2024年10月9日水曜日

服部まゆみ作「一八八八 切り裂きジャック」(1888 Jack the Ripper by Mayumi Hattori)- その1

日本の出版社である東京創元社から、1996年5月に
「クイーンの13」シリーズとして刊行されている
服部まゆみ作「一八八八 切り裂きジャック」のハードバック版の表紙
                              <装画・装幀> 鈴木 一誌
                <フォーマットデザイン> 小倉 敏夫
                              <ロゴマーク> ひらい たかこ


スコットランドのダンディー(Dundee)出身の学者 / 作家であるロバート・J・ハリス(Robert. J. Harris:1955年ー)が2020年に発表した「深紅色の研究(A Study in Crimson → 2024年5月6日 / 5月12日 / 5月16日付ブログで紹介済)」の場合、第二次世界大戦(1939年-1945年)中の1942年、ロンドンを舞台にして、「切り裂きジャック(Jack the Ripper)」の再来と思われる「血塗れジャック(Crimson Jack)」による女性惨殺事件が連続して発生する。


日本においても、「切り裂きジャック」をテーマにした推理小説が刊行されているので、今回紹介したい。

それは、日本の小説家 / 推理作家 / 恋愛小説家 / 銅版画家である服部まゆみ(Mayumi Hattori:1948年ー2007年)が1996年に発表した「一八八八 切り裂きジャック(1888 Jack the Ripper)」である。


服部まゆみは、現代思潮社美学校を卒業した後、版画家 / 画家である加納光於に弟子入りして、銅版画家となる。

1987年に「時のアラベスク」が第7回横溝正史賞大賞を受賞して、作家デビューし、1998年に「この闇と光」が直木賞候補となった。

2007年、肺癌で亡くなっている。


個人的には、第1作目の「時のアラベスク(→ 日本、ベルギーのブルージュと英国のロンドンを物語の舞台にしている)」(1987年)、第2作目の「罪深き緑の夏」(1988年)、そして、今回紹介する「一八八八 切り裂きジャック」(1996年)がお勧めである。

これらの作品の発表時期が、偶然ではあるものの、20世紀末に該っており、かつ、作品の主な舞台となる欧州において、19世紀末に流行した世紀末思想が、特に「時のアラベスク」には、非常に色濃く出ているからである。


「一八八八 切り裂きジャック」へと話を戻す。

19世紀末(1888年)、ベルリンから「霧の都」と呼ばれるロンドンへと、日本人留学生(医学生)である柏木薫はやって来る。

そして、彼は、ロンドン東部のホワイトチャペル地区(Whitechapel)内に所在するロンドン病院(London Hospital)の研修医として、トリーヴス医師の下で、「エレファントマン(Elephant Man)」と呼ばれるジョン・ケアリー・メリックの治療を始める。

時を同じくして、ロンドン病院の周りのホワイトチャペルチャペル地区内で、売春婦を標的にした猟奇的な殺人事件が、連続して発生する。

それは、「切り裂きジャック」と名乗る人物の犯行だった!


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