマス・ロイドと恋愛関係にある。
(6)
<原作>
ケイ・ストレンジの友人として、エドワード・ラティマー(Edward Latimer - 愛称:テッド(Ted))が登場する。
<英国 TV ドラマ版>
エドワード・ラティマーの役割が、ルイス・モレルに置き換えられている。
(7)
<原作>
物語当初、メアリー・アルディンとの間に恋愛関係はなく、従姉妹であるオードリー・ストレンジに対して、長年の間、想いを寄せている。物語の終盤、メアリー・アルディンとの間に恋愛関係が進展する可能性があることが言及されている。
<英国 TV ドラマ版>
物語の最初から、メアリー・アルディンと恋愛関係にある。
(8)
<原作>
原作には登場しない。
<英国 TV ドラマ版>
英国 TV ドラマ版用に新たに設けられた人物である。
(9)
<原作>
カミラ・トレシリアン夫人の古くからの友人かつ弁護士ではあるが、同夫人の専任弁護士ではない。
また、原作の場合、トリーヴス氏(Mr. Treves)と呼ばれており、名前については、言及されていない。
<英国 TV ドラマ版>
カミラ・トレシリアン夫人の専任弁護士として、以前から様々な件を処理している人物である。
また、英国 TV ドラマ版の場合、原作とは異なり、フレデリック(Frederick)と言う名前が与えられている。
(10)
<原作>
原作には登場しない。
<英国 TV ドラマ版>
英国 TV ドラマ版用に新たに設けられた人物である。
(12)
<原作>
原作の場合、スコットランドヤードに所属するジェイムズ・リーチ警部(Inspector James Leach)で、バトル警視(Superintendent Battle)の甥でもある。
<英国 TV ドラマ版>
地元警察に所属する警部で、バトル警視の甥でもない。
(13)
<原作>
原作に登場するのは、ジョーンズ巡査部長(Sergeant Jones)である。
<英国 TV ドラマ版>
ジョーンズ巡査部長の役割が、ミラー巡査部長に置き換えられている。
英国 TV ドラマ版の場合、原作の終盤において非常に重要な役割を果たすアンガス・マクハーター(Angus MacWhirter - 自殺しそこねた男性)と事件を解決するバトル警視の2人が登場していない。
